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SECIを回すリーダーシップ

「もっと積極的にリーダーシップを発揮しましょう」
小学校の通知表に何度そう書かれたか分かりません。
引っ込み思案で内弁慶だった幼い頃の私は、
集団の中でリーダーシップを発揮する人(クラスの中心的な人)を見ては
「あぁいう風にはなれないなぁ…」とずっと思ってきました。
そして社会人になり十数年。
3年目研修、準リーダー研修など何度も受けてきたけれど、
「自分らしいリーダーシップ」はなかなか見つからない。
そんな中で考えていた、SECIを回すリーダーシップとは??
記事にしたためたいと思います。


リーダーシップは誰のもの?

この質問は新人の頃からずっと言われ続けています。
「リーダーだけがリーダーシップを発揮するんじゃないよ。
 ひとりひとりがリーダーのつもりで。
 誰もがリーダーシップを発揮できるんだよ」と。
本もたくさん出ていますし、ネットで検索すれば
「リーダーに求められる資質」とか「リーダーに向いている人の特徴」
など、いくらでも出てきますね。

誰もがリーダーシップを発揮できる!

はい、その通りだと思います。
取り組む分野において経験値がある方が発揮しやすい
ということはあるでしょう。
一方で、経験値がなければ発揮できないのか?というと
そうではないと思います。

たとえ新入社員でも、
「新人でもできることをしたい、先輩方にとって役に立つことをしたい」
「そのうえで、営業目標を達成したい!」
という目標を立てて、
それを叶えるために支社メンバーを巻き込みながら
目標達成に向けた具体的な行動を取っていたら、
それは紛れもなくリーダーシップです。

とはいえ、「リーダー」のリーダーシップをみんな求めている

私自身はリーダー職ではないので、部下側からの考察が多いですが、
例えば、こんなリーダーに出会ったことはないでしょうか?
・話を聴いてくれない、一方的に指示が下りてくる
・組織が目指す方向を示してくれない(または会社が示す方向をそのまま下ろしてくるだけ)
・いつも怖い顔をしている、言い方が高圧的に感じる
・案を持っていってもダメ出しばかり
・上司は全然現場のこと分かってない!
(もちろん、ついていきたい!と思えるリーダーもたくさんいましたが、
敢えてちょっと困った事例を挙げています)

あの人は全然部下に興味がないんだな。
ただの伝言ゲームじゃん。
これってパワハラじゃないの?
ダメだしするなら代替案くらい出してよ…。
現場のことくらい分かっててよね。
リーダーなんだから。

リーダーという役割でありながら、リーダーシップを発揮してくれない…。
すると部下の不満は募ります。

リーダーは何を見ているのか

さて突然ですが。
この人たち、なぜ必死に走っていると思いますか??

走っている上司

遅刻しそう?
電車に間に合わない?
走るのが好き?
単に急いでいるだけ?
実は…

大きな目標や、やらなければいけないことに追われる上司

こんな状態でした。そりゃ必死で走りますよね。
全体が見えないままでは、なぜそうしているのか?が分からないのです。

リーダーたちの声を聴いてみると…
・全社で決まったことだからやってもらわないと困るんだけど…
・ビジョンを具体的に言うと、幅広い役割を担ううちの組織に合わなくなる
・部下の成長を一番に考えて、具体的なアドバイスを真剣に伝えている
・優秀な彼らならもっとレベルの高い課題に取り組めるはず
・同業他社の情報を踏まえて先手先手で指示を出し、他社に勝つぞ!


そう、リーダーにはリーダーの事情が、想いがあるのです。
リーダーにも上司がいて、その上司にも上司(社長、役員)がいて、
親会社がいて、株主がいて、世間の目があって…。
部下からは見えないところで、必死に走っているのかもしれません。

そんなリーダーを作っているのは…

例えば、案を持っていってもダメ出しばかりのリーダーがいたとします。
リーダーの想いは、
優秀な彼らならもっとレベルの高い課題に取り組めるはず
です。

部下は、「ダメ出ししてほしくない」と思いつつ、
リーダーのダメ出しに対して、
「分かりました」「はい、もう一度考え直してきます」
と、肯定的な返事をし、
陰で「またダメ出しされちゃったよ…」「やる気無くすよなぁ…」
と言っているとします。

リーダーから見れば、
指摘をすると前よりいい案を持ってくるので、
自分がダメだしすることで部下が育っている。
と感じているかもしれません。
つまり。
ダメ出しばかりするリーダーを作っているのは、
部下の行動だったりするのです。

えぇ!そんなはずない!
ダメ出ししたらモチベーションダウンするのは当たり前でしょ?
と思う方もいると思います。
そうですね、上司だって分かっているんです。
ダメ出しでモチベーションは上がらないことくらい。
でも、背後に迫ってきているコイツ↓↓

大きな目標や、やらなければいけないこと

コイツが迫ってきているせいで、
例え部下から嫌がられても、アウトプットのレベルを上げるしかない!
のかもしれません。
(もちろん同じダメ出しでも、言い方とか、言うタイミングとか、気を付ける部分はたくさんありますが)

リーダーの型

リーダーのリーダーシップに注目して、
リーダーの型を3つご紹介したいと思います。

1.指示型

リーダーと聞いた時、まず思い浮かべるのはこの型ではないでしょうか。
イメージ図はこちらです。

指示型

リーダーは部下よりも知識があり、技術があります。
意思決定はリーダーが行い、部下に対して細かな指示を出します。
いわゆるトップダウンの形ですね。
リーダーの方が仕事に詳しく、進む方向が明確な時には、
早く成果を上げることができる型だと言えます。
(なんだかんだ言って、この型から変えられない組織は多いはず)
しかし最近では、突然畑違いの部門のマネージャーになることも多く、
部下の方が業務に詳しいこともざらにあります。

