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『マインドセットを考える』

「マインドセット」とは、考え方や物事の見方の「癖」のようなものです。
この背景には、生まれ持ったものや、時代、経験によって形成されている部分も多いかと...
人は、思考や行動をさまざまな意思決定をしながら生活をしています。その際の信念や心構え、価値感、判断基準にもこのマインドセットは影響を与えています。

そして、マインドセットは個人だけでなく企業や組織にも存在するといえます。
企業理念や組織文化、行動規範、経営戦略などから形成され、社風として表出します。

近年、なぜ「マインドセット」という言葉が注目されているのでしょうか。。。
新型コロナウイルスの感染拡大は社会に大きな影響を与えました。数年先も見通せないVUCAの時代で企業が継続的に成長するためには、経営陣やリーダー人材だけでなく、従業員一人ひとりの意識や発想を変化や課題に耐えうるものに変えていく必要があるからです。
そして、土の時代から風の時代に移行し、個が重要視されるようになりました。
また、多様性という言葉もトレンドになっていますよね。

このマインドセットの変化は、少なからず周囲に影響を与えるでしょう。

例えば、ポジティブな人とネガティブな人、それぞれと会話をしているときに抱く感情とその後の自分への影響を考えてみると、ポジティブな思考や言葉を受け取った後には、自分もポジティブな気持ちを持って物事に取り組みたくなるのではないでしょうか。

ポジティブなマインドセットを持つ従業員が増えれば、自然とそれが伝播し問題が発生したときにも前向きに解決できる組織になっていくはずです。
またマインドセットの変化は、冒頭の意思決定をする際の信念や価値感や判断基準が変わるので、業務への向き合い方にも影響し行動を変えていきます。

従業員の多くがポジティブなマインドセットに変わることで、成功を引き寄せる組織へと成長していくでしょう。

「マインドセット」には大きく分けて2つの種類があると言われています。それぞれの特徴について見ていこうと思います。

【成長マインドセット(しなやかなマインドセット)】
成長マインドセットはグロースマインドセットとも呼ばれます。成長マインドセットを持っている人は、「自分の能力は経験や努力によって向上できる」という思考から積極的に挑戦し、自主的に努力する傾向があります。
「成長マインドセット」を獲得することは、集中力や忍耐力が向上し、目標を成し遂げられるようになります。
そして、個人だけでなく企業・組織においても成長マインドセットが求められます。
成長マインドセットの浸透で、自主的に努力し挑戦する社風が生まれます。
ということは、リーダーはその企業・組織に成長マインドセットを浸透させていくことが企業の成長に大きな影響を及ぼすといえます。

【硬直マインドセット】
硬直マインドセットはフィックストマインドセットとも呼ばれます。
成長マインドセットとは対極の思考です。
「自分の能力は経験や努力によって向上できない」というように、思考が硬直してしまいます。
硬直マインドセットを持っていると、目標を達成するまでの間に障害が生じると、不正やごまかしを行おうとしたり、自分より劣る人間を探し問題や責任を転嫁したりと課題解決につながらない行動に走りやすくなります。

「個人」と「組織」のそれぞれにおける「マインドセット」とはどのようなものかを考えてみたいと思います。

【個人における「マインドセット」とは】
・経験
生まれてから今までに得た経験は「マインドセット」に大きく影響します。成功体験は自分のやり方や考え方に肯定感を生み、失敗は同じ物事への抵抗感を生み再度チャレンジする際の障害になります。
努力をして成功した体験が多くあれば、自然と成功マインドセットを獲得できると考えられます。
努力しても成功した体験がなければ硬直マインドセットに陥りやすくなります。

・先入観
先入観とバイアスは「マインドセット」の中でも変えることが難しい要素です。
先入観は生まれ育った環境や接する人、情報によっても形成されていきます。
偏見や差別を生むような先入観は、多様性を許容できず周囲と軋轢を生む可能性がある、負の影響を与えるマインドセットといえるでしょう。

・価値観、信念
価値観や信念は、個々人の実際の行動に影響を与えています。

・暗黙の了解
暗黙の了解も「マインドセット」に含まれます。
暗黙の了解は所属する場所によって左右される変化しやすいマインドセットです。
忖度というものもここに当てはまります。

【組織における「マインドセット」】
・戦略、ビジョン、理念
戦略、ビジョン、理念は企業が目指す道であり、企業文化の醸成に欠かせないものです。最近では、パーパスということも重要視されています。
理念の共有によって経営陣も従業員も同じ心持ちで業務にあたれるようになります。

・事業
企業や組織の事業特性は、企業の組織文化の構成に大きな影響を与えます。
例えば、テック関連企業ではスピードや効率が求められます。

・経験
企業や組織の成功から不祥事まで、あらゆる経験が企業文化を形成します。大きな成功や失敗はなくとも、当初とはことなるビジネスモデルや見込んでいた客層とは異なる客層を得て、自社の製品やサービスに対する価値観が変わることもあります。

企業におけるマインドセットの浸透は、そのマインドセットによって従業員の行動に大きく影響します。
「成長マインドセット」を浸透させることによって、従業員が自信を持てるようになり、自身のキャリアに対して前向きになれ、企業・組織での生産性が向上します。
そして、従業員の多くが成長マインドセットを獲得すれば、社内全体にポジティブシンキングが広がります。ポジティブシンキングは、社内の雰囲気を明るくしてくれ、透明性の高い組織づくりにも役立つことでしょう。ポジティブな空気は「いつでも自分の意見を受け入れてもらえる」という安心感につながり、従業員の属性に関係なく互いに自由に意見し合えるオープンな関係性を構築してくれると思います。
これが組織における心理的安定性にもつながるのではないでしょうか。
心理的安定性についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

ということで、マインドセットの浸透においてリーダーに求められるものも大きいのです。

【リーダーに求められるマインドセット】
リーダーの「マインドセット」は、チーム全体に伝わり生産性にも大きな影響を与えため、リーダーには優れたマインドセットが求められます。
リーダーは常に成長マインドセットを持ち、企業や組織の「場」をポジティブな空気にする必要があります。
そのポジティブなマインドセットをチーム内に浸透させ、意見を言いやすい空気をつくらなければいけません。
決して、リーダーからの一方的な通知や指示では、従業員はのマインドセットは硬直化するだけです。
常にリーダーは、注意を図るべきです。
なにかの指示を出す場合も、指示だけではなく、その背景や目的を添えて指示を出す必要があります。

最後に「マインドセット」は本人の無意識内にあるものです。
そして、それは日々の行動や意思決定に大きな影響を与えています。
マインドセットは無意識であるため、意識的に変化を促さなければなかなか変えることができません。

企業・組織のリーダーが常にこのマインドセットを成長マインドセットに変えていくようなことが企業の成長やレジリエンス力に対して非常に重要になります。

おしまい

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