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#KENMAYA です。

2019年池袋で発生した自動車暴走事故の公判で、飯塚幸三被告(90)に対し、東京地検は2021年7月15日、禁錮7年を求刑しました。

飯塚被告は「ペダルは踏み間違えていない。私の過失はない」などと訴え、車の不具合が原因だったと最後まで無罪を主張し続けました。

まずこの件に関して色々思うことはあります。尊い命が奪われたこと。そして何より、高齢の被告が己の過ちを認めず反省するどころか開き直るような態度でいること。しかし、日本は法治国家であり、私情によって裁かれることはあってはなりません。事は司法の手に委ねられました。


そこで本日は、純粋に「禁錮」って何だ?という疑問についてお話したいと思います。
なお、わたしは法律の専門家ではありません。間違いなどございましたらご指摘のほどよろしくお願い致します。


1.刑罰の重さ


日本の刑法上、刑罰の重さは以下の通りとなります。

死刑>懲役刑>禁錮刑>罰金刑>拘留>科料>没収

蛇足になりますが、科料と罰金刑は同じじゃないか?と思う方も多いと思いますが、1000円以上1万円未満の金額の支払いを科すのが科料で、1万円以上の支払いを科すのが罰金となっており、金額の多寡によって決まります。
また多くの人が誤解している行政上の罰則である「過料」は「科料」と明確に異なり、刑事罰に相当するものが「科料」であり前科になるのに対し、道路交通法違反や届出義務違反などの「過料」は「反則金」として前科にはなりません。

今回の「禁錮刑」は、懲役刑や拘留と同じく、受刑者の外出の自由などを剥奪した上で、刑務機関(刑務所や拘置所)に拘置する刑です。
懲役刑は拘置された刑務所内での刑務作業に従事することが義務付けられているのに対し、禁錮刑は作業従事を義務付けられてはいません。
高齢であったり、身体的障害を負っている者に対しては禁錮刑となる場合が多いです。拘留は禁錮刑と同じく作業義務のない拘置ですが、期間が1ヶ月未満と定められているため、比較的軽微な犯罪(公然わいせつ罪、暴行罪、軽犯罪法違反など)で拘留されるものであり、判決として拘留判決、となることは稀です。(裁判中の拘留も拘留期間として計算されるため。)


2.執行猶予


1.で述べた刑事罰の中で実際に刑務所に行くこととなる死刑、懲役刑、禁錮刑ですが、懲役刑と禁錮刑については実際の刑に処すまで、猶予を与える「執行猶予」がつけられることがあります。
これは簡単に言えば、初犯であったり、犯した罪に情状酌量の余地がある、犯した罪を深く反省し既に社会的制裁を大きく受けている、などの理由から刑の執行を先延ばしにする法律です。

「禁錮○○年執行猶予△△年」という判決が下れば、△△年の間別の犯罪を犯して再び裁判にかけられるようなことがなければ、禁錮刑(実刑)を免れることになります。

今回のケースでは判決に執行猶予がつくかどうかが焦点になるかと思いますが、基本的には、「懲役または禁錮3年以下罰金50万以下」の比較的軽度な刑罰の場合にのみ、執行猶予がつく。とされており、検察の求刑通りであれば執行猶予はつきません。


3.今回の事件について


まず被告が自身の過失を認めていないこと。

これが大きな争点になると思います。自動車側の検査では故障や不具合などが認められていないにも関わらず、被告が自動車の故障を理由に挙げ、操作ミスや判断ミスを認めていないことから、わたしは情状酌量の余地はないものと考えます。

この事件が与えた社会的影響は大きく、多くの良識ある高齢ドライバーの免許返納の動きを加速させた一方、高齢ドライバーの起こす事故がたびたび大きく報道されるようになり、「判断能力の鈍った危険な高齢ドライバー」という認識が社会全体に広がったことで、まともな高齢者までひと括りに偏見の対象とされてしまったことも無視できません。

『上級国民』という言葉を定着させた本件の被告には、事の重大さ、自身が与えた社会的影響をよく考え、しっかりと罪と向き合っていただきたい。そう願ってやみません。


ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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