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國文學研究会大東文化大学
2024年7月6日 06:21
ブラックコーヒーというものを、わたしは美味しく飲めたことがない。 初めは、わたしが子供舌なのが原因かと思っていた。けど毎日飲んで慣らそうとしたって、安いものだから不味いのだと品質を上げてみたって、ただ苦いだけだった。砂糖やミルクを入れても、苦味を誤魔化しただけに過ぎない。というか、それをしたって苦いことは変わりなかった。多少マシになっただけだ。 どうしても、わたしはブラックコーヒーを味わうこ
晴牧アヤ
2024年3月24日 18:59
いつだったか、私は夢を見た。死んだ親友が目の前に現れる夢だ。 まあ、もうまともに覚えてはいないのだけど。 彼女が亡くなったのは、高校二年の秋だった。彼女は元々体が弱く、私はいつも彼女の隣にいて、支えていた。だからこそ彼女がいなくなった後は随分塞ぎ込んでいて、しばらく不登校になっていた程だ。 彼女が再び現れたのは、その年の冬のこと。その夢の中で、未だに朝日が昇っても起きる余裕が無かった私は
2023年7月9日 08:55
「圭、もう別れないか?」 大事な話だと彼氏に呼び出されて、一番に言われたのがこれだった。心当たりもあって予想もついていたのに、何を言われたのか解らないかのように固まってしまう。「え、えっと、また急だね……」「そうでもないだろ。最近お互い冷めてきてるし、この関係のまま続くのも良くないしな」 何一つ間違ってない、彼の言う通りだ。私は既に、彼を恋愛対象として見れていない。このまま付き合って