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やらなくて良い理由しかないオープン Vol.20


いよいよ房の駅になる建物ができた。そこから冷蔵庫や陳列台やレジが設置され、事務所づくりや商品陳列がはじまった。無我夢中で準備をして気づいたら社員は自分1人。そしてオープンを迎えた。


恥ずかしい話、オープンしたあと どう運営するかなんて考えることすらできないほど力がなかった。


自分が思い描いているお店には遠く及ばなかった。
照明が全部 雰囲気のない蛍光灯だった。
店内の電気のスイッチの位置やコンセントの位置が便利な場所にはなかったし考えも及ばなかった。
床の素材や壁の素材、天井の素材、何も自分の考えが及んでいなかった。
設計士の言いなりではダメなんだ!と痛感した。
口先ばかりの自分を突きつけられた。



今で言う房の駅らしさはゼロだった。
力不足は残酷なほど現実の世界で突きつけられた。



それでもオープンはやってきた。
納得がいかないお店だったけど
信じられないほどお客様が来てくれた。
駐車場整備も間に合わないほどだった。
あっという間の1日だった。



ひと段落した夜に新生房の駅の駐車場から
当時、専務だった兄が房の駅の建物をみながら
「はじまっちゃったな」って言った。
まさに『はじまっちゃった』って感じだった。
夢のような最高の1日だった。
不完全だった新生房の駅は
この日の売上を
このあと31回塗り替えることになる。



コンセプトやブランドステイトメント、アイデンティティ、バリュープロポジション、ゴールイメージ、企画書、プロセス、目標、目的、計画など店づくりには すごく重要なことが多い。どの知識も欠かせない。



でも自分の場合、正直、何もないはじまりだった。



もしこのときコンセプトや計画など深い思考で挑んでいたら「房の駅」をはじめることなんて『絶対』できなかった。


だってさ怖いでしょ!
どう考えたって成功しないって!
ちょっと考えればわかるでしょ?
田んぼの真ん中で
お土産屋さんが観光地も何もないところに
いきなり房の駅やるんだよ!
道の駅みたいに資金力や宣伝力なんてないし!
今、考えるだけでも鳥肌が立つ。
前例も経験もない。
経験者もいない。
お店の店長すらやったこともない。
生産者も1人も知らない。
商品はお土産250品のみ。
専門的に頼れる人はいない。
人に頼ることも大嫌いだし
頼るつもりもなかった。
商品知識はスーパーのことだけ。
デザインの知識はゼロ。
人の心なんてさっぱりわからない。
何においても初心者である自分。
会社としては小売業に何度も失敗している現実。
そんな自分に億を超える社運を賭けたオヤジもアニキも狂ってる。無謀すぎでしょ?


20年をふりかえって言えることは
成功する要因なんて1つもなくたって
やらなくて良い理由しかなくたって
死に物狂いでやれば何とかなるということ。
そして死に物狂いで頑張れば最高の仲間に囲まれるということ。



今、君が何かをチャレンジしようとしてるならアドバイスをしよう。『やめておけ』笑。だって死に物狂いでやったってセンスがなかったら俺だよ?俺みたいになるんだよ?チャレンジなんてやめておけ!笑



                                第1章 完
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「諏訪聖二、房の駅を立ち上げるまで」全20話を
ご購読いただきありがとうございました。


実はこのnote、自分の最愛の娘2人と息子に向けて書き綴りはじめました。いつかこのnoteをみてちょっとでも人生のヒントになったらなと想い、一生懸命書かせてもらっています。
誇張?自慢話?武勇伝?が過ぎるかなとおもうところもいっぱいありますが、父親としてカッコつけたいだけなのでご容赦ください。しばらくあけて第2章「諏訪聖二、黒字独学」がはじまりますので引き続き楽しんで読んでいただければとおもいますのでよろしくお願いします。

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