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2023年 8月のプレイリスト

インプットみたいなアウトプット。記録から始まる表現。写真はその最たる例だと思う。今だという瞬間を切り取って閉じ込めたと思った途端、画像として誰の目にも明らかなものになって、もう1人だけのものではなくなる。瞬間的に世界に放たれるまなざしは、便利で、美しくて、おそろしい。今月は写真集のためにたくさん写真を撮った。撮る中でそういうことを考えた。あれこれの逡巡の中に音楽が伴っていた。


『In Your Eyes』/崎山蒼志

崎山蒼志が新しいアルバムを出した。音源を出すたび新しくなっていく実感と期待がある、数少ないアーティストの1人だ。飛び道具的なサウンドを用いた曲も多い中でアルバムの2曲目にシンプルな言葉とサウンドの曲を組み込む姿勢に痺れた。こういう挑戦的な引き算に昔から惹かれてしまうところがある。


『くせのうた』/星野源

今作っている写真集はポートレートが中心だ。写真を撮る時、それが物でも人でも被写体のことを理解したいと思う。そして、人のことを知りたいと思った時いつもこの曲を思い出す。共感や同化よりも、他者との境界に気づくことのほうが人間関係には大事だということを言っている曲だと思う。「あなたと僕は別の生き物で、違う視点を持ったまま同じ時間を共有したりしているんだ」と思うようにしている。そのほうがその人を理解できる。


『アイデア』/星野源

星野源の作品からは彼の人間性が滲み出ていると思うけど、アイデアはその中でもここまでの彼の作品の足跡をまとめるような意味合いがあるような気がする。僕自信自分の作品を作る中で今までの生きてきたしるしみたいなものがちゃんと滲み出るものにしたい。


『Space Orphans』/青葉市子
 「せなかあわせにきみがいるから大丈夫」

しばらく疎遠だった友人とまた定期的に会うようになった。とても近くに感じる時ととても遠くにいる時がある。ただ、近くに感じる時はどういう風に近く居てくれているのかまでわかるから面白い。隣で並ぶでも、どちらかが追いかけるでもなく、背中合わせに感じるように存在してくれている。そうやって並べるのは心地がいい。



『エルド』/君島大空
 「最悪な日々の途中あなたへ歌ってるよ」 
『白河夜船』/羊文学
 「嘘は吐かない笑わない心は持たない」
『サーカスナイト』/君島大空と塩塚モエカ
 「今夜だけ生き延びたいピエロ」
『picnic』/ 塩塚モエカ
 「教えてよ教えて命の尊さよ」
『19℃』/君島大空
 「喋らなくてもいいよ」

8/26に君島大空と塩塚モエカの弾き語りライブを見た。君島大空はギターで、塩塚モエカは歌で、曲に命を込めるのが上手いなと思った。印象的だった5曲を挙げたけど、中でもサーカスナイト、picnic、19℃の3曲がアンコールで君島伴奏、塩塚歌唱という形態で披露され、ライブハウス全部が、2人の呼吸の中にいた。存在感のある演奏、その人から放たれることに妙に納得してしまう表現、色んな言葉が頭を駆け抜けたけどどれも足りなくて、なんとなく最後に「佇まい」というのがしっくりきた。

『環境と心理』/Cornelius
 「変化する景色や環境と心理」

僕が通っていた高校の軽音部は不思議で、OBやOGがいつまで経っても現役生のライブを見にきてアドバイスやコメント、指導をする風潮がある。自分自身現役の時一番上で12個上の先輩に指導をいただいたことがある。現在高校3年生からすれば6つ上の立場で、久しぶりにライブを観に行った。ライブにおけるOBOGの存在に対する認識が、僕たちと現役生で乖離があったこと、現役生のライブそのものに対する向き合い方が変わっていっていることから自分が経験した8回ほどの夏のライブ史上最も険悪な雰囲気になってライブが終わった。コミュニケーションさえ取れていたならもう少し違う結果もあっただろうなと思い、惜しい。全てが変わっていく中でできることはないのかとか変化を受け入れるしかないのかとか考えた。


 アウトプットに重きを置いたひと月だったけれど、絶え間なく現実や他人の作品は世の中を駆け抜けていって、結局いちいち心を動かされてしまった。自分らしいものを作ろうとする時、人の作品を見ていいなとから思っている暇あるんだろうかという焦りがすこしある。バランスを考えながら、慎重に僕らしいものを作りたい。





はじめ

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