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~認知科学に基づくコーチングとは~

こんにちは。藤田聖純です。

私は現在、認知科学に基づくMindset Coaching Schoolの8期生として、コーチングについて学習しながら、実際にコーチングを提供しています。

作業療法士として10年間の病院勤務をえて、株式会社へ転職。一社員として入社し、センター長~課長(エリアマネジャー)~部長を得て、現在は執行役員/本部長といった組織のボードメンバーとして、事業運営/経営全般に関わっています。

医療専門職からビジネスパーソンとしてのキャリアチェンジをえて、大きな影響を受けたのがコーチングでした。

コーチングと聞くとイメージされやすいのが、クライアントに"問いかけ"を投げかけて、出てきた答えに対してコーチが傾聴・承認し、その過程の中でアクションを共に考えていくような、、、。
いわゆる「答えはあなたの中にある」系の共感コーチングがイメージされやすいかと思います。

一方で私が学んでいるのは、こういった共感コーチングとは異なり、認知科学をベースとしたコーチングとなります。

きっかけはこちらの書籍となります。

今回は、認知科学コーチングに興味がある人、受けてみたい人、もしくはコーチになりたい人向けに

  • 認知科学に基づくコーチングとは何か

  • 認知科学に基づくコーチングの基本理論

  • コーチングセッションで何をするのか

  • どういう人にオススメか

をできる限りわかりやすく、噛み砕いて説明してみようと思います。

認知科学コーチングとは?

認知科学といった聞きなれない言葉が出てきたので簡単に説明させていただくと、認知科学とは「脳と心の中における情報処理という観点から、心はどのように働くのか」を理解する学問です。

人が行動するときには、行動に紐づく何かしら刺激が外部から入力され、入力された情報をもとに脳内において情報処理が行われ、行動が生じます。この入力と出力の間にある脳の情報処理機能を内部モデル(*コーチング用語ではマインド)と呼びます。人の行動選択は脳の内部モデルにおける情報処理に基づいて生じるというイメージです。


例えば、朝に友人と共に喫茶店に行く場面を思い浮かべてみて下さい。

友人から「コーヒーにする?紅茶にする?」と聞かれると、大抵の人は毎回どちらか同じ方を選びます。コーヒーを選ぶ人だと「朝はコーヒーを飲むほうが落ち着ける」といった内部モデルがあり、無意識的に毎回同じ飲み物を選んでしまいます。

けれども、何かしらのきっかけで、コーヒー含まれるカフェインが実は体に良くないといった情報が入力された場合、コーヒーではなく紅茶の優先順位が高くなり、紅茶を選ぶように内部モデルも書き換わります。

このように入力‐出力の間に存在する内部モデルによって、心がどのように働くのかを追求する学問が認知科学となります。

では、認知科学とコーチングがどのように関係しているか。先ほどの例を参考にすると、内部モデルが同じで、外部刺激も同じだとしたら行動は変わらない。しかし、内部モデルが変わると行動に変化が生じるということです。

つまり、内部モデルが変わらなければ、外部刺激に対して、いつも同じ行動パターンを繰り返してしまうというわけです。これが行動を変えたいと思っても、なかなか行動を変えられない理由の一つとなります。

ここで話をコーチングに戻すと、認知科学に基づくコーチングの目的は「相手が本音中の本音で描いたゴール達成を支援する」ことにあります。

ゴールを達成するためには、行動を変える必要があります。そして行動を変えるためには、内部モデルを変える必要があります。内部モデルが書き換わることで、行動つまり日々の生活リズムや習慣そのものが大きく変わっていくということです。

例えばランニングをしていて、「走ることは辛いこと」という見方をしているときつくなるともうやめたいと思ってしまいます。逆に「走るのは楽しいし、気持ち良い」という見方をしているときついのがむしろ心地よく感じられます。

内部モデルを変え、大変なことでも「楽しい!やりたい!」といった認知を作り、クライアントがゴール達成しやすい内部モデルを創り上げることで、ゴール達成を支援しようというのが認知科学に基づくコーチングです。

では内部モデルを変えるためにはどうしたら良いのか。ここで重要になるのがゴール設定です。

ゴール設定について

ゴール設定を行う上での重要ポイントは大きく2つをあります。

POINT1:Have to(やらなければならない)ではなくWant to(やりたい)こと
ゴールは「自分自身が心からやりたい!」と思える本音中の本音で設定すること。自分がやりたいこと、気付いたらやってしまっていること、周りから止められてもやってしまっていること。これがwant toです。

POINT2:現状の外側にゴールを設定すること
現状の外側というのは言い換えると、超ワクワクするような未知なる領域といったイメージです。ここで注意するポイントが1つあります

それは、今の時点では達成はしていないけど、自分の能力やスキルを使って頑張れば、なんとか達成できそうだなという未来は現状の外側ではなくて、理想の現状。つまり現状の内側のゴールと捉えます。

例えば社会人10年目のキャリアを積んだ方が「年収800万→1000万を目指す」、「新規事業を成功させて取締役になる」といった類は全て現状の内側になります。

では、現状の外側とはどういったものか?

