【トレード実践知識】環境認識・マルチタイムフレーム分析
前回のノートでは、ローソク足の見方について説明しました。
チャートは取引量が多いほど波を作りながら進んでいく特徴があり、一本調子で進み続ける事は希です。
トレードの基本はトレンドの波の中で下がったときに買い、上がったときに売るのが理想ですが、見る時間足によってはトレンドが全く違う方向を示している場合があります。今回のノートでは、そういった時間足を跨いだ分析方法を説明していきます。
環境認識
大衆トレーダーは、早く利益を上げたい心理に偏ると、より短期足に注目し、すぐにエントリーできるチャンスを探そうとします。しかし、「上位足による支配」を理解して短期足を狙わないと、思わぬトレンドの転換によってよって損切りになる事になります。これを避けるためには、「環境認識」を行う事が重要です。
環境認識をする目的は、目線(エントリーする方向性)を明確にすることにあります。目線を定めずトレードをすると、感情的なトレードをしてしまい、あっという間に資産を失ってしまうからです。
上の画像はFXのドル円1時間足ですが、現在上昇トレンドを作っています。
しかし、チャートを日足に切り替えて見ると、今は下降トレンドの中にいることがわかります。
1時間足だけをみてロング(買い)エントリーをした場合、いずれ日足の下降トレンドの波にのまれ、いつかは損切りする可能性が高まります。これを、「上位足による支配」と言います。
このチャートであれば1時間足が下降トレンドになるまで待って、日足の下降トレンドに追従してショート(売り)エントリーをした方が有意性が高いでしょう。
このように、今エントリーする方向が適正かどうかを上位足を見て確認することを環境認識と言います。
マルチタイムフレーム分析
複数の時間足を見てチャートを分析することを、「マルチタイムフレーム分析(略してMTF分析)」と言います。難しく横文字を使っていますが、
要は環境認識と同じで、「上位の時間足のトレンドを確認しよう」という事です。
マルチタイムフレーム分析の基本は、上位足の「スイング」を見つけ、現在が波のどの位置にあるのかを分析します。
ここで言う「スイング」とは、ポジションの期間を示す「スイングトレード」とは関係ありません。
「スイング」というのは、波の中にあるトレンドを示すもので、上記の画像の○で囲った部分を指します。青色で囲っているところがベア(下降)のスイング、赤色で囲っている所がブル(上昇)のスイングです。
このスイングの中で、現在が戻り高値にいるのか、あるいは推し安値にいるのかを分析して、エントリーする方向を決定します。
平均足を使ったトレンド(スイング)の把握
もっと分りやすくトレンド(スイング)を把握したい場合、平均足を使う方法があります。平均足とは「直前の始値と終値の平均値を『始値』」として描画します。つまり、前の足の中心が始値となります。また、終値は四本値の平均値となります。
上の画像は、ドル円の日足に平均足を表示し、通常のローソク足を消したMT4のチャートです。
見ての通り、トレンド(スイング)となっていた場所が明確にわかります。平均足は、陰線が出れば陰線が連続し、陽線が出れば陽線が連続してみえるのが特徴なので、初心者でも簡単にトレンドの方向性がわかります。
余談ですが、「あるシグナルと平均足で陰線(あるいは陽線)が出たら、次に逆方向の足が出るまで順張りで握り続ける」という勝率の高いトレード手法があります。中途半端な知識でマネをすると損失を被る可能性が高いので今は詳細を明かせませんが、いずれノートにしたいと思います。
MT4で平均足を表示する方法:
・ツールバーにある「挿入」ボタンをクリック
・挿入メニュー内の「インジケータ」を選択
・「カスタム」から「Heiken Ashi」を選択してクリック
MT4でローソク足を削除する方法:
・ツールボックスにある「ラインチャート」ボタンをクリック
※TradingViewにも平均足を表示する方法があります。
環境認識の罠
では、環境認識で日足のトレンドの方向性がわかったとして、週足・月足でまた逆のトレンドになっていたらどうでしょうか?そこまで気にしていては、いつまで経ってもエントリーができませんよね。
トレードに馴れてないうちは、まず「チャートの情報量の多さ」という壁にぶつかります。あまり意識する時間足を増やしすぎると、目線が定まらず逆効果となってしまいます。環境認識を過剰に意識するのも逆効果です。
環境認識の実践方法
環境認識の罠に陥らないために重要なのは、自分がトレードしたい時間足を定めるということです。
「『5分足』の短期エントリーしかしない」という1つでも良いですし、
「『5分足』の短期と、『日足』の中~長期でエントリーする」という複数パターンでも良いです。人それぞれトレードに割ける時間は違いますので、一定の答えはありません。そして、トレードしたい時間足を決めたら、環境認識はその2~3つ上の時間足までと決めておきましょう。
前のノートでは日足と4時間足が重要と話しをしましたが、15分足以下のトレードしかしないのであれば、無理をして日足まで見る決まりはありません。チャートの情報量に馴れないうちは、意図的に情報量を絞る事も重要です。
エントリーの時間足/エグジットの時間足
相場はいずれ転換を迎えます。相場が転換を迎える時は、必ず下位足から兆候が現れます。これを、「下位足からの転換」と言います。1分足からトレンドが崩れ始め、5分足、15分足、30分足という形で上位の時間足に波及していくイメージです。「上位足の支配」は、「下位足からの転換」によって崩されていきます。
私が実践している最も理想的なトレードは、下位足のトレンド転換を見極めてエントリーし、上位足の目線でエグジットする事です。こういった理想的なトレードは非常に難しいものですが、しかし、その逆である「理想に反するトレード」は、誰でも、いとも簡単にできてしまいます。
大衆トレーダーは、いざエントリーすると下位足が気になって仕方がなくなります。そして、メンタルが弱いと下位足のトレンド転換の兆候をみて恐怖を感じ、建値あるいは損切りでトレードを終える事が多くあります。
実際にエントリーした人にしかわからない心境ですが、リアルに資産がマイナスになっていく様子は、メンタルに非常に強いストレスがかかります。私も過去何度も経験していますが、4時間足を見てエントリーしたのに、いつのまにか5分足、あるいは1分足の動き、さらにはティックチャートまで気になって成行きで撤退することがありました。こうなると完全に負けるメンタルに陥っています。負けが込むだけなので、メンタルが落ち着くまでトレードをしないで下さい。
4時間足でトレードするならば、エントリーはなるべく4時間足以下を見て決定し、利確と損切りラインは4時間足以上を見て決めるように心がけてください。
勝つためのトレードは非常に難しいのに、その逆は非常に簡単にできてしまうのが、この世界の恐ろしい所です。
メンタル管理については、いずれ別のノートにしたいと思います。
今回は以上です。
次は、「移動平均線」について説明したいと思います。
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