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天国の門 10. 開かれた天国の門 《小説》

10 . 開かれた天国の門

ジョーと政は美紀の亡骸を林檎の木の下に
深く穴を掘り埋めた
その場所に小さな薔薇の苗木を植えた          

ジョー達 Heaven’s gateのメンバーと
政達のBLOODY HELLのメンバー
との共存が始まった

刑務所の外の川沿いに橋を掛けた
川魚を釣ったり
広大な草原に柵を作り牛や豚を
放牧した
鶏小屋も作り飼育した

小さな農園の様なHeaven’s gateは
少しずつ大きくなり
やがて村になり
町になって行った

随分と長い時間が流れた
穏やかな夜を皆んなで焚き木を囲み
未来を語り夢を見た

皆んな随分と歳をとったな…
ポールが呟く

政は戦いの時にジョーに両足を銃で
撃ち抜かれ歩けない状態だったが
ジョーはいつも政と一緒に行動を共にしていた

政の車椅子を押しては
散歩に出かけたり
その様子は まるで
親子の様にも見えた

美紀の薔薇が赤く綺麗な花を咲かせた頃

美紀の植えた林檎の木も大きく育ち
赤い林檎の実を沢山付けていた

僕等は林檎の木の前で写真を撮った
皆んな穏やかな表情で笑っていた

ジョーは美紀の言葉を思い出していた          
あの日 美紀が話してくれた夢の話を          

「 高い塀に囲まれた場所
大きな鉄の扉
中にはね林檎の木が沢山生えてるの
赤い林檎が沢山なってたよ

そこで写真を撮ったよ
沢山の人が居て 
皆んな笑ってた
車椅子のお爺ちゃんみたいな人も居たよ
皆んなそこに居たよ
だけど美紀は居なかった
だけど だけど 
美紀は皆んなの事
ちゃんと見てるからね 」

ジョーは何度も美紀の
夢の言葉を思い出していた

優しい風が美紀の薔薇の花びらを揺らした
美紀が微笑んだ様に見えたんだ

開かれた天国の門
その林檎の木の下で

Photo : Free Pic

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