上下関係が正義だった時代の強豪校野球部時代の話 vol.3

高校野球部デビュー初日から、濃厚な1日を過ごした僕は、翌日からも驚きの連続の日々が続いていきました。

掘り出せば山ほど出てきますが、特に驚いた内容としては、やはり今の時代には考えられないような、先輩から後輩への”指導”でした。

練習中に何か言われ返事が小さい時、少しでも不満な顔を見せた時、疲れたそぶりを見せた時、監督やコーチの機嫌を悪くさせた時など、容赦なく指導が入りました。

例外なく全ての一年生が日に日に指導を受けていく中、僕はこの頃から強運を持っており、バスの移動中に二年生のレギュラーをしている最も怖い先輩に一発芸がウケて気に入られ可愛がられるようになったおかげで、僕には手を出すなという指令がされていたと、後に仲良い先輩から聞き知りました。

時には連帯責任で全員部室に呼び出され、一年生全員整列させられ順番に一人ずつ指導が入る中、僕の番が来たと思いドキドキしてましたが、その時でも僕の手前までで終わり、何もされませんでした。

最終的に引退するまで僕は、唯一無二の存在として、同級生からも恨まれることなく、最後まで先輩から指導されることなく、3年間を過ごす事が出来ました。

ですが、日々その指導を目の当たりににしていく中で、嫌でも軍隊の様な強烈な上下関係が形成され、入部から1か月も経過しないうちに、僕は強豪校伝統の上下関係に揉まれ、馴染んでいきました。

指導をされる中で、数人は残念ながら退部してしまう特待生も出ていました。

特待生というだけで、先輩方から厳しい目で見られ、少しでもやらかすと指導が入っていたため、とても酷な状況だったと、今では思います。

スマホもなく、メール主流でインターネットも出始めのガラケー時代を過ごしていた高校三年間、周りの情報も今より入りづらい世の中では、似たような高校野球部時代を過ごした方は、多いと感じます。

ですが、当時はこの上下関係こそが正義とされている時代でした。

努力、根性、忍耐

まさしく三年間で身についたことは、古い時代の精神論でした。

野球部を引退してから20年近く経過した今感じることは、やはり昔と比べて野球も世の中も大きく変化した理由として、30台半ばから40台半ばの世代が親となり指導者となり、嫌な経験をしてきた世代が若い世代に物事を教え、情報社会が発展したことが大きいと感じます。

若い世代は周りの情報を得ながら正しい選択をし、僕ら世代は間違った指導を正す機会を得たことが、今に活きている。こうして少しずつの変化が、良い社会を築く流れになっていると思います。

上下関係を重んずることは生きていく上で大切なことは間違いありません。
ただ、過度に忖度していくことは間違っています。

自分が親となった今、若い世代を見ていると正直”ぬるい”と思うことはあります。(笑)

ただ、それは時代の変化でもありますので、自分が経験したことは良い経験の過去とし、今を生きる僕達や若い世代が交流しながら、日本全体が良い社会になることを願っています。

あの人生史上最高に辛かった三年間は、当時は苦痛でしかありませんでしたが、今となっては宝物になっています。

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