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7月の微熱

ものすごく眠いときと発熱時の感覚はよく似ていて、いまだにまちがえてしまう。

まちがえてしまうというのはつまり、発熱を眠気と勘違いしてしまうということで、それとは反対に眠気を発熱とまちがえることはほぼない。なぜだろう、不思議だ。

昨日もそのパターンで、なんだかやたら眠たいな…と思って昼寝をしたら余計身体がつらくなり、夕方ごろにかすかに関節の痛みを感じたので「これはきたぞ」と確信して体温計で熱をはかると37.9度の熱があり、びっくりした。

ごはんは食べられそうだったからもぐもぐ食べて、早めにおふとんに入った。昼寝をしたせいでなかなか眠れなかったけど、我慢して目を瞑り、うとうとまどろんだ。

夜に目覚めて熱をはかったときは39.0度近く熱がでていたけれど、今朝は36.7度くらいに落ち着いていたので、今これを書いている。

熱があって身体がだるい以外には何も症状がなく、一晩寝たらその熱もすっかり下がってしまったので、両親の間では、この前うちのお寺であった施餓鬼の法要に私が出仕したことが関係あるのではないか、ということで話が落ち着いている。

私はまだいわば修行中の身だから、どうやら強く影響を受けてしまったみたい。

お寺に暮らしていると、家族にせよお参りしてくださるひとの話にせよ、そういうすこし不思議な話はよくある。

さて、私は病弱というほどではないのだけど、どうやら虚弱体質で、思春期からずっと偏頭痛に悩まされているし、季節ごとに身体がくたびれて体調を崩す。熱も年に何度かは必ず出す。

そして私は決して運動音痴ではないけれど、体力自体はあんまりないので、高校のころに毎年秋の体育でロードレースをしていたときなどは本当につらかった。

授業で毎回3km程度の距離を走らされ、そのあとは必ずひどい頭痛に襲われるのだ。その日の体育以降の授業は全く手につかなかった。

高校生の私は小中学校のときの感覚のまま、自分はわりと運動ができる方だと思っていたので、自分のいまの体力以上のペースで走ってしまっていたのだ。ゆっくり走れば頭痛に悩まされることもないのに、プライドもあってちょっと頑張ってしまうのだな。

昔も今も、私にとって何よりもよくないのは睡眠不足。睡眠不足になると途端に身体が弱ってしまう。

試験勉強などで夜遅くまで起きていなくてはならないとき、私は自分を世界一不幸な女の子だと思っていた。こんなに遅くまで眠れないなんて…と思い、それだけでめそめそしていた。その話をすると恋人は笑っていたけど、私は本気で言っていたのだ。

そういうわけで周りの友だちに比べても、私はよく熱を出したり風邪を引いたりする方だったと思う。

けれど私はあくまで虚弱体質なのであり、決して病弱というわけではないので、どこか身体に悪い器官があるとか、病院にしょっちゅう入院しているとか、そういうのではない。

眠気と発熱を勘違いする程度のレベルなのだ。

今日だって実質微熱程度のもので、わりと元気な状態だったけれど、両親が「今日はゆっくりしなさい」と言ってくれたので、ありがたく1日中ごろごろしていた。

私は昔から本を読むのが好きなので、熱を出して早退した翌日に大事をとって学校を休むときとか、インフルエンザに罹ってしまったためにしばらく学校へ行けないけど、解熱して暇で仕方ないときとかに、こっそり本を読んでいた。

そして、ときどき私の様子を見にくる母にそのことがばれると、「あんた、今本読んでたでしょう。ちゃんと身体を休ませないとだめだよ」と叱られる。なぜだか分からないけど、母には必ずばれるのだ。

でもずっと横になっているのも暇なので、つい本をふとんに持ち込んでしまう。

もちろん私だって、熱が高くて本当に休まないといけないときには本を読んだりしない。発熱していたら眠るのに一生懸命で、本を読む体力はないもの。

今日は大丈夫だったので、おふとんの上で本を読んだ。さくらももこさんの『さるのこしかけ』と、村上春樹の『国境の南、太陽の西』を読み終わって、いま吉本ばななさんの『パイナップリン』を読んでいる。読みすぎだ。

そしてどうしてか村上春樹のことはさん付けではなくて呼び捨てにしてしまう。ごめんなさい。

そろそろひぐらしが鳴き出したので、noteを書くのをやめて、読書の証拠隠滅にかかろうと思う。

そして私自身がこういう子なので、もしいつか私が子どもに恵まれ、その子がある程度大きくなって熱を出し、学校を休んで寝ているのにもかかわらず隠れて本を読んでいたら、「もう!全く、誰に似たんだか!」などと言ってぷりぷり怒りつつ、大目に見てあげようと思う。

そんな未来がいつかくるといいな。

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