それは”ゴールを達成するためには既存のビジネスモデルや組織構造を変えないと達成ができない”といったようなものになります。

したがって、ゴール設定の時点ではプロセスが全く見えないし、想像すると怖くなるし、周囲の人間が止めてくるようなものです。

※簡単に表現すると、自分の頭では思い浮かばないものと認識してください。つまり、ゴールは過去の経験から考えるのではなく、ゴールは作る(設定する)ものと理解下さい。ゴールは探すでも、見つけるでもないということです。

ではなぜ現状の外側のゴール設定をすることが大事なのでしょうか?

●RASとスコトーマ

私たちが住む世界は物や情報で溢れています。これらの全ての情報を脳が処理することはできません。見えているものの10%ぐらいは意識できますが、残り90%は無意識に頭の中で処理されています。なぜならば脳が全ての情報を処理しようとするとパンクしてしまうからです。

例えば、自宅から勤務先までの通勤をイメージしてみてください。

普段、利用している駅から勤務先近くの駅までの移動も、思い返してみると全て無意識に行動していませんか?
通勤中、スマートフォンを見ることも多いかと思いますが、どのアプリがどの位置に置かれているか思い出せますか?

このように、脳の意識にあがるのは入力される情報の10%程度で、残りは無意識下で処理される構造になっています。

そしてここからが大切なのですが、
私たちの脳には必要な情報を取捨選択する機能が備わっています。

例えば、人込みの中で自分の名前を誰かが口にしたりすると、そこに注意が向いたりした経験はありませんか?

このように脳には周囲の環境から膨大な情報が常に入力されていますが、自分にとって重要な情報を意識にあげるように機能しています。

意識にあげる情報を選択している機能部位のことを RASと言い、脳の中で今の自分にとっては重要でないと判断し、削ぎ落とされてしまった情報のことをスコトーマ(盲点)と言います。

RASが上手く機能すると、入力される情報にも変化が生まれると同時に、スコトーマが外れ、今まで気づかなかったような気づきが生まれたりします。

ではこのRASをうまく機能させるには何が大切なのか?RASをうまく機能させる上で重要な事。それは先ほど述べた現状の外側のゴール設定です。

つまり、今までのように現状の内側で目標やゴール設定をしたとしても、ゴール達成までの方法や手段もわかっていることなので、RASはうまく機能せず、スコトーマも外れません。結果、行動に変化が生じることはありません。

しかし、現状の外側にゴール設定をし、ゴール世界に対する臨場感が高くなることでRASが機能し、スコトーマが外れることで意識に上がってくる情報に変化が生じます。結果、新たな気づきやゴールにむけたプロセスが見えてくるようになります。

こういった背景から現状の外にゴール設定をするということが重要となります。

●コンフォートゾーンについて

現状の外側にゴール設定をしたとしても、人にはコンフォートゾーンというのがあり、コンフォートゾーンが邪魔をしてきます。

このコンフォートゾーンというのは、簡単にいうと「現状に留まることで、安心して行動できる範囲」のことを言います。そしてコンフォートゾーンに戻ろうとする働きをホメオスタシス(恒常性維持機能)と言います。

例えば、人間の体温は通常36度前後ですが、サウナに入って体温が上がると、汗をかくことで体温を36度に戻そうとします。
快適でいられる36度の体温がコンフォートゾーンで、36度に戻そうとする汗の働きがホメオスタシスになります。これは意識とは関係なく自動的に機能しています。

ホメオスタシスは、リスクを回避する・人間の生命を守る上ではとても重要な機能ですが、逆に人が変わりたいと思った時にはブレーキとなります。

現状のコンフォートゾーンに留まることは、リスクや挑戦の機会が少なく、成長や学びも得られません。ではどうしたら現状維持に留まってしまう自分を変えていけるのか。

それは脳と心の仕組みを使って、自分の内部モデルを書き換え、現状の外側のゴールにコンフォートゾーンをずらすということが必要になります。

コンフォートゾーンがズレることで現状維持ではなく、自身で定めた現状の外側のゴール達成にむけた行動を引き起こすことが可能となります。

コンフォートゾーンは臨場感の高い位置に置かれるので、現状の外側のゴールに対して臨場感を高めていくことが必要となります。

例えば将来、独立をしたいと言っている会社員の方がいたとします。
でも周りにいる友人の9割が会社員であった場合。独立をしたい想いはあるが、独立しているイメージがわかない、臨場感が湧かないので、いつまでたっても会社員の立場を維持しようとします。

反対に「独立したい」と思ったときに、周りの友人・知人が起業家や個人事業主ばかりだとどうなるか。あの人が独立して成功しているのだから、自分でも起業できるのではないか。このように内部モデルが変わっていきます。

コンフォートゾーンは臨場感の高い位置に置くことができること。そして、コンフォートゾーンの位置によって、その人の行動も変わってくるということです。

ではコンフォートゾーンをずらすために行うべきこことは何か?

