人生楽勝ーーwwwと彼は叫んだ

2年ほど前だろうか。彼らは若くていかにもチャラそうな男の二人組であった。
隣のテーブルに座った私が安い昼定食を食べている間、その店で一番高い定食をくちゃくちゃと汚ならなしく食べていた。
24くらいだろうか。とにかくよく喋る。私の姿を見てヒソヒソと話した後、なぜか人生を語り出した。

彼曰く、大学受験もほとんど勉強せずに推薦で合格し、大学は楽な講義だけ受けて単位を取得し、地元の女子高生と何人も関係を交わし、親の自営業を継いで就活もしなかったという。
ものすごく大きな声で何度も喋っていたので覚えてしまった。

ほんとうによく喋るし、チャラいことや昔悪いことをしたのを自慢げに喋る。
私は自分の小さな楽しみ(週に一度の外食)を汚されたように感じて不愉快だったが、黙って本を読んでいた。

しかしさらに鼻につくことを喋り出した。彼は自営業の親がそこそこ大きな事業をしているらしく、コロナで支援金を大量に受け取っていたらしい。そして友人と二人でバックパックの真似事しているようである。大声で話してくれるのでよく聞こえる。

コロナの補助金取得に失敗して自営業にを廃業、細々とアルバイトをしている独り身の私とは大きな違いである。彼らを妬むことなどはしないが、人生の落伍者の私としては聞いていて気持ちのいいものではない。

実は、私の周りにはそういう話がたくさん飛び込んでくる。尋ねたわけでもないのに、あらゆる人がランチタイムに人生を語りだす。私には人生を語り出させる領域展開能力でもあるのだろうか。

いずれにせよ私は負けぬよう背筋を伸ばして本を読み続けるしかない。友もおらず嫁も子どももおらず、就職内定すらとれないフリーター。しかし世の中を嘆かず恨まず嫉妬せず、淡々と勉学をするしかない。

まあ読んでたの小説なんだけど。ランタイタイムにまで勉強してどうする。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?