虐待サバイバーの先輩
私の大切な人の話です。
その方は昔のバイト先の先輩で、とても明るくて社交的で仕事もデキて、憧れの存在でした。
ある日二人で話していたら、両親から虐待を受けて育ったと告白してくれた。
シャツの袖をまくると、火傷の跡があった。
「親にやられたんだ」
いつもとびきり笑顔の先輩からそんな事実をきいて衝撃だった。
「お兄ちゃんがいるんだけど、お兄ちゃんには普通で、俺だけいつも殴られてた。
当時は虐待のニュースとかなかったし、
これが当たり前だと思ってた。
学校ではピエロやってたよ。
中学卒業して家出て、まぁグレたよね…
でも工場で働いてたときに、おばちゃんたちから、おもしろいねって褒められてたんだ。
明るいから接客やったら?って言われて。
それで、この仕事始めた。
天職だと思ってるよ。
俺は不幸が普通だったから、
普通がハッピーなんだ。
これって得じゃない?笑」
15年以上前の話だけど、鮮明に覚えている。
過去の傷すら武器にして、前向きに生きている。
人の痛みを知ってるからこそ思いやりがあって面倒見が良くて、みんな先輩のことが好きだった。
私は先輩に追いつきたくて、認められたくて、仕事を頑張った。
誕生日には「生まれてきてくれてありがとう」と言ってくれた。
人との出会いをとても大事にする人で、新人にも自分から挨拶をするし、誰に対しても平等だった。
現在は介護施設などを運営する会社の社長。
今でも辛いことがあると思い出す。
『これを乗り越えて明るく笑ってみせる!』
そう思わせてくれる存在。
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