日本人が苦手としている発音「Xiang」
もう5年以上前(2017年12月)のことでしょうか。
外交部記者会見で、日本人記者がパンダの「香香」(Xiangxiang)について質問しようとしたのに、華春瑩報道官に外務事務次官の「杉山」(Shanshan)氏の事だと勘違いされたというエピソードがありました。
今から思うにあのエピソードは、日本人が苦手としている中国語の発音は何かというのを知らしめてくれる典型的なものだったように思えます。
このエピソード。掘り下げてみてみると「Shan1shan1」の「Sh」はいわゆる卷舌音と言われるもので、「Xiang1xiang1」の「Xi」はそうではないだけ、、なのだから何で間違えたんだろう?と思われがちです。
しかしここにわれわれ日本人の中国語学習者が考えている落とし穴があります。それは「Xi」の発音の本質です。
それは「Xi」は正確に発音するならば「シー」ではなく、「シイ」なのだということ。だから国家主席の「习近平」(Xi2Jin4ping2)はもしカタカナ表記するならば(私はカタカナ表記することには賛成ではないのですが)、「シー・ジン・ピン」ではなく「シイ・ジン・ピン」となり、この通りに発音すべきだということになります。
ではこの理論で「Xiangxiang」を発音するとどうなるのか。
そう、「Xiangxiang」はカタカナ表記すれば「シャンシャン」であってそう発音すべきだと考えている日本人が多いのですが、実はそうではなく「シ」+「イ」+「ア」+「ン」であり、「シイアンシイアン」だということになります。
このからくりをしっかり理解しなければ、「Xi」を含む中国語の子音を上手く発音することはできないのです。
しかしここで日本人特有の問題が発生します。それは日本語の「サシスセソ」の「シ」の子音が「イ」であるということ。このため「Xiang」を発音すると「イ」をすっ飛ばして「シアン」、もっと省略して「シャン」にしてしまいがちになるのです。
だからこそ、先の外交部記者会見で華春瑩報道官が日本人記者の発音を聞いたときに、卷舌音ではないけども「シャン」だから、これに「Shan」という音をあてて「杉山」だと理解したのでしょう。
これを解決するにはどうすればいいのか。やはり間の「イ」を意識的にはっきりと発音する他には最善の解決方法はないと言えるでしょう。私は以前のnoteで「中国語の発音は普段よりオーバーにしないと伝わらない」と主張していますが、この法則に照らし合わせるならば、いつも以上に「イ」が相手に伝わるよう発音したほうがいいということになります。実際、この「イ」音がはっきり相手に伝わらないと、中国語ネイティブは「xiang」だと理解してくれません。いつも以上に気を付けて発音してみることをおススメします。
同じように「イ」を意識すべき子音の一つとして、「Xiong」があります。代表的な単語として「熊猫」(Xiong2mao1)を挙げて解説してみましょう。
日本人の中国語学習者には、これをカタカナ表記したとき「ションマオ」だと勘違いして、そのように発音している人が多くいるのではと推測します。
しかしこれも先ほど私がお伝えした「Xiang」の発音方法と同じで、間の「イ」をはっきり発音しないと、中国語ネイティブは「Xiong」だと理解してくれません。ちなみに先ほどの「Xiong2mao1」をあえて「カタカナ表記」するならば「シ」+「イ」+「オ」+「ン」+「マオ」となります。
いかがでしたでしょうか。
最後にもう一度注意喚起します。「香香」を始めとした「Xiang」、「熊猫」をはじめとした「Xiong」の発音の際には、「イ」の音をしっかり間に挟むことを意識しましょう。これだけでだいぶ変わります。一段上の中国語の発音を目指したいという方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
というわけで、今回は「Xi」の発音について掘り下げて解説してみました。
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