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ミカサ・アッカーマンはヴェーネ・アンスバッハだったのだろうか、あるいは物語における反出生主義の位置づけについて
2021年春、10年以上続いた『進撃の巨人』の連載が完結した。去る6月9日には最終巻となる34巻が刊行されたが、最終巻を知らせる各種広告への言及が行われた他、最終巻が出たことでネタバレ解禁ムードが出ていることもあり、話題になった。
この作品はある時期を期に、大きく転換していく。個人的にそうした転換点は二つあると思っている。一つはエレンたち調査兵団の一行が「グリシャの手記」を発見し、それを読む
彼女たちにとっての家族と人生 ――「ミネルヴァ論」序章・続
前回からの続き。
ミネルヴァについて論じる前に家族について論じる理由は、端的に言えばこのゲームの物語の真のテーマが異なる家族間におけるイデオロギー闘争だからである。そして、ミネルヴァもまた、ヴェーネたちが運命を駆けて戦う世界の命運に対して、外部から重要な関わりを持っている。
ミネルヴァはフェジテにおける主要国家と言ってもいい天使国家フェジテの盟主(見習い)であり、フェジテ、そしてセラパー
Seraphic Blueはポストモダニズム的セカイ系作品か?
今年の5月15日に公開からちょうど10年を迎えるフリーゲーム『Seraphic Blue』についての、論考とエッセイの中間のような文章です。
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昨年病により夭折した三浦玲一が文芸誌『文学界』2013年7月号に寄せた「村上春樹とポストモダン・ジャパン ――リベラル・グローバリズムのセカイ」(2014年4月に彩流社から単行本化された『村上春樹とポストモダン・ジ
コミットメントする新米女王陛下 ――「ミネルヴァ論」序章
私は動いていたいのよ。
この運命に、この手で関与したいのよ。
2014年5月にヴェーネ・アンスバッハの背負った運命の重さについて論じた「ヴェーネ論」をネットに発表した。そのあとはしばらく、『Seraphic Blue』におけるミネルヴァ・フェジテのポジショニング、あるいは立ち位置の定まらなさについて考えていた。「ヴェーネ論」の終盤でも触れたことだが、ヴェーネやレイク、そしてユアンを含めたセラフ