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とある喫茶店へ行った日のこと

天気の良い休日。

溜まっているフィルムの現像を出しに行かなきゃと思い、いそいそと着替える。

現像待ちの間に読みたい本があったから、どこか喫茶店にでも寄ることにした。

現像してもらうカメラ屋さんから1番近い喫茶店をGoogle mapで調べる。

1番最初に出てきた『茉茹莉茄(まじょりか)』という名の店が気になった。

写真はあまり掲載されていなくて、営業日も時間もちょっと怪しい(名前からして怪しい)。

普段だったら絶対行かないけど、この日は妙にこの怪しさに惹かれ、行くことにした。

この日のお供は燃え殻さんの
「断片的回顧録」

フィルムを無事にカメラ屋さんへ預けてきて、いよいよ喫茶店へ。

店内へ入るとすぐに店主(というかママ)の女性の方が
「アレ、うちの店のお客さんかいな?!」
と驚いた目で私に聞いてきた。

笑っちゃった。はいそうです。

カウンターにいる二人くらいの常連の方も、
「えらい若いのが来たなぁ〜」
と驚いている様子だった。

ママも心底驚いている様子だったけど、すぐににこやかに席に案内してくれた。

店内は純喫茶、というような雰囲気で、所々日が差している。

薄暗いような、キラキラしているような、不思議な雰囲気の店内にすぐ居心地が良くなった。

「うちは珈琲か紅茶しかないよ」
と言われ珈琲を注文。

シンプルイズベストだよね。

お菓子もついてきた。嬉しい。

ゆっくり読書している間、常連さんたちとママの会話にたまに耳を傾けたりする。

ここはいつもの顔ぶれがどうやら決まっているみたい。

私も常連になりたい、と切に思いながら読書を続けた。

珈琲が飲み終わってしまうと、次はあたたかい緑茶が出てきた。

サービスらしい。これもまた嬉しかった。

日の光に当たりながら、誰かの日常会話をBGMに、本の虫になれた時間。

ママも常連の方も、たまに話しかけてくれたりして、その距離感もちょうど良かった。

そろそろ現像が終わるので、帰ることに。

帰り際、なんで寄ったのか〜とか、若い子がきて驚いちゃったって会話をした。

とても感じのいいママ。常連の人から愛されているのがよくわかる。初来店なのに、もうこのお店が好きだ。

また現像にきた時に、寄ろうと思う。

今はおしゃれなコーヒースタンドとか、カフェがどんどん増えているけど、そういうお店に行く時の目的ってこういう喫茶店に行く時とはなんか違う。

ゆっくり読書できるお店、そもそも少ないしね…。

ちょうどよくほっとかれる、日常会話が聞こえる、サービスのお茶とかお菓子がついてくる。

こういう“人”との距離感が、本当にいい塩梅で近いから、居心地が良かったのかもしれない。

ひっそりとこういうお店が、長く長く続いてここに在り続けますようにと願う。

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