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アベノミクスと賃金

皆さんは、日本では給料が上がっているように感じますか?
今回は、名目賃金・実質賃金など様々な観点から、賃金を見ていきたいと思います。


名目賃金

名目賃金の推移

e-Statより筆者作成

上記の図を見てもらいたい。
緑色の線の内側が、安倍政権である。
この図を見ると、安倍政権の間、コロナウイルスの影響がない部分では、名目賃金が上昇していることがわかる。

名目賃金だけでは意味がない

賃金の上昇を図るとき、名目賃金が上昇しているだけでは不十分である。

例えば、賃金が倍になったとしよう。
一見これは喜ぶべきことだ。税の累進性を無視して単純に考えれば、生活が今までより2倍よくなるからだ。
しかし、ほんとにそうだろうか。

実は、モノの値段が3倍になっていたとしたら、どうだろうか。
うまい棒は30円だし、NHKは年間75000円徴収される。
これでは、生活は逆に苦しくなっているだろう。

だから、名目賃金だけを見るのでは不十分なのだ。

実質賃金

実質賃金の推移

名目賃金の欠点である、物価の上昇率を考慮していないという問題点をクリアしたのが、実質賃金だ。
実質賃金は、

実質賃金 = 名目賃金 ÷ 物価の上昇率

と求めることができる。
では、実質賃金はどのように推移しているだろうか。

e-Statより筆者作成

上の図の青い線が実質賃金だ。
これを見ると、青い線がアベノミクス期間中に下がっていることがわかる。
これは、賃金の上昇が、物価の上昇に追いついていないということを意味している。

これが、『アベノミクスは失敗だ』と、多くの左翼が叫んでいる一つの根拠でもある。

実質賃金の低下はなぜ?

上述したとおり、名目賃金は上昇している。
しかし、実質賃金は上がっていない。
これは、物価がかなり上昇しているということだが、なぜ物価はそれほど上がっているのだろうか。

ズバリ、消費税増税だ。
これは、安倍政権の力のなさと言ってもいいだろう。

民主党政権時代から、消費税を10%まで引き上げるということで決定しており、安倍政権にはそれを覆す力がなかったのだろう。
もちろん、覆すことは可能だったのかもしれないが、財務省や財務省の子分となり下がった議員などと正面衝突することになり、政権が倒れていたという可能性もあったため、仕方のないことではあるが。

消費税について、0%と10%で比較してみよう。
消費税0%の時、100円のものは100円で買える。
しかし、消費税10%のとき、100円の商品は110円だ。
つまり、消費税を上げることは、物価を上昇させることと同じなのだ。

つまり、消費税を増税したことが、物価の上昇につながっていることは間違いないだろう。

では、アベノミクスは失敗だったのか?

単位時間当たりの実質賃金

安倍政権では労働者は増えている

安倍政権において、一番の成功は何かと問われれば、迷わずこたえられる。
それは、「雇用を創出したこと」である。

まず、多くの人にとっては働くところがあるということが重要なのだ。
そして、安倍政権では有効求人倍率は1.6倍まで上昇した。
つまり、一人当たり、1.6件くらいの求人があったということだ。

安倍政権では、正規労働者・非正規労働者をともに約200万人ずつ上昇させているのだ。

これが、安倍政権の功績である。

労働者が増え、短時間労働者も増えた

労働者が増えたと同時に、高齢者などの労働者も増えている。
高齢者や主婦などが働くとき、まさか週5日、1日8時間という働き方の人ばかりではない。
パートとして、1日4時間の方もいれば、週に3日だけの人もいる。

すると、もらう賃金は少ないのだ。

ではどうするか。
時給は上がったのか、生産性は上がったのかというところを見るとよい。

単位時間当たりの賃金 = 時給

単位時間当たりの賃金と言って、賃金を総労働時間で割った指標がある。
これが、平均時給になるわけだ。

e-Statより筆者作成

これは一瞬でわかるのではないだろうか。
安倍政権では、ほぼ一貫して時給は上がっているのだ。

アベノミクスでは、働き方改革にも取り組み、雇用も創出した。
そのため、総労働時間などは減少しており、総賃金も減少している。

しかし、多くの人の時給は上がており、もっと欲しいという人は、もっと働けばいいのだ。
なお、サービス残業は生産性を落とすだけなのが。

まとめ

アベノミクスでは、働き方改革や金融緩和、成長戦略などを打ち出し、雇用を創出してきた。そのため、名目賃金や単位時間当たりの実質賃金を上昇させた。
しかし、増税などの負の面もあったために、実質賃金そのものは減少してしまった。
もし、安倍政権が消費税増税を完全に拒むことのできるパワーまで持っていたなら、きっとアベノミクスは大大大成功を収めていただろう。それだけが悔やまれる。

岸田政権にも、どうか安倍政権の意志を継いでほしいと切に願う。

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