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「人は見たいと欲する現実しか見ない」~情報の代謝②(2022.1〜4.10)

「本棚は人を表す」というように、「私の精神は私の取り込んだ情報によってできている」ならば、「食物と同じように、情報も摂取、咀嚼、消化、吸収、排泄といった代謝サイクルを延々と繰り返している」。

結局のところ、常日頃から何を情報源としているか、そこから何を得ているか次第で、私たち一人一人の思想、思考、感情などは変化していきます。

私が直近で得た情報のうち、noteの習慣化、社会情勢との即応性を優先したために咀嚼中あるいは消化不良だったもの、また、著作権的にグレーあるいはアウトと思われる「つぶやき」が多々ありました。

よって、それらを「カエサルの物はカエサルに」戻し、該当するつぶやきは記事内に引用として残した上で削除します。

「140字では到底伝えきれなかった内容を、私が本来伝えたかった意図を含めて再構築し、本来のあるべき姿へとリメイクする」。

「誤って毒物を摂取していたのならば、中和や解毒の方法を探し、情報を咀嚼する歯があるのならば、上顎と下顎で噛み切る努力をする」。

以上が一連の記事「情報の咀嚼」で伝えたいテーマになります。


前回は【壁と卵 - Of Walls and Eggs/村上春樹新聞】を取り上げました。

今回も同様に、以下のように情報源をまとめて紹介していきます。

【情報源の名称/媒体(本・映画・アニメ・漫画、web等)】

①簡潔な内容
②おすすめ度(5段階評価)
③その情報を選んだ理由や動機

「少し先の未来の社会情勢を読み解くヒント」になるか否か、それを基準に情報収集をしていますが、たまたまこの記事を読んでくれた方の「コンパスになるもの」があれば良いなと思い、記録を残していきます。


【新型コロナウイルスの状況下、今、栄養指導に必要な一般生活者へのアドバイス/日本栄養士会】

①公益社団法人日本栄養士会は、新型コロナウイルス(COVID-19)に対する基本姿勢を2020年4月3日に動画で、4月8日に文章として表明しました。同8日、国際栄養士連盟からいくつかの国際的な情報提供があり、その中にイギリス栄養士会の「COVID-19/新型コロナウイルス一般の人々へのアドバイス )」というQ&A方式の報告がありました。

これを踏まえ、日本の管理栄養士・栄養士がコロナ下での栄養指導を進める上で活用できるように内容を整理したものが「新型コロナウイルスの状況下、今、栄養指導に必要な一般生活者へのアドバイス」になります。

②★★★☆☆(栄養士)、★★☆☆☆(一般生活者)
管理栄養士・栄養士として、この内容をいかに活用するかは個人の発信力次第です。また、すでに2年前の内容であるため、最新の知見ではどうなのかも判断しなければなりません。一般生活者の人にとっては、新型コロナウィルスには〇〇というサプリメントが効果的だ、といった情報に接した時の判断材料の一つにはなるでしょう。

③医師に「医師会」があるように、栄養士にも「栄養士会」があります。加入は任意ですが、最新の知見を得るためにも定期的に研修に参加しているため、私は日本栄養士会、都道府県栄養士会に所属しています。

保育園栄養士であるため、職域としては児童福祉分野になります。食物アレルギーやそれに関する小児アレルギー(アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎等)、免疫学、感染症対策、子どもの口腔機能の発達、小児栄養・母子栄養、災害時における対応といった研修が学びの中心となっています。


さて、そんな日本栄養士会において「新型コロナウイルスの状況下、今、栄養指導に必要な一般生活者へのアドバイス」が発信されたのは、2020年4月でした。

時期的にはまだ新型コロナの実態が全く見えていなかった頃の話でしたが、日本栄養士会会長である中村丁次先生のメッセージが会員向けに情報発信されました。Q & A形式のアドバイスの一部を引用します。

Q1.食事療法によって免疫システムを強化できますか?
A.簡単に言えば、食事を通じて新型コロナウイルスに対する免疫システムを特別に増強することはできず、特定の食品やサプリメントによりウイルス感染の拡大を抑えることはできません。感染を回避するための最良の手段は、依然として適切な衛生習慣、つまり、ウイルスに感染しない行動をとることです。ところが、免疫システムが正常に機能するために多くの栄養素や関連物質が関与しています。

テレビの健康番組で「〇〇が□□という病気に効く」と言えば、翌日のスーパーで品切れ、品薄になるというのはよくある話です。

例えば、食品ではありませんが長崎大学の5-ALA(5-アミノレブリン酸)の研究は比較的有名かもしれません。5-ALAという成分が新型コロナウイルスに対する強力な抑制効果を発揮したというものです。

5-ALA自体は納豆などの発酵食品、ワインや日本酒等にも含まれています。しかし、食品中から有効な量を摂取しようとすると相当な量が必要となるため、サプリメントなどの健康食品の形で消費者に販売されているのが一般的です。

また、研究論文を読むとわかりますが、試験管内(in vitro)の培養細胞における感染抑制効果であるため、臨床応用での効果はまだ確認されていません。更なる研究が必要だと締めくくられています。

