オードリー春日さんの話を聞いていたら、なぜか「葛飾北斎」のストイックさを考えた

こんにちは。静物(@seibutsu_ga)と申します。

ただの美術好きとして、Twitterで美術のことについて呟いたりしています。美術ライターのお仕事もちょこっとだけやっていたりします。

先日のオードリーのラジオ番組を聞いていましたら、若林さんが春日さんに対してこんなおちょくりをしていました。

「春日さんは子供ができたから頭の中が幸せになっていて、仕事を頑張るようになっているんだよな」

オードリーとわたしたちリスナーとの間には「春日さんはお笑いに対してまじめに向き合っていない」という共通認識があります(もちろんこれはジョークの範囲です)。

さっきのおちょくりの一言は、この認識をベースにした”お笑いトーク”なわけですね。

さらに若林さんは続けます。

「環境を変えたり、家引っ越したりしたらちょっと仕事頑張ろうと思うとか、そういうのあるじゃん。ちょっと高いパソコン買っちゃおうとか。そういうノリで、お笑いも頑張りだしてんだよね」

と。

リスナーとしてニヤニヤと笑いながら、「でも確かにそういうのってあるなあ〜」なんて思っていると、不意に葛飾北斎のことが思い浮かんできました。

葛飾北斎といえば、

江戸時代の超有名浮世絵師です。富嶽三十六景とかで有名な、あの人です。

この北斎って、実は一生のうちに30回以上も画名(作品を作るときのペンネームみたいなもの)を変えてて、しかも引越しも90回以上してる人なんです。

で、このエピソードって大体「奇人」エピソードとして片付けられちゃうんですが、実はこれって、北斎なりに絵のクオリティを上げ続けるために意図的にやってたことなんじゃないかな〜なんて思ったのです。

北斎は自らを「画狂老人」と名乗ったこともあるほど、絵画を一生かけて追い求めてきた人です。死ぬ直前に、「あと10年長生きしたら、本当の絵描きになれたのに……」とつぶやいた、なんていう逸話もあります。

これはかなりの絵画狂い。かなりのストイックさです。いや、もはやストイックなんていう言葉を超越しちゃってるかもしれません。

「環境を変えると仕事に身が入る」ことを知っていた北斎は、あえて何度も名前を変えたり、家を変えたりしていたんじゃないでしょうか。

現代でいうと……?

自らの仕事に魂を捧げたストイックな人というと、現代だったら誰が思い浮かぶでしょうか。

イチローさんとかでしょうかね?

もしもこの世界が「引越しをすればするほど、野球が上手くなる世界」だったなら、イチローさんなら90回引越ししかねないですよね。

北斎って「長生きした変人おじいちゃん」みたいな感じで見られがちなんですけれど、生きていた頃は実はイチローさんみたいな、キレッキレの仕事人だったんじゃないかなあ。絵画に身を捧げたハードワーカー。

なんかそう思うと、彼の作品もちょっとイメージが変わってきそうです。

(余談ですが「ストイック」という言葉は、紀元前に誕生した哲学の一派「ストア派」が語源なんだそうです。ストア派がめちゃ禁欲的な考えをもつ人たちだったからなんだそう。しらなかった。すごい語源ですよねw)

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