お湯に浮かんでもう一度開く白く小さな花びら。枝先で咲いていた季節と同じ、部屋には初恋の初夏の記憶が香る。そよ風のような優しさに気づけなかったのは、自分でも気づかない心の隅に溜まった埃を払ってくれていたから。貰ったけど、すぐに受け取れなかった手紙が詰まったポストが開く白く仄かな朝。

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