アスリートのセカンドキャリアについて、伝えたいこと。
アスリートにセカンドキャリアを語ると、少なからず不安が生まれるのではないだろうか。
専門競技1本に人生をかけて来たアスリートにとって、それ以外の道を考えるとなると、途方もない思いに老けてしまうものだ。
ただ、ここで間違いなく勘違いしてもらいたくないのは、セカンドキャリアなんてものは、誰かが作り出した「言葉」なだけであって、そんなものは存在することもなければ、目に見えるものでもない。
不安になんて思う必要性のないものだということ。
今日は自分自身が独立リーガーを引退した後、キャリアを築く中で気付いた、「セカンドキャリアへの不安」について、書いて行きたい。
ただ、前提として僕自身、決して成功者ではないということ。
それでも、アスリート時代に抱えるセカンドキャリアへの不安とは、なかなか耐え難いものでもある。
だからこそ、そんな不安を少しでも解消できるきっかけとなれば幸いだ。
1.アスリートの力
まず、アスリートが持つ力とは何か。
没頭力だ。
その競技1本でお金を稼ぐだけの専門性があるということは、それだけその競技に打ち込んだという証拠でもある。
はっきり言ってしまえば、そんなに人生に没頭できることを見出せないまま、社会人となり、人生を過ごす人が大半だ。
決してそういった人たちを非難するわけではないけれど、そういった人生を過ごす人が多い中、プロのアスリートとしてその競技に全うできる人たちは、本当にすごい力だ。
もちろん、当の本人はそんなことには気付かないだろうし、そこを誇りに思う必要もない。アスリートの世界では当然のことであると同時に、それがなければ生きて行くこともできない。
それでも、自分たちはそれだけの力を持っているのだと、自覚を持つだけで今は良い。
2.不幸なこととは何か。
一転した話にはなるが、人生において最も不幸なこととは何だろうか。
お金がないことでも、頭が悪いことでも、彼女がいないことでもない。
「選択肢がないこと」だ。
なぜ、アスリートがセカンドキャリアと聞いたら、不安になるのだろうか。
今、没頭している競技ができなくなる生活と言うものを、想像できないからではないだろうか。
そして、会社、仕事と言ったざっくりした想像から、名刺の渡し方やエクセルの使い方、会議など、頭が痛くなるような言葉を思い出し、思考を止めてしまう。
もう不安だらけでしかない。
だからと言って、今のうちに名刺の渡し方を勉強しておきなさいとか、エクセルの使い方を学んでおきなさいと言ったものではない。
あくまで今は、なぜ、そうなってしまうのかと言う流れ、仕組みを理解してほしい。
前置きが長くなった。
こうなってしまうのは「選択肢」がないからだ。
もし、自分の生活の中に、競技以外に時間をかけていることがあれば、アスリートとしての生活を終えても、また別の選択肢があるわけだ。
それは生活でも仕事でも、なんでも同じこと。
何に対しても、選択肢があることで、考え方の幅や行動が広がって行く。
逆に、選択肢がないことで、考え方も、行動も、一丁単になる。
一生不安を抱えながら、何かに依存してしまう。
僕自身、生き方や考え方の選択肢が本当に少なかったと、常々思っている。
野球に依存していたという認識もある。
今、選択肢がたくさんあるかと言うと話は別だが、少なからずそういった一面があると理解できただけでも、考え方や行動は大きく変わっている。
だからこそ、「選択肢がないこと」は、人生において最も不幸なことだと思っている。
3.仕組みを理解すること。
ここでようやくセカンドキャリアへの不安を拭うための話をする。
まず、仕組みを理解することの重要性だ。
先ほど「流れや仕組みを理解してほしい」という話をしたが、仕事についても同じことが言える。
なぜ仕事、会社は存在するのだろうか。
簡単な話だ。
利益を上げるために存在しているということだ。
公務員となるとまた話は別だが、最終的なゴールとして、結論は同じはず。
もちろん、会社が成り立つための法律、仕事のルールとして細かい仕組みはあるけれど、普遍的なものとしては、この利益を上げるために存在しているということ。
まずはこの存在意義、仕組みを理解しておくことが大切だ。
4.役割の理解。
もう一つ、仕組みに続いて理解すべきことがある。
それは、「役割」だ。
物事には必ず仕組みがある。そして、その中には必ず役割がある。
企業がお金を稼ぐために、営業という職種があって、広報、更には経理という職種がある。
こうやって仕組みには必ずそれぞれ役割があるわけだ。
そして、アスリートという職業にも、役割があるわけだ。
果たして、どんな役割があるだろうか。
5.アスリートの役割とは。
アスリートの職業は、「個人事業主」としてくくられる。
その役割は多様だ。
答えなんてない。
ここまで読んでもらって気が抜ける内容かもしれないが、これが事実だと思っている。
ただ、これは大きな大きな可能性だとも思っている。
そして、この役割の本質を理解できれば、間違いなくセカンドキャリアへの不安もなくなると思っている。
利益を上げるという社会の仕組みに対して、役割の答えはない。
もちろん、野球選手の場合、ヒットを打って利益を上げるのも1つだ。
ただ、それはあくまで1つの選択肢だ。
決して試合の中だけが利益を上げられる機会ではない。
アスリートの持つ商品力は偉大だ。
ユニフォームを着ているだけで、人が近寄ってきて、喜んでくれる。
今、普通の生活をしている人間からすると、どれだけうらやましいことか。
この自分自身の商品力、影響力を自覚することはとても大切なことだ。
そして、その自覚を持ったうえで、今の立場、役割というものを最大限に活用できたとき、アスリートとしても十分社会の仕組みの中で対応する力がついているというわけだ。
仮に次のステージへと進むとき、その経験とは本当に心強いものとなる。
不安なんて持つ必要がなくなるわけだ。
6.伝えたいこと
ここまでだいぶ長くなったが、先にも述べたように、僕自身決して成功者ではない。
今、現役のアスリートと同じように、現役の社会人として、自分自身のキャリアを積んでいる途中だ。
そういう意味でも、キャリアにセカンドもサードもない。
何度も言うが、「セカンドキャリア」という言葉に、不安を持つ必要はない。
僕は成功者でもなければ、決して頭の良い人間でもない。
普通の高校を出て、普通の大学を出た。
何かを特別に勉強したわけでもない。
ただ、それでも、一つのことに没頭し、熱中し、自分の納得の行く生き方を進んでいるだけだ。
アスリートとして稼いで、その道を追求して生きるということは、本当に尊いことだと思っている。
稼ぎがいくらとか、そんなのは関係ない。
そこで生きると決めて、行動していることで、十分称えられることだ。
その時間は大切にしてほしい。
7.最後に
先に述べた、「選択肢」を増やすのは自分だ。
仕組みと役割を理解すれば、きっとアイデアは浮かんでくる。
その選択肢の増やし方がわからなければ、わかるまで考えればいい。
決して1人じゃないのだから、わからないことは聞けば良い。調べれば良い。
その行動が、きっとセカンドキャリアへの不安をかき消してくれるのではないだろうか。
そして、もっともっと、価値のあるアスリートへと導いてくれるのではないだろうか。
可能性を殺すも生かすも、自分自身。
価値のないものは淘汰される。
そんなシビアな世界で中で生きているからこそ、多様な生き方を見つけることで、きっと新しいキャリアを築くことができるはずだ。
ご精読ありがとうございました! まだまだ未熟者ですが、スキ、コメント、フォロー、シェアしていただけるよう、これからも頑張ります! こちらもぜひ! Twitter https://twitter.com/nozoe_seigo また遊びに来て下さい!