出口戦略失敗

出口戦略。最近の好きな言葉ランキング第1位はこの言葉。軍事的もしくは経済的な損害が続く状況から損失・被害を最小限にして撤退する戦略。由来は、ベトナム戦争時にアメリカ国防総省内で使用された事が始まりらしい。

コロナウイルス感染の被害を最小限に抑えつつ、日常生活を再開するための戦略という意味で聞く事が増えた。

何となく、自分もこのような戦略をとった事があったなと考えていたら、思い出した事がある。

それは私が小学生の頃に遡る。当時、私は地元の少年サッカーチームに所属していた。その時の監督は、時代がそうだった。というだけでは片付けられないほどの鬼監督で、殴る、蹴る、罵る、は日常茶飯事だった。サッカーは好きだけど、毎日辞めたいと思いながら過ごしていた。

本来であれば楽しみであるはずの試合も、勝っても負けても倒れるまで走らされる。試合の前半と後半の間にとられるハーフタイム、という休憩の時間にも走らされる。走らされる事が分かっているため前半から全力を出した事がない。

試合に負けた時は当然しばかれる。戦犯が、親やチームメイトの前でしばかれる。(自分が座っていたパイプ椅子をわざわざ畳んでそれで殴るようなレベル)しばかれた痛みは忘れたけど、みんなに見られて恥ずかしかった事は今でも覚えている。

試合に勝った時も、素直に喜ぶ事ができない。笑顔やガッツポーズは相手に失礼だとしばかれるからだ。

だから、雨で試合中止の連絡が来た時はみんな大喜びする。

ある大会での事だが、監督が個人的に嫌いなチームとの試合が決まった。何度も練習試合はしているチームだけど1度も勝った事がない。その上、そのチームはいつも楽しそうに練習しているのに(そのように見えていただけかも)地域で1番強いチームだった。

監督は燃えていた。絶対に勝つ‼︎ と。

私は正直な気持ち、絶対に負けると諦めていた。それはチームメイトも同じであったと思う。

試合の当日、自転車で試合会場に向かう途中、私はわざと電柱にぶつかり怪我を負った。「これで試合には出ずに済む」そのまま私は帰宅。私なりの出口戦略(ちょっと意味はちがうか) のつもり。負けて怒鳴られて、しばかれて、走らされるよりはマシだと本気で思った。

小学生の浅はかな考え。思いのほかひどい怪我をしたし、何より保護者やチームメイトに迷惑をかけた。

後に聞いた話では、この試合の結果は、やはり負けだった。そして今までで1番だというぐらい走らされたらしい。戦犯は、その場にいなかった私。その理由はキャプテンなのに試合に出なかったから。

次の練習日に、松葉杖をついた私は監督に謝罪をしに行った。「怪我をしてすみませんでした。」謝罪したのに殴られた。今考えると不思議な謝罪。チームメイトには心の中で、ごめんと思ったけど。

監督は怒りが収まっておらず「怪我が治ったら死ぬほど走らせたるからな!」と怒鳴った。

これが私なりの出口戦略の結果。

戦略は失敗だった。というお話。






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