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自分でアップデートすべき語句と流行語の危うさ

皆さんは普段、主にどのような媒体で中国語を勉強していますか?そう聞かれた時、多くの人は「まずは本などの紙媒体で勉強を始めた」と答えるのではないでしょうか。それにはちゃんとした理由があります。

紙媒体のテキストは専門家が監修したものですから、ネットなどの不確定な情報よりも、テキストに書いてある文法や用法に間違いがあるかどうかについて心配する必要はほぼありませんし、書いてある用法をしっかり覚えて理解さえすれば、「中国語ネイティブに理解されない」といったことはまずないでしょう。

しかしそこには危険もひそんでいます。つまり「信頼できる情報」だからといって「テキストに書いてあることはすべて正しい」と思い込むことはとても危険だということです。

実は紙媒体ではどうしても網羅しきれないものがあります。

皆さんもご存じのとおり、言葉と言うのは生き物であり生ものです。日本の江戸時代の言葉が現代で使われていないのと同じように、中国語も時代に従って刻々と変わります。もっというと、同じ語句でも北方のニュアンスと南方でのニュアンスが違ったりしますし、北方での言葉使いと南方での言葉づかいが違っていたりもします。

われわれ中国語学習者は、このような変わっていく言葉、地域によって違うニュアンスを常時アップデートする必要があるのです。しかし紙媒体である本はそのあたりをカバーしきれません。

私が上記のツイートで「劳驾」に違和感を感じたのもやはり、中国語の学習テキストに、「時代遅れの言葉」「北京あたりのごく限られた場所での言葉」である「劳驾」が、あたかも中国人全員が使っているような印象で掲載されているのを見てしまったからです。このあたりは紙媒体の限界かなと感じます。

私が「劳驾は違和感ある言葉である」ということを知ったのは、留学中でした。実際に街中で使った時に、現地の人に「意味不明」みたいな態度を取られたのです。テキストで覚えた語句を実際に街中で使って反応を見る。この繰り返しを当時行っていました。私はこの過程で、頭の中で「劳驾」という語句のアップデートを行いました。

では今はどうアップデートすればいいか。やはりネットを最大限活用するのが一番いいのではと思います。

今のコロナのご時世では留学もままならない。でも、ネットの中ならSNSやマッチングなどで自由に中国の人たちと触れ合うことができます。ぜひ中国の人との交流の中で、自分で覚えたフレーズや語句をぶつけてみて反応を確かめてみてください。そうすれば、紙媒体のいわゆる「限界」をしっかりアップデートできるでしょう。

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その一方で、ネットでの学習の限界もしっかりと見ていく必要があります。それは「流行語・ネット語」の取り扱いです。

今ネットのSNSには中国語であれ、日本語であれ、多くの「流行語やネット語」が飛び交っています。常時SNSで中国人とつながっている人ならば、習慣のごとく使っている人もいるでしょう。

しかしこれらの流行語の多くは、一時的に流行るものではありますが、廃るのもとても速い。しかも、「使いどころ」をしっかり理解していなければ、相手を怒らせることにもつながりかねません。

日本語の流行語で例えを出すと分かりやすいと思いますが、90年代に日本で使われていた「チョベリバ」であったり、80年代で使われていた「新人類」「ナウい」といった言葉が今も使われているか、、ということです。

外国語である中国語の流行語に至ってはなおさらです。われわれが日常の生活の中で目にするぐらいなら、まだ大丈夫ですが、初学者や中級者がやるべきことは他にあるはずです。

このため、中国語の流行語については「追いかける」のではなく、目にしたら「そういうのもあるんだ」程度にとどめておくのがいいのではないかなと思います。

私は、自分から流行語やネット語を追いかけるようなことは「基本的に」しません。もちろん、外交部報道官など政府高官が流行語を口にすることがあるのでそのあたりはフォローアップしますが、その程度にしています。

流行語については「目にするけど距離はおく」。初学者や中級者にとってはこのようなスタンスを取ることが重要だと思います。



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