よって、5-ALAが誰にでも100%効果があるなどと言っては誇大広告になってしまいますし、そうした都合の良いところだけを切り取った記事には対処が必要です。

保育園の通常業務では、およそ活用することがない知識ではあるのですが、専門職としては5-ALAのような関連物質の知識も今後は求められていくでしょう。健康食品やサプリメントの知識も知っていれば、それらにまつわる誇大広告にも反応できます。

誤りが含まれている情報について、それを指摘できる専門性というのは、地道に自分で学んで身につけていくしかありませんね。


さて、5-ALAはさておき、アドバイスによると以下のような栄養素や関連物質が免疫システムに関与していることが、現段階ではわかっています。

1)摂取エネルギー:やせても肥満でも感染リスクは高くなる。
2)栄養素
※たんぱく質、n-3系脂肪酸、食物繊維
ビタミン:ビタミンA、ビタミンD,ビタミンE、
ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ナイアシン、ビオチン)、ビタミンC
※ミネラル:鉄、亜鉛、銅、セレン
3)乳酸菌
従って、これらの摂取が過不足になると免疫システムが機能しにくくなり、ウイルスに対する抵抗力は低下します。たとえば、エネルギー・タンパク質欠乏症(PEM)により免疫能は低下し、高齢者では、やせや血清アルブミン値の低下により、インフルエンザワクチン接種後の抗体陽性率は著しく低下し、感染予防率も低下することが解っています。また、各種のビタミンは、各種の代謝を営む補酵素として働くことから、これらが欠乏すると免疫能を担う細胞の機能低下を招きます。ミネラルの欠乏は、胸腺の形成不全や抗体となる免疫グロブリンのレベルを低下させます。一方、肥満や糖尿病等の過剰栄養も免疫能の低下を誘発します。
 従って、免疫能を維持するには、栄養バランスの取れた食事により、免疫システムの正常な機能を維持する各種の栄養素関連物質が適正に摂取されること、つまり、栄養不良を起こさないようにすることが第一に必要になります。栄養のバランスが崩れ、免疫能が低下している人には、食事改善により、免疫能を回復することが可能になります。
 健康的でバランスの取れた食事を維持するためには、さまざまな食品を食べることが必要で、そのヒントになるのが、厚生労働省が示している「食事バランスガイド」です。

今回、私がこの2年前の日本栄養士会のメッセージを取り上げたのは、こうした栄養に関する情報が「一般生活者に伝わるメッセージとして届いていたのだろうか」ということを改めて振り返りたかったからです。

例えば、上述の情報をもとに「日常的に簡単に作れるレシピ」を紹介したりすることもできるでしょう。実際、私も身近な範囲では保育園の保護者向けにレシピ配信などはしていました。しかし、それがきちんと保護者の方が活用したくなるような内容になっていたのかは別問題です。

また、こうしたメッセージがもし広く一般の方々へ届いていなかったのならば、栄養士業界全体の発信力不足ですし、情報伝達の範囲が非常に限られていたのだと思います。

私はテレビは滅多に見ないのですが、コロナ前に健康番組でよく見かけたような「〇〇で免疫力アップ」といったことさえ、メディアで取り上げられていたのでしょうか。私は栄養士なので、そうしたニュースがトップニュースに上がっていたら気になって一応閲覧しますし、興味深い内容であれば調べます。

それが良いという訳ではなく、コロナ禍のメディア報道が一極に集中しており、栄養のバランスが崩れ、免疫能が低下している人には、食事改善により、免疫能を回復することが可能」といった内容、それに類することをニュースでも見た記憶がないのです。

報道では、変異株の登場、新たな変異株の出現、毎日の感染者数(ただし陽性者数とは言わない)の推移、○回目ワクチンの接種回数、蔓延防止重点措置、医療機関の病床数の逼迫、緊急事態宣言、この繰り返しでした。食事による免疫能の維持や回復といったニュースは、きっとどこかでは発信されていたはずですが、かき消されていたのでしょう。

今回のコロナ禍ではっきりしたことは「自分で探そうとしなければ何も見つからない」ということです。また「人は見たいと欲する現実しか見ない」ということも改めて実感しました。

これはメディアのコントロールもあるにせよ、日本国内全体が特定の情報を求めていたから延々と繰り返されていたということも言えるはずです。

自分自身についても、noteに記事を書き始めてから、自分の調べてきたことについて内省し、情報源の範囲を広げることでより一層注意深く考えるようになりました。

国民の一定数が昨今の国策に違和感を感じれば、マスメディアも無視できないでしょう。国も国際関係上、何らかの事情があってこうするしかないのかもしれません。現に、政府や報道内容にも変化が起きているようにも感じますし、それに合わせて街中にも変化が起こっているのではないでしょうか。

「人がつくった制度=壁=システムにもヒビが入り始めている」と私は信じたいです。

誰かがやってくれると思っていたら、結局のところ他人の顔を伺って何もしないんですよね。自分にもそうした面はありますから、自分で自分に言い聞かせています。特にこのコロナについては、自分の頭で考えて、自分なりに判断して、自分で終わらせていくしかないのだと思います。

同時に「一般生活者に伝わるメッセージを届けられているか」「自分が見たいと欲する現実しか見ていないのではないか」について振り返りながら、今後も記事を書いていきたいと思いました。

長文をお読みいただき、ありがとうございました。


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