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伝説のスーツの男。 Vol. 32

小さい頃、食卓と茶の間には
いつも諏訪商店の商品が並んだ。
それが日常だった。


会社の敷地の中に実家があった。
庭にはわかめやカワハギ、あさりが干されていた。
駐車場に落ちている干しあがったあさりを
こっそり食べるのが楽しみだった。
これが自分の丈夫な胃袋を作ったとおもう笑


父が「舌がしびれないパイナップル」を
嬉しそうに自分に食べさせたことを
なぜか良く覚えている。


ヒット商品は
味なうめ
いわしのみりん干し
糀いか塩辛
丸干しいわし
やき蛤 焼きあさり
バケツわかめ
黒梅
干し柿
干し芋
甘酒
菜の花鉄砲
菜の花たけのこ
ピーナツみそ
黄金梅など。
小手先ではなく真っ向勝負する
縦横無尽な父の商品開発力を
小さい頃から間近でみていた。


話は大きく変わって
その昔、うちの会社で中国産の干し柿を
販売していた時があった。
自分が入社後、その干し柿の産地に行った。
都心から新幹線で3時間以上。
中国のど田舎中のど田舎。
車こそあるが電気はきていない。
でも携帯電話はある。みんな、車で充電をしている。
そんな村は自分が行くと家族のように接してくれて大歓迎だった。


広大な柿の木?柿の森?があり
そこで働いている人は
なぜかみんなスーツのジャケットを着ていた。
なぜ???????
すると長老が
「その昔、スーツでその村に来た人が我々に干し柿の作り方を教えてくれたんだ。彼のおかげで私たちの生活は一変して豊かになった」と語りはじめた。彼のおかげでその村は干し柿の一大産地になった。だからそのスーツの男にみんなが憧れて作業着はジャケットになった。


マンガでみるような

伝説の男

だ。


顔もわからないそのスーツの男。
「人生や世界を変える商品開発」に憧れた。


その村には農薬という言葉すらなかった。
有機?無農薬?いや完全な自然栽培だった。
そしてすごく美味しかった。
すごく良い人たちがすごく美味しいものをつくる。
商品づくりの原点を感じた。
でもその後、中国産に対する不信感とともに
うちの会社でも販売を断念することになっていく。


それから数年後、実家に行ったときだった。
父のアルバム写真を何気なく整理していると
不思議なことにその村の写真が出てきた。


そこには集合写真の真ん中で1人
パンチパーマでスーツを着ている父がいた。


うぉおおおおおおおおおおお!!!!!!


伝説の男はパンチパーマか‼️



このことが自分の商品開発に火をつけた。
絶対、負けない。
父を超えたいと生まれてはじめて想った。


でも産地の人たちがパンチパーマを
真似しなくて良かった❗️



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『諏訪聖二流、商品開発』
Vol.31-Vol.40(全10話)


君たちがみているただのおじいちゃんは
結構、すごいんだよ笑

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