見出し画像

#13.4「DXの本質」 夢と現実の狭間を行ったり来たり(Cyber Physical System)

ほっぺたをつねってみる... 
普通に痛い...
これは、夢か?現実か?

デジタル化が進む社会では、夢と現実の境界線が曖昧になってきます。

デジタル化が「人と人」のネットワークを強化してきました。その進化の一つがSNSです。
しかし、SNSにも限界があります。
SNSの限界を超えて「人とモノ」のネットワーク、さらには「人とモノとモノ」といったあらゆるオブジェクト(モノや事象)が連携する時代がやってきます。
全てがデジタルで繋がる社会です。
IoT(モノのインターネット)は、エントロピーの増大原則のように拡散・拡大していくでしょう。

その時、企業はどう対応するべきでしょうか?

全てがデジタルでつながる社会に対して有効とされているアーキテクチャが「CPS(Cyber Physical System)」モデルです。

画像1

IoT(Internet Of Things)というワードが、すでに普及している現在において、5Gやクラウドシステム等のテクノロジーの進化により、IoTを単体で利用するだけでなく、IoTの情報をどのように活かすのかにシフトしてきています。
そのような環境の中で登場した考え方が、「CPS」です。

あらためまして、CPSとは、Cyber Physical Systemの頭文字をとったものです。エッジ(物理)とクラウド(エッジ)に分離したシステムによるデジタル時代の新しいモデルです。

フィジカルレイヤー(現実世界)では、OMOのようにオンラインにオフラインがマージされていきます。オンラインによる情報、人による情報、センサーシステム(IoT+エッジ等)が収集した情報をサイバーレイヤー(クラウド等のサイバー空間)でコンピューター技術を活用し解析し、経験や勘ではなく、定量的な分析を実施して、様々な産業・業界へ役立てようという取り組みです。

例えば、自動運転がそうです。今後、EV(Electric Vihecle:電気自動車)やCASE(Connected:コネクテッド、Autonomous:自動運転、Shared & Services:シェアリングとサービス、Electric:電気自動車の頭文字をとった造語)、MaaS(Mobility as a Service)等の進化により自動車のセンサーがフィジカル(物理的な)な様々な情報を収集します。収集した情報をAI等のテクノロジーが分析し、駆動系(フィジカル)を動かすといったケースです。

CPSの大きな特徴は、前述の通り、拡散・拡大されるIoTや人やオンラインデータの大量に発生するデータを蓄積し、定量的に解析し、フィードバック(活用)までを含むことにあります。
フィードバックや活用において、フィジカルを動かすという意味では、近年、複雑化が進んでいる組み込み系のシステムとの関連性は非常に密になります。

この物理とサイバー間の連携におけるアーキテクチャー設計が重要になってきます。
ここで、エッジ・コンピューティングという考え方が求められるようになってきます。
エッジコンピューティングとは、IoT端末などのデバイスや、その近くに設置されたサーバ側(エッジ)で、データ処理・分析・フィードバックを行う分散コンピューティングの概念です。
クラウドにデータを送らず、エッジ側でデータのクレンジングや処理・分析を行うためリアルタイム性が高く、負荷が分散されることで通信の遅延も起こりにくいという特長を持ちます。

データを集中処理するクラウド(サイバー)に対し、データを分散処理するのがエッジコンピューティング(フィジカル)です。

画像2

エッジ・コンピューティングでは、従来のIoTの構造における、「ネットワーク負荷の増大」「高いレイテンシー」「セキュリティ」の課題を解決します。

ネットワーク負荷の軽減
エッジ・コンピューティングは、エッジ側で高速・安全にデータ処理を行いつつ、必要なデータのみをクラウドに送る新たなアーキテクチャです。
データ処理をエッジ・サーバ側で行った上で、必要なデータのみをクラウドに送ることで通信量を抑えます。

低レイテンシ
「低レイテンシ」はエッジ・コンピューティングの最大の特長のひとつです。エッジ・デバイスそのものや物理的に近くにあるエッジ・サーバはデータ処理に係る遅延を大幅に軽減させることが可能となります。
リアルタイム性が求められるIoTデバイスなどでは数ミリ秒であっても遅延は致命的な問題となります。
データの蓄積・管理はクラウド(サイバー側)で、迅速なデータ処理はエッジ・コンピューティング側で、それぞれ行うなどの対応を取ることで、リアルタイムな処理が実現できるようになります。
今後、5G(第5世代移動通信システム)が普及することにより低レイテンシを実現することが可能となります。5Gは超高信頼・低遅延の実装を予定しており、リアルタイム性が極めて重要なIoTにも応用が可能とされています。

セキュリティ強化
セキュリティの強化もエッジコンピューティングのメリットのひとつです。
外部ネットワークを介さずデータ処理をエッジサーバで行うため、データのやり取りにおけるデータ漏えいリスクを大幅に抑えることが可能です。
クラウドに送信するデータは、エッジサーバで処理したデータのうち、蓄積や管理が必要なもののみとなるため、ネットワークの負荷が軽減されることとあわせて、データ漏えいリスクも抑えることができます。
さらには、近年、注目されているセキュリティモデルであるZTNAは、高度なセキュリティが求められるエッジコンピューティングにおいても有効なセキュリティ対策になります。

このように、デジタル化していく社会において、テクノロジーは各産業・業界で全で中心的な存在になってきます。各産業や業界の垣根も低くなり、業界間でのデータやシステムの連携も増大し、その複雑に絡み合うシステムをどうコントロールしていくのかという課題は、今後ますます大きくなってくるでしょう。

それにともない、必然的にCPSようなアーキテクチャへの注目も高まってきています。

夢と現実世界を行ったり来たりしながら、データの収集から蓄積、解析、活用を一貫していくCPSのようなアーキテクチャーは、複雑化していくデジタル社会において、今後より存在感を高めていくと考えられます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?