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アメリカのThree-Tier Systemと日本酒への影響

今日はアメリカで日本酒などの酒類を売るために無視できないThree-Tier System(スリー・ティア・システム)と日本酒への影響について、自分の理解をまとめてみたいと思います。


Three-Tier System(スリー・ティア・システム)とは?

アメリカで酒類を流通させるための規定としてThree-Tier System(スリー・ティア・システム)というものがあります。これは、
①輸入業者または製造者
②卸売業者(ディストリビューター)
③小売業者(販売店やレストラン)
は別法人でないといけない
、というルールです。

そして、①は②のみ、②は③にのみ販売ができます。
さらに、アメリカ国内の州を跨いだ販売ができないため、①輸入業者または製造者は、州ごとの②卸売業者(ディストリビューター)と提携を組む必要があります。

これにより、①の輸入業者・製造者が消費者に直販することは原則できず、まずは②卸売業者のカタログに入れてもらうことから始めないといけないという複雑な状況です。
②の卸売業者もやみくもに在庫を抱えたくない&すでに付き合いのある①輸入業者・製造者の競合商品を入れたくないなど、ビジネス上の事情も絡み合い、なかなか①輸入業者・製造者にとっては苦しい状況です。

Three-Tier Systemの日本酒への影響

この流通上の縛りによって、アメリカ市場で日本酒を売る際に影響があります。今回は、特に①輸入業者・製造者の視点から障壁となっていると考える3つを挙げます。

1、価格が高くなる

酒蔵から消費者の間に入るプレイヤーが多いとその分、マージンを取られるため、消費者が購入する価格が高くなります。
日本からの輸入品は生産出荷額の4倍、現地生産品は3倍になると言われています。

2、営業しにくい

③小売業者に売れるのは、②卸売業者のため、
①輸入業者・製造者サイドができることは、②卸売業者の営業サポートの立ち位置になります。
②の卸売業者の営業の方も、日本酒カテゴリ専売でも、特定の酒蔵の日本酒の専売でもないため、その営業の方に特定の日本酒の販売を促すのはハードルが高かったりします。
そのため、①輸入業者・製造者は同行営業や営業資料の工夫など、②卸売業者の営業のマインドシェアを高める工夫が必要になります。

3、消費者に情報が届きにくい

2とも関連しますが、①輸入業者・製造者が特定の商品の説明や酒蔵の製造ストーリーを消費者に届けたいと思っても、その間に②卸売業者と①小売業者が挟まるため、エンドの消費者まで情報が届きにくいです。
また、②卸売業者と①小売業者も日本酒に詳しい人ばかりではありません。
①輸入業者・製造者は、消費者への情報発信だけでなく、②卸売業者と①小売業者への情報提供も必要になります。

中々複雑に絡み合う日本酒マーケット事情ですが、たくさん学んでここでアウトプットできたらと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました!


[参考文献]
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.nta.go.jp/taxes/sake/yushutsu/handbook/pdf/05.pdf

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