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旦那です。

わたしはロシアが好きです。好きでした。特に音楽の分野では、ロシア民謡に始まり、チャイコフスキーやラフマニノフ、ムソルグスキー、ショスタコーヴィチといった偉大な作曲家たち、そして世界最恐といわれた指揮者ムラヴィンスキー、マエストロ仕事してください!で有名なユーリ・シモノフ。そしてモスクワ・フィルハーモニー交響楽団のレベルを非常に高く評価していました。

バレエやサーカスといった文化もロシアがその礎となっているところが大きく、18世紀頃ピョートル一世の元、ヨーロッパとの交流がもたらしたロシア版ルネッサンスで、19世紀頃にはプーシキン、ドストエフスキー、ニコライ・ゴーゴリ、トルストイ、イワン・ツルゲーネフといった偉大な小説家たちも生みだしました。

一旦はソ連の誕生と共に新しい思想や文化は衰退したものの、当時生まれた音楽や文学は今も色褪せることなく燦然と輝き続けていたのです。むしろ現代においては、ソ連時代のプロパガンダを揶揄するインターネットミームが誕生するくらいにロシア文化は愛されていたのです。


ところが2022年2月24日、奇しくもわたしの38歳の誕生日に全てが変わりました。クリミア併合の時とは違い、ロシアは宣戦布告を行い正式にウクライナとの戦争が始まりました。日々入ってくる死傷者のニュースに心を痛め、ちらつく第三次世界大戦の影に怯える日々を過ごす中、少しずつわたしの中でのロシア愛が薄れていくのを感じています。

以前、戦争映画が好きだという記事を書いた記憶がありますが、それは戦争という悲惨な歴史において、究極の人類愛であったり、英雄はいかにして生まれるか、勝敗を分けた喫水線はどこなのか、という傍観者、あるいは観察者視線で見ていたからであり、戦争を美化したりするものではありません。

ゲームでは『Call Of Duty』シリーズでソ連兵になって何度ナチスドイツ兵を殺してきたか分かりませんし、アニメでも『ガールズアンドパンツァー』のようにソ連をオマージュした題材を目にしてきました。これらは現代では「戦争は起き得ないこと」だったから楽しめていたものですし、映画『スターリングラード』(ジュード・ロウ主演の方)が現実で起きるなんて、誰が想像し得たでしょうか。

若いロシア兵の中には戦争であることすら知らされずに戦地に送り出された者も多くいるでしょうし、ロシア人の中には世界中から数多の批難を受けている事も知らない人たちが多くいるでしょう。しかし、わたしの中のロシア愛は刻一刻と失われ、かつての偉人たちが築き上げてきた文化そのものを破壊しようとしています。


今回この『尊厳的文化破壊』についてどうしても書きたくなったのは、モスクワ・フィルハーモニー交響楽団の演奏をYouTubeで見ていて無性に悲しくなったからです。どうしてこんなに素晴らしい文化があり、優れた技術のある国が前近代的な戦争をしなければならないのでしょうか。

ゲームとは違うのです。ポップカルチャーだけではなく、スポーツやクラシックといったアートカルチャーからもロシアを追放する流れが起きてしまったら、取り返しがつきません。どうかわたしの中のロシア愛が尽きぬうちに一刻も早い停戦と和平を望むばかりです。

#NOWAR

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