外国語学習における現地での「経験値」の重要性
今日は中国語の学習者向けの話をしたいと思います。
皆さんは「自分の中国語のレベルがなかなか上がらない」と悩んではいませんか?かくいう私も学生時代、中級レベルからなかなか脱却することができず、師匠に中国語のレッスンを付けてもらったり、中国に旅行に行ったりと、いろいろな努力をしていました。それなりに効果はあったと今では自分でも思っています。
しかしやはりそれでも、今から思い返してみれば、中級レベルからの本当にブレークスルーを果たしたのはやはり中国に留学してからだと実感しています。それはやはり、積み重ねられる「現地での経験値」が圧倒的に増えたからでしょう。
「中国語の発音の仕方」「中国語の文法」「中国語の文字の書き方、読み方」などについては、中国語のテキストを持っているならば日本であっても、中国であっても、学習意欲さえあればどこでも勉強・マスターすることができます。でもそれはあくまで机上での話。
一方で言葉というのはコンピューターではなく、実際にその地に生活している生身の人間が発するものです。
生身の人間が発するものである以上、全ての言葉にはわれわれの学習テキストや教材には載せきれない「微妙なニュアンス」、いわゆる彼らの生活に密着した「語感」というものが存在します。
相手の考えていることを理解するには、私たちはこの「語感」を考慮しながら、「適切な場面」「適切なニュアンス」で言葉を選んで使用し、相手の言葉を聞いて理解できるようにならなければなりません。
つまりいかにこの「語感」を正しく把握して、「適切な場面で」「適切なニュアンスで」中国語を操れるかどうかが中級者脱却の鍵となるわけです。
しかしこれは、いくら高価なテキストを買い、授業で先生から文章を教わったとしてもマスターするのは至難の業です。
加えてツイッターやSNS上でよく聞かれる「ネイティブはあれは言わない」「ネイティブはこうは言わない」と言った言説を鵜呑みにしたところで必ずしもそうではありません。
この「語感」というのは、実際のネイティブの人たちの日々の生活の中から生まれたものです。中国には14億の人たちがいますし、各地方さまざまな文化、風習、方言などがあり、それぞれ違ったりします。
だから私たち自身が実際にさまざまな中国人と付き合ったり、現地で生活したりする中で、それぞれの言葉の「語感」を自分の「体」で覚え、実際に感覚で「経験値」を積んでいくしかないのです。
私は留学中、そして留学後に現地で就職し、さらに日本に帰国して現職についてからも、こういった中国で遭遇したさまざまな経験、中国の人たちとの会話の中で把握した言語化できない感覚を、「語感」として自分の体の中に蓄積し、十数年にわたりその感覚を「インプット」「アウトプット」していきました。なので皆さんよりかいくらかは「経験値」が多いとは思っています。
このようなことから、私はこの「語感」について自身の経験から話せることだと感じ、ツイッターを通じて皆さんに発信してシェアするよう心がけています。
ただ私が発信したことが本当であるとは限りません。私も中国全国を歩き回って、生活したわけではありません。中国国内のある限られた世界で蓄積した経験値を基に話しています。
ですから繰り返しになりますが、「私が発信したことが本当なのかどうか」は究極として言うならば、皆さん自身が実際に中国国内に行って、自分の目で見て確かめるしか方法はないのです。
そしてさらに言うならば、その「確かめる過程」自体が皆さんにとって有益なものになるのは間違いありません。なぜなら、教室で眠い目をこすりながら先生の話を聞くのとは違い、「体で覚えたこと」はそう簡単に忘れることはないからです。また、その語句の「語感」は皆さんの経験となって体の中にしっかりと蓄積するでしょう。
中国も昨年末までゼロコロナ政策で鎖国に近い状態でしたから、なかなかチャンスをつかめませんでした。このご時世ですから、やむをえず「オンラインでの経験値」を積んでいた方もいると思います。
でもこれからは日本人のわれわれにも中国訪問のチャンスがますます増えるのではと思っています。「オンラインでの経験値」と「現地での経験値」ではやはり圧倒的に後者の方が多く得ることができます。これを逃す手はないでしょう。
このような理由から、「中国語のさらなるステップアップ」を目指そうと思っている人はぜひ、積極的に現地に行って、「現地での経験値」を精力的に上げることをお勧めします。
サポートしていただければ、よりやる気が出ます。よろしくお願いします。