【小説】戦争のしらせ(前編)

翌朝の新聞は予定通りに南(なん)溟(めい)での開戦を告げていた。大統領は途中までを流し読み、顔をしかめた。引用されていた勅令が二度にわたって誤植されていたからである。大統領は即座に秘書官を呼んでこのようなことがないようにと厳命し、なんとなればこれは人の生死に関わることなのだからな、と付け加えた。ただちに対処いたします、秘書官はかしこまったのちに告げた。閣下、本日はお忙しくなるかと存じます。なにしろこのような偉大な一歩の記された日ですから。はたしてそのようになった。まずは電話がひっきりなしで、秘書官が厳しく判じ分けても大統領に回ってきた電話は十五本に及んだ。政権与党の幹事長、有力議員、財界の有力者が、いずれも興奮ぎみに大統領の英断を褒め讃えた。閣下、おめでとうございます。これをもちましてわが国は新しい歴史の一ページを開きましたな。わがことのように誇らしく思いますよ。祖国と閣下にとこしえの栄光があらんことを! まことにもうしわけございませんでした、一本交じっていた震え声の電話は新聞社の社主からのものであった。必ずや関係者を捜し出して厳重な処分を下しますゆえ、なにとぞ、ご海容を……。大統領閣下は鷹揚に言った。いいんだ、いいんだ。大事の前の小事だ。しかし気をつけてくれたまえ、なんとなればこれは、人の生死に関わることなのだからな。赦(ゆる)しながら大統領は卓上の新聞にふたたび目を落とした。誤植を別にすれば、われながらまことにに荘重な勅令であると思われた。秘書官が数度にわたって練り上げた労作であり、昨日の議会で読み上げられ、すでにあらゆる手段を通じて全世界へと配信されているはずだった。テレビで、ラジオで、無線で、衛星回線で、インターネットで。このような偉大な足跡を記したのが、ほかならぬ自分であるということがにわかに信じられず、やがて社主との通話は上の空となり、受話器を置いてからも大統領はしばらく上気した顔であてどなく新聞に目を走らせていた。来客が続々と大統領公邸を訪れはじめた。政治家、財界人、報道関係者、その他もろもろ。秘書官が厳重に制限を加えたが、軍務大臣たちばかりは無(む)碍(げ)にするわけにもゆかなかった。海軍大臣は言った。閣下、わが軍は船団をなして戦地へと赴いております。いま時分はとうに揚陸の準備ができておりましょう。陸軍大臣は言った。閣下、わが軍はたくさん戦車を用意いたしました。歩兵は言うに及ばずです、練度も装備も申し分ございません! 空軍大臣は言った。閣下、近代戦はなんと言っても速度であります。船よりも戦車よりも戦闘機は速(はよ)うございますよ。爆撃の位置も標的もコンピューターが厳密に管理しております。軍務大臣たちは磊(らい)落(らく)に笑いあい、競いあうかのように大統領に話しかけた。うむ、うむ、諸君の尽力は察するに余りある、どの一人をも特別扱いしないように顔の向きに気を配りながら、大統領は言った。くれぐれも手抜かりのないようにやってくれたまえ、いくら相手がならずものであるとはいえ、これは人の生死に関わることなのだからな。三軍の大臣たちが退出したあと、大統領はどっと疲れた気分になった。このままゆっくりぬるい風呂に入れたらなあ……。しかし、秘書官は正確に大統領の時間を律していた。財務大臣が訪れ、議会での承認通りに戦費が執行されることを確約していった。科学技術大臣が訪れ、わが国の新型戦闘機を実戦投入できる喜びを伝えにきた。昼食前には、つめかけた報道陣のカメラの前に立たなければならなかった。ひどく緊張していたが、大統領は幾度も練習したように、能(あた)うかぎりの威厳を添えて述べた。このたびの戦争が不可避の判断であり、国権の最高機関たる議会でも圧倒的な賛成を以て承認されているということを。