見出し画像

2%の使い方

 医学生の実習も随分と変遷しておりますが、最初の病棟実習は1週間ごとに診療科を移っていくような方法がとられていました。

 新しい環境で、たった1週間。
 循環器内科の次に消化器内科、そう思えば心臓血管外科、脳神経外科、整形外科、皮膚科などなど。あらゆる診療科を回っていきます。ひととおりの講義を終えた学年とはいえ国家試験に合格する前の不十分な知識の状態ですから、できることなど殆どありません。診療科のチームに所属してついて回ったり、検査や治療を見学したり、患者さんを診察させてもらったり。

 大学卒業後の研修医を「駆け出し」とすれば、学生実習は「見習い」の段階とでもいいましょうか。

 ともかく1週間は短く、学生のモチベーションも様々です。
 学生や研修医を指導する立場になると、この難しさを痛感します。もちろんプログラムがありますから、それに則ってやればいいのですが、この1週間を無駄にしてはいけないと私は思うのです。

 1年は52週しかありません。
 1週間は1年間の約1.9%に相当します。

 人生は何年でしょうか。
 平均寿命は80年程度ですが、そこまで生きられる保証などありません。元気に生活できるのはどれくらいでしょうか。
 定年を65歳とすると、22歳の医学生に残されるのは43年間。
 このうちの1年間は約2.3%に相当します。

 1週間は1年間の2%で、
 1年間は働く総期間の2%と捉えます。

 たった2%、されど2%です。
 この使い方が、人生の彩色を決定します。

 そんな話を医学生にすると、幾らか響いてやる気を出してくる人もいます。一方で、やる気の方向を趣味などに投じる者もありますが、それはそれで素晴らしいことだと思います。自分の人生を能動的に生きる人は、目の輝きが違います。


 私自身はどうだったかと振り返ると、医学生の頃は病棟実習が実に楽しくて没頭していました。早く終わらせて遊ぼうとか、国家試験の勉強をしようという勢力も多い中、dutyを超えて研修医に付き従ったり病棟にいたりと、存分に楽しみました。前提となる知識は、その実習の始まる前の週末に教科書を最低1冊は読んで身につけました。すると、指導医から質問されても結構応えられますから、より有意義な実習になります。

 臨床の現場で身につけた知識は、生きた知識となります。
 それは机上の知識とは性質の異なる、実践的なものです。

 近年では病棟実習の重要性が強調され、全国的に実習期間が長くなる傾向にあるようですが、医学生がそれを自覚して能動的に臨まなければ、やる気のない学生がやる気のない時間を過ごす、ただ無駄な時間が増えるだけです。

 …などとぼやいていては、私も老害と呼ばれる日が近いのかもしれません。


 さて、1週間をどこで区切るか悩ましいところですが、世界を創造して安息日をとった神様を参考にするなら、日曜日が締めくくりでしょうか。
 今日と明日をどのように過ごして、この2%を終えましょう。

 すべては貴方次第。
 未来の色は自分の選択にかかっています。


 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の光り輝く2%が、未来を明るく彩りますように。



#週末プロジェクト #無計画なら今から計画すればいい
#成人教育の難しさ #業界あるある
#エッセイ #2 % #52週 #時間の使い方 #人生は短い
#私生命線短いんですよねぇ #安静時の心拍数もはやい #幾度か死にかけてますし
#残された時間は短いかもしれないと思いながらできることをやっていきます
#自分の命はすべて人の為に使うと決めています

この記事が参加している募集

#業界あるある

8,630件

#週末プロジェクト

4,748件

ご支援いただいたものは全て人の幸せに還元いたします。