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アマゾンで買った古本の鑑定(その17)

出品者による表示内容

書名:善と悪の経済学
著者:トーマス・セドラチェク
出版:東洋経済新報社
定価:3400円+税
売価:500円(税込)
送料:520円(税込)
出品者:Nブック21
コンディション:可
コンディション説明:帯あり。表紙裏表紙、背表紙にわずか擦れヨレがありますが、中身使用感なくきれいな状態です。クリーニングの上、迅速に発送します。

実際に届いた商品の状態

2016年7月8日第5刷発行。プチプチででラップされたうえ、レターパック(赤)で届きました。
「表紙裏表紙、背表紙にわずか擦れヨレがあります」となっていますが、ハードカバーの書籍本体の表紙や裏表紙は新品同様の状態なので、この記述はカバーのことを指しているのだと思います。
まず帯ですが、これが非常に幅の広い帯で、天地が表紙の60%を超えています。つまり、カバーよりも帯の占める面積のほうが大きいことになります。その帯は、裏表紙側の僅かな部分に微細なドットが数か所あるだけで、ピカピカの状態です。
カバーのほうは、帯で隠れてしまっている部分のほうが多いので、表面は新品同様の美しさを保っています。出品者の表示するように、わずかな擦れとヨレは見られますが、上方のごく一部だけであり、特に気になるレベルではありません。
中身は、表示のとおり使用感がなく、大変美麗です。ページの開き癖もありません。裏表紙は開くとバリバリと音がしました。表の表紙も160度くらいまでしか開いた形跡がありませんでした。

総合評価

大変優良です。
これが「可」というのは、あり得ない逆アピールです。
こんなにキレイな本なのに、そのことをことさらアピールすることなく、淡々と事実を控え目に、短くまとめただけです。これは、良心的個人経営の中古書店の1つの類型になりそうな「自虐型」と命名しておきます。
「可」でありながら、大手中古書店(1品1品の詳述はせず、クレームが出たら返品に応じることで対処するパターン)であれば平気で、というか当然に「非常に良い」と表示する水準の本です。なにしろ、読んだ形跡も、開いた形跡も認められない本です。
ここからは推測ですが、出品者はこの自虐表示を意図して楽しんでいるのではないかとも思えます。それにしても、この美麗本を「可」とする狸ぶりには恐れ入りました。
こういうことがあるので、通販型中古書店めぐりは興味が尽きません。

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