敵国はわが国に仇なすのみならず世界秩序をも脅かすならずものどもであり、平和に挑まんとする邪悪な力は必ずや手痛く報いられるであろうということを。今まさに戦地に赴いている兵士たちは国家的英雄であり、全国民からの敬意と激励が寄せられるべきであるということを。昨日の勅令をなぞりなおしたに過ぎない内容ではあったが、くたびれきってようやくついた昼食の席でテレビをつけると、報道陣の前のわがすがたは、すでに画面の中に映っていた。世界情勢ノ急速ナル変化ニ鑑ミ此ノ度ノ勅令ヲ発スルニアタリ余ハ……。大統領は顔をしかめた。どうしておれは、マイクを前にすると背を丸めるクセが直らないんだろう。いくども足を踏みかえているが、あれは、かかとの高い靴を履いたせいだろうか。ああ、そこは、そここそは、な、ら、ず、も、の、その言葉こそはそんな上ずった調子じゃなくて、もっと明瞭に、雄々しく響かせるべきだったんだ……。大統領はすっかり食欲が失せてしまった。半分以上を皿に残したままぬるいお茶をすすっていると、秘書官が興奮ぎみに入ってきた。閣下、謹んでご報告申し上げます。朗報です。ただいまのニュースは視聴率が八十パーセントを超えました。同時に行われました世論調査では、九十パーセントもの有権者が開戦を支持しております。なんと、それは本当なのかね? いぶかしむ大統領に秘書官が携帯端末を示せば、回線を通じていくつものニュースが展開されていた。開戦を支持する各国首脳の談話。街頭インタビューで興奮を隠さない群衆たち。凛々しい顔で戦闘機へと乗り込んでゆく柳眉涼しき兵士たち。いたるところで、膨大な数の人間たちが、こぞって戦争のしらせを喜んでいた。いくつかの画面を流し見ながら、大統領はすっかりはればれとした気分になった。ああ、よかった。まちがっていなかったのだ。大統領はのこりの昼食を平らげてしまい、午後の政務にも喜ばしげな顔で臨んだ。電話も来客もひっきりなしだったが、疲労すら心地よいと感じられた。折しも夏の終わるころだった。夕暮れが近くなれば、海からの風が強く吹いて公邸の庭木がざわざわと音をたてた。秘書官が現れて告げた。閣下、今宵は政務三役に幹事長を交えて会食の予定がございます。うむ、そうか。そうだったな。大統領はとたんに不安な気持ちになった。ついさきごろ電話で言葉を交わした人間たちではあったが、実際に顔をあわせて話をするのは憂鬱だった。面と向かって悪いことを言うはずもない、おべんちゃらにもお追従にも慣れっこだ。だけど、美辞麗句を連ねたあとで相手がふと言葉を切る、ほんのちょっと目を反らす、そのしぐさがおそろしかった。その目には本当にはどんな色が浮かび、まばたきや口元のゆがみにどんな感情が現れ出ているのか、そのことだけは決してうかがい知ることができなかったからだ。閣下、週明けからは議会です。しばらくお忙しくなりまで、くれぐれも連絡を密にして参りましょう。秘書官は浮かない顔の大統領が執務室を出るときにショウガ味のキャンディをそっとポケットに滑り込ませた。黒塗りの公用車が玄関前に横付けにされていて大統領が乗り込むと音もなく滑り出したが、いつものように正門ではなく裏門へと回った。秘書官はなにも言わなかったが、大統領にはわかっていた。車が公邸裏の細い街路をそっと曲がったとき、ずっと向こうの四つ角にほんの一瞬、隊列を組む群衆が警官隊に追い立てられているようすが見えた。大統領は悲しい気持ちになった。なぜ、あいつらは、この壮挙を喜んでくれないのだろう? おれがこれほど言葉を尽くしてきたというのに、どうして、この偉大なるできごとを理解してくれないのだろう? 大統領はリアシートに深く身を沈めた。政治家どもにおべっかを使われるよりも、あいつらがおれの偉業を褒め称えてくれたら、どんなにしあわせな気分になれるだろうと思った。