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アマゾンで買った古本の鑑定(その8)

出品者による表示内容

書名:皇帝たちの都ローマ ーー 都市に刻まれた権力像
著者:青柳正規
出版:中公新書
定価:880円+税
売価:38円(税込)
送料: 240円(税込)
出品者:バリューブックス
コンディション:非常に良い
コンディション説明:◆◆◆非常にきれいな状態です。中古商品のため使用感等ある場合がございますが、品質には十分注意して発送いたします。

実際に届いた商品の状態

1993年12月第4版です。
カバー付き、帯なしです。
カバーは、裏表紙の白い面積の多い部分には何もスレとかはなく、紙質もピカピカ光沢があります。表側の表紙は、中公新書の制服で深緑一色が大半ですが、便箋の縦罫のように一定間隔でスレた跡が白く浮き出ています。これは瑕疵ではなく、古本にはよくあることです。とはいえ、新刊書にこうした跡があったら、新刊書として買うのはちょっと引きます。
カバー表紙面の左上に折れがあります。
本体の表紙の表面上部に僅かな食い込みがあります。天地とこぐちはキレイですが、左下角に少々黒づんだ箇所があります。
番号が振ってあるページだけで401ページもある新書ですが、中身に折りクセや開きクセの箇所はありません。
本文に書き込み、傍線などは一切ありません。

総合評価

古本としては、優良です。30年も前の本ですし。
それどころか、前の読者が引っ張った傍線の箇所を感心しながら味読するのが古本の醍醐味だという趣向のnoteクリエーターもおられますので、一概に美麗な新刊同様本を称揚するのがいいのかという議論はあると思います。
この鑑定団では、新刊に近い状態のキレイな古本を、どうしたら「実物を見ないで」事前に推測するか?という視点(だけ)で書いております。
そのほかの価値観も(あるかもしれないことは)尊重したうえで、敢えて単一の価値観に拘泥しているのであります。
そうした観点で申しますと、こちらの出品者のような大手の中古書店では、1点1点を丹念に目と手で検品したうえ、その結果をいちいち商品説明欄に手書きで記入していくという気の遠くなるような作業は、しないのが経済合理的だと思います。だって、本体価格38円ですから!
そのために、アマゾンの表示基準があるともいえます。
でも、それで「非常に良い」(という表示)を「非常に良い」(実際の状態)と思ってしまうと、「非常に」なのかという価値判断の領域で齟齬が生じてしまいます。
大手の中古書店には、毎日数百箱にも上る段ボールが日本中から一方的に送られてきて、その多くに書込みはあるし、表紙のスレやページの折れなど当たり前という状態のものばかりという倉庫で検品していたら、本書のように書き込みも傍線もページ折れもない本は「非常に良い」に分類するのは、出現確率からしても、無理のないところなのかと思います。
過大表示と難じるのではなく、大手書店の表示傾向や、1点づつ見て書いているかという「表現の傾向」を、痛い目に遭いながら体得(?)していくのが、通販型古書店を利用するコツではないかと思い始めているところです。


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