見出し画像

【横田一】中央から見たフクシマ81-新・立民が政権とどう対峙するか

新・立民が政権とどう対峙するか

 8月11日の玉木雄一郎代表の分党表明で若干人数が減るものの、立憲民主党と国民民主党の合流で150人程度の「新・立憲民主党」誕生がほぼ確定、福島原発事故がまるでなかったかのように原発再稼働に突き進む安倍政権(首相)を打倒する態勢が整うことになった。2017年9月の民進党解体前と同規模の国会議員数になると同時に、「原発ゼロ」を掲げる立民主導で合流が進んだため、エネルギー政策で原発推進の安倍政権との違いをより鮮明に示すことができるからだ。

 「日本維新の会」代表の松井一郎・大阪市長は14日、「帰って来た民主党だ」と記者団に述べたが、もっと詳しく言うのならば、「よりパワーアップした旧民主党規模の野党誕生」という表現になるだろう。

 「分党で玉木新党が出来て、合流新党の規模はかなり縮小」という見方も流れたが、これは事実と反する。「立民合流問題で国民・玉木代表が分党決断」と銘打った8月12日配信の東京スポーツの記事には、以下のような政界関係者のコメントが紹介されていたが、虚偽情報と言っても過言ではない代物だった。

 「今後は立民との合流組と残留組の多数派工作の激化が予想される。焦点となるのは『どちらを選択すれば次期衆院選に勝てるか』だ。『国民議員の多くは、現職の立民議員より選挙区で強い。玉木氏と同じ保守系議員は国民の政党助成金、旧民進党時代からの軍資金を合わせた150億円に目がくらみ、残留するでしょう』(政界関係者)」

 しかし実際には、この「軍資金」は3分の1の50億円程度にすぎなかった。分党表明会見の翌12日にBSフジ「プライムニュース」に出演した玉木氏は、「資金力 国民民主党約108億円、立憲民主党約18億円(2018年収支報告書)」と書かれたフリップを見るなり、「50億円ぐらい」と訂正したからだ。

 しかも番組出演後の囲み取材で、私が「(国民民主党の資金)50億円は人数割ですか」と聞くと、玉木氏は「分党、法的には分割は、政党交付金部分については人数割です。一般財源について交渉になります」と答えた。

 「150億円に目がくらみ、残留するでしょう」という政界関係者の見立ては絵空事に等しく、「62名の国会議員のうち玉木新党は10名前後」が大方の予測なので、配分割合は「合流組の40億円強 対 玉木新党の10億円弱」となる見通しなのだ。「10億円弱では目がくらむことはなく、残留組は増えないでしょう」と表するのが正確だろう。

 実際、「党本部はどうするのか」との問いに対して玉木氏は「基本的には未定」としながらも、「玉木新党は現在の党本部を全部持てる財政的余裕はないのではないか」と弱気だった。「10億円弱の資金を手に党本部から出ていく」というのが玉木新党の有力な近未来図なのだ。

 一方、合流で誕生する「新・立憲民主党」(仮称)は、玉木新党よりも1桁は多い150人規模の野党第一党となり、原発ゼロなど安倍政権との違いを明確に示すこともできるため、次期総選挙での政権交代の可能性が高くなるのは確実だ。

 2017年総選挙では、「希望の党」代表を兼任した小池百合子東京都知事の「排除」発言で、安倍政権を追い込む気運は一気に萎んでしまった。しかし3年近く経って、旧民進党と同規模で「原発ゼロ」を掲げる「新・立憲民主党」が誕生することになった。多くの福島県民が望む「原発ゼロ」社会の実現が、ようやく現実味を帯びてきたともいえる。合流新党が今後、安倍政権とどう対峙していくのかが注目される。


フリージャーナリスト 横田一
1957年山口県生まれ。東工大卒。奄美の右翼襲撃事件を描いた「漂流者たちの楽園」で1990年朝日ジャーナル大賞受賞。震災後は東電や復興関連記事を執筆。著作に『新潟県知事選では、どうして大逆転が起こったのか』『検証ー小池都政』など。


通販やってます!

Twitter(是非フォローお願いします)

facebook(是非フォローお願いします)

Youtube(チャンネル登録お願いします)

HP


よろしければサポートお願いします!!