銀座から築地でようございますか、運転手が訊いてきた。汐留から回ってくれ、秘書官が答えた。公用車は街道からトンネルをくぐり、まばゆく輝いて屹立する摩天楼の谷間を走った。大統領はうっとりと光りのまちを見上げた。なんと美しいのだろう、と大統領は思った。この栄華を、光輝を、永遠のものとせねばならぬ。それこそが、おれに課せられた使命なのだ。願わくば……。大統領は、とつぜん冷たい水しぶきが顔にかかったような気持ちになった。折しも車は駅前広場に出たところだった。広場に相対してビルが掲げる電光掲示板に、巨大な文字が光芒を放ってゆっくりと流れていった。開、戦、に、反、対、す、る、抗、議、行、動、各、地、で、相、次、ぐ……。

大統領は公邸で目覚めた。長いあいだ私邸には帰っていなかった。執務室に入ればすでに机の上に本日の新聞とミルクをたっぷり入れたコーヒーが用意されていた。新聞は一面を丸ごと使って戦争の展開を伝えていた。読もうとしても目は上滑りしてしまったが、わが方の勢いが破竹であることはまちがいがないように思われた。海からも空からも陸からも兵士たちは続々と進撃しているらしい。砲塔を連ねて走る戦車の写真に、思わず大統領は胸が熱くなった。なんと雄々しいのだろう。なんと勇猛なのだろう。願わくば、このまままっすぐに敵方の首府まで進撃し、邪悪な勢力を打ち破らんことを! 大統領の興奮は、やがてかかってきた三軍の司令官からの電話によって水を差された。陸軍大臣は言った。閣下、わが軍の戦車は敵国の国境五十キロメートルに迫っております。海軍大臣は言った。閣下、わが軍の戦艦は敵国の主要港を封鎖いたしました。おまけに潜水艦を一艘拿捕しております。空軍大臣は言った。閣下、第一次の空爆は成功裏に終わりました。なに、ほんの肩慣らしですよ。大統領は電話のむこうに悟られないようにそっとため息をついた。大臣たちが最後に言うことは決まっていたからだ。閣下、戦力の逐次投入は得策ではありません。より電撃的に、より大規模に、より多くの兵器を、もっとたくさんの資金を! 金ばかりは本当に困った問題だった。潤沢な予算を確保してはいたが、頑固ものの財務大臣がこれ以上の増額に応じるとは思えなかった。熱狂的に戦争を支持する人間でさえも身銭を切ることばかりは渋ったから、うかつに税金を増やせば不満が湧き上がるであろうことは目に見えていた。大統領はまたもため息をついた。いったいどういうおつもりなのですか! 議場に響き渡る声が頭の中によみがえってきた。反戦はわが国の国是だったではありませんか。仄(そく)聞(ぶん)するところによれば、すでに地上部隊は大規模な交戦を経験し、民間人にも被害が出ているとか。これはわが国の権益保持という大義名分を大幅に超えた侵略であると断じざるを得ません。野党の女性議員、ちいとばかりトウは立っちゃいるが、いい女なのに、なんでああガミガミ口うるさく言うんだろう? とてもじゃないが、あれじゃ素直にうなずくわけにゃいかないじゃないか。大統領は肩を叩かれて顔を上げた。議長から指名を受けているのに気が付かなかったからだ。ああ、その、議員諸君、大統領は言った。できるだけ威厳を添えて、背中を丸めないように気を遣いながら。今回の決定が国権の最高機関たる本議会において圧倒的多数により可決されたことは、周知のことでありましょう。それをあとからイヤだのなんだのとゴネるのは、どうも、駄々っ子のようでよくありませんな。いったん決めたことを後から覆そうとするのは、世のご婦人方に多く見受けられるようだ。ちがいますかな男性諸君。議場のあちこちからくすくす笑いが漏れた。そうだそうだぁ、合いの手の声が上がった。とにかくだ、いったん開かれた戦端をすぐさま閉じるわけには参りません。