音読をどう考えるか。
「今、焦っていることはありますか?」と聞かれたら、皆さんはなんと答えますか?
私なら。「中国語用の筋肉が日々退化していること」と答えます。現に、一日中中国語の発音や会話をした際に、口の周りの筋肉がだるくなったという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
これは日本語の発音で使う筋肉と、中国語の発音で使う筋肉が違うためだと言えます。運動と同じで、筋肉というのは使わないと退化します。いくら発音のイメージが脳内にできていて、脳で動けと指令しても、イメージ通りには動いてくれません。だからこそ、中国語の発音で使う筋肉をちゃんと使って、退化しないようにしてあげる必要があるのです。
ただやはり、中国国内にいて中国語を四六時中使える環境でなければ、「中国語の発音で使う筋肉を維持できる」機会はそうそうないでしょう。
私の場合でも同じで、日本にいて他の人と中国語で話す機会というのは「ほぼ」ありません。あるとしたら、帰宅してうちの妻と話すとき程度。だからこそうちではできるだけ中国語を話して、「中国語用の筋肉」を意識して使うようにしています。
でもご存じの通り、すべての中国語の学習者が私のような環境を用意できるわけではありません。だからこそ、「音読」という基礎トレが生きてくるわけです。
私自身も家でこそ「中国語用の筋肉」を使って妻と話をしていますが、それでも足りないと思っており、日々の「中国語→日本語のニュース翻訳作業」の際も、訳す前にまず原文を音読してから、とりかかるようにしています(もちろん周りに人がいないことを確認してからですが)。
加えて、8月~9月に私の中国語翻訳勉強会に参加した方は毎回スペースで課題文の翻訳解説をする前に、私が課題文の音読をしていたのに気づいたかもしれません。あれも自分の「中国語用の筋肉」のウォーミングアップを兼ねて実行していました。
それもこれも私自身、「自分の中国語用の筋肉の退化」に危機感を感じているからこそです。
このような私の危機感から皆さんにお伝えしたいことは何か。
これは以前のnoteやツイッター(X)上でも話したことがありますが、もう一度強調させてもらいます。
中国語に限らず、英検一級や中検一級をとることは実はさほど難しいことでありません。諦めずに努力をし続けさえすれば、遅かれ早かれ、合格できるからです。
一方で、これほど努力して好成績を収めた「語学の猛者」を待っている試練があります。それはこれほどまでに努力して到達した高いレベルを、今後長期間にわたって維持し続けるための努力です。これが実は一番厄介で難しい。
なぜなら先ほども述べたように、語学というのはある程度持続的に使っていかなければ、さびて退化してしまう学問だからです。
それでも語彙や構文など中国語の知識は脳が活発なうちはある程度新鮮さを保っていられます。
でも中国語の発音や会話の敏捷性などは、使わないと本当に一瞬にして退化していってしまいます。
だからこそ、中国語のレベルを維持したいと考えている皆さんには「最低限でも」、「音読」の習慣を続けていってもらいたいと思っています。
なお誤解しないように言っておくと、語学においては「音読」は必要条件であって、十分条件でありません。語学力向上を目指したいと思っている人はぜひ、「音読」をしっかりとこなした上で、それ以外のことをやってみましょう。
サポートしていただければ、よりやる気が出ます。よろしくお願いします。