新婚旅行0日目(2) 2投のダーツ

お酒の席で発案された、ダーツにより新婚旅行の行き先を決めるという企画。それは職場の忘年会で実行されることになった。

初めは正直なところ、面倒なことになったと思った。けれど、気がついたら「これはおいしい」と思うようになっていた。運に委ねるという行為がカッコいいとさえ思っていた。妻からしたらとんでもない夫である。行きたくないところに当たったら、「妻から反対されまして〜」など適当な理由をつけて、別の場所へ行けば良いと思っていた。治安の悪い場所に行くことになる心配ももちろんしていなかった。それは周りの人も望んでいないはずだと思っていたからだ。

かくして、忘年会の日がやってきた。妻には前日に「明日は旅先を決めに、ダーツをしてくるから」と伝えておいたが、快く送り出してくれた。肝が座った妻である。

酒も進み盛り上がってきたところで、ダーツは用意された。的はA1サイズ4枚分ほどある、日本が中心に配置された世界地図だ。ダーツの矢は2本。つまり、チャンスは2投ということだった。

1投目。狙いは左上の方とすることにした。ヨーロッパ、それもかなり北寄りだ。当時、難民問題などでヨーロッパの南部や中央部でさえも不安定な情勢が報道されていたのだ。治安に不安のある場所に当たっても、私たち夫婦のダーツの旅は実現しない。

緊張の中、私は1投目のダーツを投げた。

スウェーデンにダーツが命中した。

思わずガッツポーズをしていたのを覚えている。周りの人からは「見たことのないドヤ顔をしていた」と言われた。

実はスウェーデンには憧れの場所があったのだ。「森の墓地」という場所に、学生時代からずっと行ってみたいと思っていた。ただ、あまりに自分の趣味嗜好に寄り過ぎていて、新婚旅行の行き先としては考えてもいなかったのだった。

1投目の結果に満足したので、もう1投のダーツは適当に投げることにした。妻の意見は聞いていないものの、旅先はスウェーデンで決まりだと思っていたからだ。1投目が左端だったので、今度は右側を狙うことにした。

2投目のダーツが刺さったのは、アイスランドだった。(正確にはアイスランドの沖合。)

思わず歓喜の声を上げた。アイスランドという日本にはあまり紹介されない国で、何故それだけ喜ぶのか。実は10年前に一度だけ行った事があるのだ。それは人生初の海外一人旅。以来、私はアイスランドファンである。

スウェーデンとアイスランド、憧れの国と大好きな国にダーツが当たり、会がお開きになった後、早速妻へLINEで報告した。どんな反応が返ってくるのだろうか…。

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駄文ですが何卒よろしくお願いします