2.サーバント型

そこで流行ったのがサーバントリーダーです。
チームの目標達成のために部下を支え、
メンバーの力を引き出すリーダーシップ。
イメージ図はこちらです。

サーバント型

リーダーはメンバーの話に耳を傾け、
チーム内のコミュニケーションを活性化し、
メンバーの力を引き出して、課題解決をしていきます。

どちらの型も、それぞれ良いところがありますし、
状況に応じて使い分けることも必要だと思います。
そして今回この記事を書いたのは、
以下の3つ目の型を紹介したかったからです。

3.共登型

共登(きょうとう)型。
※共登は広辞苑には載っていません。造語です。
イメージ図はこちら(リーダーのサイズがちょっと小さいのもポイント)。

共登型

リーダーは、メンバーに対して指示を出すことより、
メンバーの話しを聴くことより、
立場を超えて、メンバーと一緒になって話しをすることで
リーダーシップを発揮します。
組織の全員で、自分の想いやアイディアを聴き合い、出し合い、
時にはぶつけ合い(知的コンバット)、

組織が目指すビジョンは何なのか、解決すべき課題は何なのかを話し合って
コンセプトを創り出し、
そのコンセプトに向かってる。
そして、それができる環境()をつくるリーダーシップです。

VUCAの時代。
全員の力を総動員して、善い目的に向かっていくリーダーシップこそが
SECIを回すリーダーシップと言えるのではないでしょうか。

SECIを回す共登型リーダーシップ

リーダーの役割

たくさんある中でも特に大切だと思っている2つをお伝えします。
1つ目。
コイツ↓の存在をメンバーに伝えること!

大きな目標や、やらなければいけないこと

メンバーからはなかなか見えにくいところにある
大きな目標や、やらなければいけないこと。
それを見える化してメンバーに伝えることがリーダーの役割だと思います。
情報統制もある程度必要ですが、
情報開示(コントロールされていない、リアルな情報の開示)は要です。

そしてもう1つ。
そして、全員が前のめりになって知的コンバットできる”場”をつくること。
結局正解なんて誰にも分からないんです。
過去の経験が邪魔をする場合もある。
だからこそ、肩書、既存の知識・ルール・しがらみから離れ、
自由に発想し、何でも試してみることができる”場づくり
が必要なのです。
リーダーの仮面を外し、鎧を脱ぐことがその第一歩だと思います。

メンバーの役割

じゃぁメンバーは?というと…こちらも2つお伝えします。
まず1つ目。
どんなにリーダーがビジョンを見せ、場づくりをしても、
それだけでは圧倒的に足りないものがあります。
それが「現場の情報」です。

トップ(青の人)からでは、緑の人までしか見えません。
赤の人が現場の情報を上司に伝え、上司がその上司に伝え…
この情報が正しく伝達できなければ、トップは判断を誤ります。
上位者だからなんでも分かっている、はずがないのです。
上司は全然現場のこと分かってない!
ということは、
メンバーが上司に現場のことを伝えていない、ということなのです。
(伝えているつもりでも実は伝わっていない、正しく伝わっていない、ということも考えられます)

そして2つ目。
勇気を持って、自分の意見を言葉にすること!
どれだけ考えていても、言葉にしなければ誰にも伝わりません。
言葉にすることは勇気が必要です。
どんなに心理的安全性があったとしても、
違う意見の人もいるかもしれないし、
否定されることもあるかもしれません。

それでも勇気を出して言葉にすること。
これが、SECIを回すうえで、リーダーの場づくりと両輪
なのです。

私の役割は??

これは私の演劇の経験からの考察です。

何もない素舞台(舞台装置が何もない舞台を”すぶたい”と言います)で、
「長い長いトンネルから出て来て、久しぶりに夏の陽の光を全身で浴びる」
というシーンがありました。とてもまぶしくて嬉しいシーンです。
当然、素舞台にはトンネルもないし、太陽もありません。
だからこそ、全員で感じるんです。
トンネルの暗さを、太陽の光を。それも、同じ暗さ、同じ太陽の光を。
(全員で同じものを感じないと、何だかちぐはぐした違和感があります)
もちろん、同じものに触れても、
感じ方や表現の仕方は、それぞれ違います。
それでいいんです。
自分に嘘をつかないし、相手にも嘘をつかない。

同じものに触れて、どう感じるかを素直に表現する。

本気の知的コンバットの”場”に、そんな状態で臨むことが、
リーダーであろうとメンバーであろうと関係なく、
私の役割なんじゃないかな、と思っています。
共登型リーダーシップはすべての人が発揮できるものなのです。

SECIは回ると信じてみよう

リーダーとしてもメンバーとしても、
SECIを回すリーダーシップを発揮するのは勇気がいることです。
その勇気、どうやって持てばいい…??

これが正解ではないですが、
私は「相手の暗黙知を相手以上に信じること」だと思っています。

目の前の部下も、上司も、新人も、社長も、
とても素敵な暗黙知を持っているんです。
もちろん自分も!

今日のこの場でどんな暗黙知を浴びれるか、
自分の暗黙知がどんな風につながっていくのか。
きっとSECIは回ると信じて、
ちょっとだけワクワクしながら、”場”に臨んでみませんか?

ご参考

賢慮型リーダーシップの6つの能力

今の時代に求められるリーダーとは

最後まで読んでくださってありがとうございました!
(担当:大久保)

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