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元気の指標を意識すること

「なんかアイツ元気ないんだよね。」
「最近、ちょっと変な感じだよ。」

 友人の精神科医が誰かの不調を指摘するとき、こんな表現をします。心の状態に安易に名前を付けない姿勢はとても好感を抱くところで、おおむね「抑うつ的な不調」を「元気ない」と表現し、それ以外の違和感を「ちょっと変」と表現しているのでしょう。

 そこには名付けない優しさがあります。

 病気と病気でない状態の境界は比較的わかりやすいものの、病気ではないけれど元気でもない状態、というものがあります。

 病と診断できないグレーゾーンなとき、それを解決する手段を探すのは大変なことです。漢方医学や精神医学は「未病」や「心の不調」を取り扱う学問ですが、しかしその分野の基準にも満たないような領域こそ、日常生活において目指すべき場所ではあるまいか、と私は最近思うようになりました。

 

 私に「元気がなかった」とき、彼と幾度か食事をする機会がありました。それは2回目か3回目のときだったと思います。私は彼に、だんだん元気が出てきてオンラインで将棋を指したり、漫画を読んだりできるようになったんだ、と言いました。寝ているばかりだった頃に比べたら大きな進歩だと感じていましたが、彼は少し考えてから言葉を選ぶようにして言いました。

いいじゃん。
でもそれって、昔やってたことだよね。
…もうちょっとかな。

北極星のような友人の言葉

 当時は何がもうちょっとなのか分かりませんでしたが、それから元気になって気づいたことには、それは新しいことへの興味でした。

 その人の性格という要素は大いにあることと思いますが、少なくとも私の場合には「新しい物事への関心」が元気の指標になりそうです。

 今年の目標「ゆるく生きる、丁寧な暮らし」を実践中の身として、無理なことをするつもりはありませんが、気の向くままにやってみようと思います。一昨日から今日にかけて『葬送のフリーレン』を1巻から11巻まで読みまして、気分はエルフです。今「メガネをズレにくくする魔法」を試していますが、ちょうど良い感じです。


 そんなこんなで私は今日も元気です。

 人を癒やすには自分も元気だったほうがいい。そんな当たり前なことを忘れるくらい忙しかった日々に別れを告げて、私は等身大を生きています。

 大切なのは、元気を出す必要なんか全然ないということです。頑張ろうとするほど枯渇するばかりですから、湧いてくるまで休息するのがいい。なーんも生産性がなくたっていいし、無駄に1日を消費してもいい。

 無意味の価値に気付いたとき、人生の価値を知ることが出来るような気がするのです。


 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の肩の力が抜けて、いつもの景色が綺麗に見えますように。




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#この経験に学べ #生き急いでもロクなことねぇ
#エッセイ #人生 #元気

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