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この物語は、父と娘、そして家族にとって特別な場所のおはなし。


今作の主役である茜さんには、大好きなお父さんがいました。お父さんは整備士であり、車が大好きな人でした。
車の事を話す時はいつも少年のような顔で話していたそう。


お父さんが遊びに連れて行ってくれるのは、いつも決まって地元のサーキットでした。モビリティリゾートもてぎ(旧称:ツインリンクもてぎ)と呼ばれるその場所は、茜さんとお父さんにとって多くの思い出が詰まった場所でした。

サーキットは茜さんにとってルーツであり、家族を繋ぐ大切な思い出の場所でした。

しかし、茜さんが高校2年生の時、お父さんは癌でこの世を去りました。お父さんは茜さんに癌を患っている事を伝えず、家族との時間を大切に過ごすことを選びました。

お父さんは辛かったでしょうが、最後まで健気に振る舞い、茜さんに苦しい姿を見せまいとしたそうです。

茜さんが父の死を受け入れたのは、お父さんが亡くなる2日前の夜でした。いつも以上に苦しんでいる様子を見て、もうダメかもしれないとその時に初めて思ったそうです。それでもお父さんは最後まで強く振る舞い、茜さんに辛い姿を見せまいとしました。

お父さんと最後に言葉を交わしたのは前日の夜、「じゃあね、また明日ね、バイバイ」。その言葉を最後に別れがやってきました。お父さんは辛かったでしょうが、苦しむ姿は見せずに最後まで健気に父の背中を見せ続けてくれたそうです。

時が過ぎ、茜さんはなんと、お父さんとの思い出のサーキットに就職しました。そしてそこで、お父さんそっくりの男性に出会いました。

運命のお相手である友康さんはお父さんと同じく、車が大好きな方で、少年のような心を持っていたそうです。茜さんはその出会いを、巡り合わせだと感じたそうです。

茜さんの一目惚れからはじまった恋は、彼女の猛アタックで無事に実り、そして結婚に辿り着きました。

お父さんが生きていたら、ふたりで車を眺めて「このエンジンが···」「この性能は···」といつまでも話し込んでいただろうと茜さんは言います。

今作はお父さんが大好きだった「モビリティリゾートもてぎ」にある「ホンダコレクションホール」内で撮影させて頂きました。お父さんが大切に乗っていた愛車とともに、父と母と、そして父によく似た旦那さんと満面の笑顔で撮影させて頂きました。








そして命は繋がります。2人の間に新たな命が誕生しました。きっとその子は、父のように少年の心を持ち、茜さんのような弾ける笑顔の子になるでしょう。


撮影協力 :モビリティリゾートもてぎ 

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