議員諸君、われらの責務は、貴くも全線で軍務に身を投じている兵士諸君に報い、わが軍の圧倒的な勝利を以て平和裡な終戦に至るよう、あらゆる助力を惜しまないことでありますぞ。幸いなことに、目下のところわが軍は破竹の勢いで進撃をつづけており、旭日昇天の勢いであります。この分では兵士たちはクリスマスまでには帰国し、戦場の手柄をみやげばなしにできるでありましょう。言い終わらないうちから万雷の拍手が起きた。大統領は片手を挙げて声援に応え、ぐるりを見回して腰をかけたとき、さっきの女性議員がこちらをにらみつけているのがちらりと視界のすみをかすめた。高揚した気分が、たちどころに冷え込んでいった。それは女性議員の怒りがあからさまだったからではなく、その目つきが大統領の妻を思わせたからだった。昔からそうだ、あいつは、おれがちょっと他愛ない冗談を言っただけでも教養がないだの深慮に欠けるだのとひどいことを言ったものだが、このところは口もきかない、ただ、黙ってあんな目をしやがるんだ。ああ、いやだ、大統領は思った。このところ顔を合わせることも少なくなったが、今宵のパーティーには奥方を同伴しなければならない。当世なかなかこれだけの人を集めるのも難しいですからね、と秘書官は言った。戦時体制を盤石にするのは、支持者や政財界の固い結束です。大統領はまたも憂鬱な気持ちになったが、こういったときにかぎっては、彼女はむしろファーストレディとしての役回りを完璧にこなすのである。都内最大のホテルの最大のホールを借り切った宴席で、つめかけた来賓に要人に関係者に馬の骨たちを、大統領夫人は完璧な笑顔で遇した。閣下、まことにご英断でありましたな、大手商社の社長が近づいてきて満面の笑みを浮かべた。わたくしどもはしがない商人に過ぎませんが、わずかなれども祖国の戦いにご助力できることはなによりの喜びですよ。まことその通りでございます、大手自動車会社の社長もうなずいた。輜重(しちょう)は戦争に欠くべからざるものですからな。弊社も勝利のためにはお力添えを惜しみません。これは歴史に残る壮挙ですぞ、名高い法学者の教授が固い握手を求めてきて、大統領は思わず顔が上気した。本邦の年譜に大書されるであろう偉業であります。歴史に! 年譜に! そこには、ひょっとすると、このおれの名前も添えられるんだろうか? しかし、あえてそれを質(ただ)す勇気はなかった。まるで太陽を見つめてしまったときのように、大統領はあわてて目を伏せた。大統領閣下におかれましては誠にご機嫌麗しく、とても上手な日本語を操るのは、非公式に参席した同盟国の駐日大使であった。わが国と日本の友好は永遠(とこしえ)であります! かんぱい! 大使は上機嫌に乾杯したので、大統領も口を付けざるを得なかった。この年になるまで酒をおいしいと思ったことはなかった。本当ならばサイダーかジンジャーエールの方がよほど好きなのだが、そんなものは国家元首にふさわしからぬとも思っていた。やむなくワインをちびちびやっていると、与党幹事長がやってきて大声で笑った。閣下、本日の議会はなかなか痛快でしたな。ああいう無礼な女にはピシャリと言ってやるべきですな。そうかね、大統領はつぶやいた。思い返してもあまり愉快な気分になれなかった。わたしは、あのような女性の意見も汲み上げて国体の礎と為すことが、われわれの責務と考えているんだがな。大統領がつぶやくと幹事長の顔には戸惑ったような表情が浮かんだが、すぐさま大仰な笑みに覆い隠された。まこと、仰るとおりでございますな! 閣下のご海容には感じ入るばかりでございます! 諂(へつら)いを聞きながら、大統領が盗み見ていたのは、かたわらに控える幹事長の奥方だった。ああいうことを言えば、おれは女性にも理解のある男だと思われただろうか? 幾度も顔を合わせてはいたが、きりりと和服で装うのを見るのは初めてのことだ。