●コンフォートゾーンをずらすポイント① セルフトーク
ひとつ目はセルフトーク、つまり自分に語りかける言葉です。

人の内部モデルは自分に語りかける言葉で変わります。
自分に語りかける言葉というのは、脳の中に映像を映し出します。その映像により感情が動き、感情が動くことで日々の行動が生まれます。

例えば、映画などを見ていて、感動的なシーンの中で涙を流した経験は皆さんにもあるかと思います。感情が動くのは映像があることで動くのであって、この映像のもとになるのが言葉ということです。

なので、コンフォートゾーンをずらすには、自分に語りかける言葉を変える必要があります。ネガティブな言葉はネガティブな未来を引き出します。

現状の外側にゴール設定をして、そのゴールを達成した時に自分が使っていそうな言葉、ふるまい、姿勢を意識してセルフトークを扱います。

ポイントは未来の自分が使っていそうなポジティブな言葉を使うこと。その言葉を最も多く聞いているのは自分です。このように意識の高いセルフトークを行うことがコンフォートゾーンをずらすきっかけになります。

●コンフォートゾーンをずらすポイント② エフィカシー
2つ目のポイントはエフィカシーです。

エフィカシーというのは、自分がゴールを達成するための能力に対する自己評価です。簡単にいうと「自分はできる!」「自分なら必ずやれる!」と思えるような根拠のない自信のようなものです

「自分ならできる! やれる!!」といった根拠のない自信はどのようにすれば持てるのか。それは自分の才能・強みを特定するということが重要となります。

私たち人間は他人のことは良く見えていますが、自分自身については見えていない部分が多々あります。

人には自分の才能について、自分が当たり前にできることなので価値とは思いにくいといった側面があるからです。なので今一度、自分自身の才能や強みについて振り返り、分析をしていくことが重要となります。

●Want toの特定

自分の才能を見いだす方法として行うのが冒頭で述べたWant toの特定です。

自分がやりたいこと。気付いたらやってしまっていること。周りから止められてもやってしまっていること。これがwant toです。

周りから止められても、やってしまっていること。
どんな人にも必ず無意識にやってしまっていることがあります。

この無意識レベルでやってしまっていること、自分の本音ベースでやりたいと思っている事。これをくっきりと明確にしていきます。そしてwant toを軸にしながら、ゴールを設定していきます。

なお、コーチングでは「しなくてはいけない」いわゆるhave toは禁止です。「しなくてはいけない」、「すべき」と考えると脳は無意識レベルで回避するような行動をとろうとします。

テスト前に「勉強しなくてはいけない」と思って、直前までダラダラと後回しにした経験はありませんか?「しなくてはいけない」と思うと無意識的に回避行動が起こるので「しなくてはいけない」は禁止です。

でもやりたいことであれば、人は勝手に行動します。子どもなんて親がダメって言ってもゲームしたり、テレビ見てたりしますよね。努力せずともやってしまいます。

なので「しなくてはいけない」という言葉を頭の中から消し去り、本音中の本音でやりたいことをやると決めましょう!

have toは捨てる。want toに生きる。この覚悟を持つだけで、人生は好転します。

●まとめ

ここまでの内容をまとめます。

脳と心の構造を理解し、うまく機能させることで、人生はよくなっていきます。

ポイントの一つ目はゴール設定をすること。

ゴール設定は「やらなければならない」といったhave toではなく、自身で心からやりたいと思えるwant toで設定することと。そしてそのゴールは現状のの外側に設定すること。

なぜならば、現場の外側にゴールを設定しないと情報を抽出するRASが機能しないから。このRASを上手に機能させることによって、スコトーマが外れ今まで意識まで上がってこなかった情報が入力されるようになります。

入力される情報や見えてくるものが変わってくると、行動が変わり、人生が大きく変わっていきます。

ただし、現場の外側にゴール設定をしたとしても、人間の生命維持機能としてコンフォートゾーンに留まろうとするメカニズムが働きます。

現状に留まらず、チャレンジングが行動を引き出すには、コンフォートゾーンを現状の外側にずらす必要があります。コンフォートゾーンをずらすには何が必要か?

それは自分に語りかけるセルフトークとゴールを達成する上での能力に対する自己評価であるエフィカシー。

つまり「自分はやればできる」といった根拠のない自信を高く保っていくことが重要です。このエフィカシーを高く保つには、自分の強みや才能に紐づくwant toを明らかにすることが必要となります。

改めて、コーチングセッションのプロセスを整理すると

①はじめに個人のwant toを特定し
②want toに紐づく現状の外側にゴール設定します。
③設定したゴールの世界の臨場感を高めることでコンフォートゾーンがずれ、
④結果として認知がかきかわり、行動が変わり、未来が変わる

となります。

ここまで読んでいただき認知科学コーチングに興味を持たれた方へ。
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