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物語は逆三角形で1点に収束するか?

1999年公開の「アイズ・ワイド・シャット」という映画が最も好きな映画で、昔観た時にはポルノまがいの映画と多くの人が言っていて、自分の観た感想と全く違っていて驚きました。今検索するとエロ映画と言う人が逆に少ななっていて、それも面白いものですね。

解釈はいろいろありますのでここでは扱いません。けれど、アリス(ニコール・キッドマンの役名)の最後のセリフの事をちょっとだけ。

最初に、この映画を観て、すごい傑作だなと感じたのはそのセリフ自体ではなくて、お話の中で驚くようなエピソードがいろいろ出てくるわけですけれども、あの最後のセリフ、その1点に全部が収束していると感じられた事なのです。お話自体の内容と、その映画作品としての造りがその事でキュッと1つになっているのです。

こんなセリフです。

Alice : I think we should be grateful. Grateful that we've managed to survive through all of our adventures, whether they were real, or only a dream. Sure as I am that the reality of one night, let alone that of a whole lifetime can ever be the whole truth. And no dream is ever just a dream.The important thing is: we're awake now. And hopefully... for a long time to come.
Bill : Forever.
Alice : Forever?
Bill : Forever!
Alice : Let's not use that word, you know? It frightens me. But I do love you. And, you know, there's something very important that we need to do as soon as possible.
Bill : What's that?
Alice : Fuck.

だいたいの意味としては…(意訳だからそのままじゃないです。)

「私たち。感謝すべきよね。いろいろあったけど、乗り越えてここまで来られたんだから。それが夢だったのかそれとも現実だったのかはどっちでも良いの。人生の中では信じていることがずっと真実のままそこにあるとは限らないのじゃないかしら。それに、夢がいつまでもただの夢であるかもわからないわ。だから、できるだけ長く注意して見続けていないといけないと思うの。」
「ずっとそうしていよう。」
「いいえ、ずっとという約束は、いつか壊れてしまいそうで怖いわ。でも、今の私は、はっきりとあなたが好きと言える。だから、たった今のために大切なことがあると感じるの。」
「それは何?」
「ファックよ。」

映画を観られていない方には何のこっちゃ?ですが、とりあえず、映画ではこのセリフに向かって逆三角形になって全部が落ちて来る感じです。そういう意味ですごいのです。

まあ、映画の事はこれで終わりですが、よく考えると、人間の人生ってこそんなふうな構造になっている事がけっこうあるのじゃないかと思えます。というのは、特に恋愛のようなもの(完全に恋愛とは言ってません、のようなものです)の場合にはそうなる確率が高い気がします。

ですが、お互いの気持ちがお互いを向いていて、ある種の予定調和的な力が働いているという条件が必要な気もします。


話は飛びますが、古いギリシャの叙事詩『オデュッセイア』というのがあります。これは恋愛のようなものではなくて、戦争をどうにか収めた主人公が国に帰る物語です。この「帰る」というところで、読者(聴衆)が思うわけです。

「ああ、主人公のオデュッセウスさん、絶対国に帰れるよな、と。そうでないとお話が面白くないですから。案の定、帰るわけです。でもその途中の工程が行きつ戻りつでゴチャゴチャといろいろあります。そのゴチャゴチャが物語になっています。

簡単ですね。

そう考えますと、小説なんかもそれでOKなんじゃね?って思います。まあ、そんな風に書いてたりするわけですけども。今のところまだ6.5万字位で、どうやって逆三角形の頂点に収束させようか思案中ではあります。書いているうちに書いている人間の頭が暴走して発散してしまっています。(できるのか、自分?)

ところで、題名、何にしようかな?

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