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「肩鎖関節上方脱臼の固定法」#書く習慣53

日々の臨床お疲れ様です。TROT(トロット)です。

 皆さんは診療の場で肩鎖関節上方脱臼を経験したことはありませんか?

 その際、学校で指導されるテーピング固定は皮膚症状が出てしまい
 継続できなかったことはありませんか?

 その場合、どういった固定をするべきなのだろうと考えたことはありませんか?


そんな悩みに光を照らしてくれるような動画を拝見させていただいたので内容を簡単にまとめていきたいと思います。

合わせて前回まとめさせていただいたこちらについてもお読みいただけると幸いです。


肩鎖関節上方脱臼の固定法


・肩鎖関節脱臼は整形外科医でも保存、観血に対して統一的な見解はない
・整復は容易だが、整復位の保持が困難な脱臼


肩鎖関節脱臼の分類


・Tossyの分類とRockwood分類があるが、Rockwood分類が用いられることが多い

ためになるブログ)より引用
 Ⅰ度:肩鎖靭帯の軽度の損傷、捻挫
 Ⅱ度:肩鎖靭帯のみが断裂し、亜脱臼の状態
 Ⅲ度:肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯がともに断裂し、脱臼した状態
日本骨折治療学会)より引用
Ⅰ型(捻挫)
 肩鎖靱帯の部分的な傷みだけで、烏口鎖骨靱帯、三角筋・僧帽筋は正常
 X線では異常はない

Ⅱ型(亜脱臼)
 肩鎖靱帯が断裂し、烏口鎖骨靱帯は部分的に傷んでいる
 三角筋・僧帽筋は正常
 X線では関節の隙間が拡大し鎖骨の端がやや上にずれている

Ⅲ型(脱臼)
 肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂した状態
 三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれていることが多い
 X線では鎖骨の端が完全に上にずれている

Ⅳ型(後方脱臼)
 肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂した状態
 三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれている
 鎖骨の端が後ろにずれている脱臼

Ⅴ型(高度脱臼)
 Ⅲ型の程度の強いタイプ
 肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂した状態
 三角筋・僧帽筋は鎖骨の外側1/3より完全にはずれている

Ⅵ型(下方脱臼)
 鎖骨の端が下にずれている非常にまれな脱臼



Rockwood分類Ⅲ型症例


14歳男子、柔道中に右肩から落下し受傷
右肩甲骨の下方回旋、下垂のために鎖骨外端部が上方に突出し階段状に変形
ピアノキー症状あり

XPでは関節面に接触ないため完全脱臼


整復法


患者座位で右肩関節軽度外転、内旋位とし胸を張らせる
上肢台にて肘部を下方から押し上げる

術者は後方から両上腕を後方に引き、鎖骨外端に直圧をかけて整復位を得られるか確認する


固定法


①固定材料

 三角巾(大)/ 三角巾(小)
 鎖骨バンド / 肋骨バンド
 1cmの厚みのパッド(7.5cm×10cm)


②固定法

・右鎖骨外側上部に中央にパッドを巻き込んで帯状にした三角巾(圧迫帯)をのせ両端を胸部の前後に垂らす

・肋骨バンドを最大呼気時に上から巻きつけて圧迫帯を抑える

・患者の側方より圧迫帯の前後下部を下方に引き下げて鎖骨外側部を圧迫し、反転させてパッドの上で両端を結ぶ

・さらに鎖骨バンドにて肩甲骨を後上方に牽引し挙上する

・最後に肩関節軽度外転内旋位で三角巾にて提肘する

  ※圧迫帯により制動した鎖骨関節面に対して、
   鎖骨バンドによって後上方に牽引、挙上された肩甲骨と
   肩峰の肩鎖関節面を合わせるイメージで行う


経過


2W後:腫脹残存、自発痛消失、手指手掌運動は積極的に行う

4W後:ピアノキー消失
     患部の安定性良好なためパッドの厚みを5mmに変更
     サポーター(肩)+マジックバンド(めくれ防止)に変更
          等尺性収縮による筋力トレーニングの開始

5W後:提肘除去
     痛みの出ない範囲でのROM訓練開始

6W後:圧迫帯の除去、ROMの拡大

8W後:挙上、外転最終域で違和感のみ残存
     XP良好、後遺症、外見上の変形はない状態ため治癒判定



お疲れ様でした。

今ちょうど肩鎖関節Rockwood分類Ⅲを保存療法で対応しているため、こういった情報を組み合わせて患者さんに良質の医療を提供していきたいと考えています。

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