謎めいた微笑、黒く澄んだ瞳、ぽってりと厚くかたちのよいくちびる、慎ましくも機知に富んだ受け答え、どうしてこういう女がおれの人生にはあらわれなかったのだろう。若いころのことを思いだそうとしたが、それは外国のように遠く感じられた。おぼろげにかすむ遠いところで浮かび上がってくるのは、いつだって誠実に熱心にふるまってきたはずのおのれが姿であり、女という女のあいまいな笑みやそっけない言葉、目もとやくちびるの端にひらめく冷笑ばかりであって、どうしてなのだ、女たちよ、だれひとりとしてわが正真からの熱意に応えてくれることはなかったのだ、あの大恩ある人がお膳立てしてくれた縁談がおれに許されたたった一つの運命だったとでもいうのか、女たちよ? 幹事長、もう行ってしまうのか、ひらりと身をひるがえして去っていく和服には萩の花が咲き乱れていて、見事なものだ、うつくしい、間近い秋にぴったりではないか、どうしておれのところには一人として、ああいう女が現れてくれなかったのだろう? 茫然と立ちずさむ大統領のところに中堅どころの議員がやってきて言った。閣下、まことに恐れ入りますが、私の国元で世話になっております後援会会長をご紹介させていただきたく存じます。テレビ局の役員がやってきて言った。閣下、わが局の若手キャスターをご紹介申し上げます、このたびの戦況を伝える番組の専属となりましたもので、ぜひ、ご挨拶を。広告代理店の社長が引き連れてきたのは一個師団にも及ぼうかという女の子たちだった。閣下、彼女たちもなかなかしっかりしておりましてね、歌うの踊るのだけじゃありませんぞ、祖国の大局を若いなりによぉく理解しておるのですよ。なにしろ若い国民に訴えかけるには彼女たちのようなフレッシュな感性が必要ですからなあ! 大統領様、お会いできて本当にうれしいです、女の子の一人が目をうるませながら手を握ってきた。わたしも光栄だよ、そう言いながら、もしもおれに子供がいたとしてもこの子よりも年上だったのだろうなと大統領は思った。実家ではみんな大統領閣下のファンなんです、また一人の女の子はそんなことを言った。ぜひよろしく伝えてくれたまえ、大統領は言った。握手してもらってもいいですか? 一緒に写真を撮ってもいいですか? お願いします、ハンカチにサインしてください! いつしかカメラがかたわらに寄っていて、遠からず全国へと流れるであろう映像を刻々と記録していた。ああ、いいともいいとも、一人一人に気前よく返事をしながら、大統領にはとっくに一人一人の見分けなどつかなくなっていた。おずおずと手をさしのべてきた娘はひときわ若く、先生、大統領先生、もしも差し支えなければ教えてください、その声はほとんど子供のように甲高く響いた。もちろんだよ、なんでも、訊いてくれてかまわないんだよ。いささか痛ましい気分にとらわれながら大統領はあらためて娘を見つめた。娘どころか孫がいたとしても、この子よりも年上なのだろうな、そんな想像をしながら。ありがとうございます、本当にありがとうございます、娘はおずおずと言った。大統領先生、それでは、その、教えて欲しいんですが……。戦争は、いつ、終わるのでしょうか? 私のお兄ちゃんが戦艦に乗って、いま、戦争に行っているんです。

遠い大陸では秋の長雨が降り続いていた。新聞はあいかわらず一面を割いて戦況を伝えていたが、一進一退、長く伸びきった前線にはほとんど動きがなく、それが今日の新聞なのかはたまた昨日のものを間違えて読んでしまったのか区別がつかなかった。

(以下、後編 https://note.com/segawashin/n/n6dacf235cf31 に続く)


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