【小説】戦争のしらせ(前編)
翌朝の新聞は予定通りに南(なん)溟(めい)での開戦を告げていた。大統領は途中までを流し読み、顔をしかめた。引用されていた勅令が二度にわたって誤植されていたからである。大統領は即座に秘書官を呼んでこのようなことがないようにと厳命し、なんとなればこれは人の生死に関わることなのだからな、と付け加えた。ただちに対処いたします、秘書官はかしこまったのちに告げた。閣下、本日はお忙しくなるかと存じます。なにしろこのような偉大な一歩の記された日ですから。はたしてそのようになった。まずは電話が