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中国語には本当に「敬語」はないのか

前回の私のnoteの記事「外国語を学ぶには恋人を作るのがいいのか」という質問に対する私なりの答えを投稿したところ、「中国語には『敬語』はあるのか?」問題に直面しました。

実は私も、留学しているときは「中国語には敬語はないのでは」と思い込んでいました。中国の人は会えば「朋友」とフレンドリーに話しかけてきますし、ほとんど敬語など気にせずに話していました。街に出れば、大の大人が大声で「吵架」する場面は普通に見られましたし、「上下関係とかあまり気にしない民族なのかな」と思ったのも事実です。

しかし、留学を終えて中国での工場勤務を始め、さらに今の妻と結婚して親戚づきあいをする中で、「敬語は日本語ほど豊富ではないが、中国の人も人によって言い分けている」との考えに至るようになりました。

そこで今日は、私が普段心がけていることを少しお話したいと思います。私の読者の方で、中国語の敬語に少し悩んでいるならば、今から挙げる要素を実行するだけでもかしこまった会話になると思います。

主語に気を付ける

月並みなことですが、目上の人や上司には「你」ではなく、「您」をつける。これは中国語を勉強した人でも知っていると思います。しかしこれは結構重要で、この使い分けを意識するだけでもかなり変わってきます。さらに相手の名前を肩書や敬称を付けて呼ぶとさらに敬意はあがります(「李先生,您~」などなど)。間違っても呼び捨てにするのは禁物です。なぜなら呼び捨てにした場合、「打ち解けた雰囲気」を醸し出すことはできますが、「敬意」を示さなければならない人物に対しては逆効果になるからです。

もちろん、何回も使うとくどいので、相手に呼びかけるときなど節目節目で使うと効果的です。

反語は極力使わない

中国語会話に慣れている上級者はつい、反語を使いがちです。なぜなら反語は自分の思いを相手に伝えたいときはとても効果的だからです。実際に私も妻と会話するときはしょっちゅう反語表現を使っています。

しかしかしこまった席で反語を相手につかってしまうと失礼にあたる可能性が高くなります。なぜなら反語は自分の思いを『伝える』というよりも、思いを「ぶつける」という表現になるからです。しかも反語を使うと自分の真意を相手に考えさせてしまうことになります。また相手を立てなければならない場面で、自分の思いが出過ぎると相手に不快感を与えてしまうこともあるでしょう。

「是不是」表現はなるべくつかわない

これも前項の反語表現につながってきます。なぜなら疑問形である「是不是(A不A)~?」にも反語的ニュアンスが含まれることがあるからです。

例えば、なかなか夕飯を食べない子供に対して

你要不要吃飯?

と言った場合、この場合は「ご飯食べないの?」となりますが、その裏には「早くご飯を食べなさい」といった催促のニュアンスが付きます。

このような余計なニュアンスがついて他人に誤解されるのを防ぐため、私は目上の人に対しては極力「~吗?」表現を使うようにしています。このほうが軽い印象を相手に与えることができるからです。

応答には「~的」表現を心がける

皆さん「好」とか「好」とか、話の最後に語気助詞を入れたりしていませんか?語気助詞は自分の感情を入れたりして、フレンドリーさを出す場合には効果的ですが、目上の人と話す際にはなれなれしいとの印象を与えやすく、もろ刃の剣になってしまいます。かといって、語気動詞を入れないとぶっきらぼうになってしまう。

このように、自分の思いを少しだけ出したい場合に、自分が答える時に「~的」を入れるとちょうどいい感情を醸し出せる表現にできます。これは他の中国の人たちの言葉を参考にして、自分も取り入れてきた表現です。

我从广州来的→広州から来たのです

そしてその典型的な鉄板フレーズはこれでしょう。

好的。→わかりました。
是的。→そうです。

「好的」「是的」はいわゆる公式な場での受け答えの「マジック・ワード」とも言え、今すぐにでも使えるフレーズです。

◇◇

この他にも例えば、金庸の武侠小说を読んだりすると、さまざまな尊敬表現が出てくるのが分かるでしょう。ただ私は、これらの表現は「参考」に留めています。使いどころがかなり難しく、上級者用だからです。日本人でも「拙者は~でござる」なんて言いませんからね。

これらのことを心がけるだけでも、「尊敬している」感を醸し出すことができます。ぜひ実行してみてはいかがでしょうか。

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