グラビディ

雨晒しの潰れた眼球
捻り潰してゴー
枝毛気にして　クラッカー齧って
撃鉄は起こしたまま
診察の予約は一杯

太陽がいっぱい
逃げられないほど
鼓膜に希望を詰め込んで
焼けた素肌　焼けた心臓
軽トラの荷台に積まれて行く荒野
裸足で駆け抜けて
足の裏は血まみれになって

破けたジーンズも
襟元を破いたTシャツも
今は記憶の彼方
薬で濁す黒い雲
穴の空いたスニーカーも
すえた匂いのリュックも
まだ体から離れてくれない
薬で濁す血まみれの岩棚

果実が苦かろうが
ベッドが合わなかろうが
それが欲しい
死体が積まれても
ワインがまずかろうとも
それが欲しいだけ
だった

重力の影がいつも勝つ
爛れた皮膚がそこにあることだけは
わかってほしい