おんちゃん


そしてその頃には
おんちゃんの中で
私は
『笑いの女神(ミューズ)』と
化していたのだが、


等の本人、
どうやってキャッツアイとして
泥棒家業を成り立たしたらいいか
真剣に考えていて
それどころではなかったため

おんちゃんの私への恋心?は
まったく届いていなかったのである。



アホの子の純度が高かった当時の私は
あんまり周りも見えておらず
したがって他人への興味も薄く
女子なのに一人で過ごすことも
たまにあった。


たまたまなのか
その学年には一人を好む子が
男女問わず割合的に多く
私もその中の一人として
「孤独グループ?」所属と
他の子からは認識されていたから
比較的気軽にボッチを過ごせていた
現代では考えられないほど
緩く・優しい世界だった。


そんな女子力乏しい私に
やたらと面白がって絡んでくる
おんちゃん。

社交性も乏しい私が
全力で対応しても
回りから見ると素っ気ない態度に
感じられたんだろう


学年におけるおんちゃんのステイタスと
私の虫けら同様の存在
そして今の状況


腹の虫が収まらないのは
おんちゃんのクラスの
キラキラ女子グループだった。


小学生ながら
全員ロングヘアーで
当時は珍しかったパステルカラーの
運動靴を履き
ハンカチはペラペラ素材の
サンリオプリント、
香り付きの小さいティッシュ常備で
ティモテシャンプーに
ビオレUで香りをばらまき
裾にフリルを施したポロシャツで
他の児童たちとは一線を画した
まさに
ヒエラルキーの頂点に君臨する
キラキラ女子達なのだ


誰かのお下がりの体操服に
性別のわかりにくい
マッシュルームカット、
地下足袋のようなタイガーを履いて
ガーゼのハンカチにサラ金のティッシュ
爪噛みと鼻ホジを止められない
小汚ない装いのボッチを
敵と認めるのも腹立たしいはずで。



近寄るなと言われても
私からは行ってない、
本人に直接聞いてくれと
答えるしかなく
火に油を注ぐ結果に。



キラキラ女子と同じクラスだった
寿司屋のノリちゃんが心配して
一人で下校している私に
大丈夫かと声をかけてくれたが、
これを見られて
ノリちゃんがターゲットになると
さらに申し訳ないから


キラ女達が別れた道の先にある
ところてん屋の前で
話をしようとだけ伝えて
スタスタ歩いていったら
ノリちゃんはもう、来なかった。







画像はタカタさまよりお借りしました、ありがとうございます。

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