Angenieuxとfpのこと
レンズの癖を掴むには何はともあれ枚数を撮るに限る。
MTF曲線を眺めるのも嫌いじゃないけれど実写に勝るものはない。
写真はレンズとカメラのマッチングが大切。
オールドレンズの場合は更にレンズの状態による個体差もあるから尚更。
AngenieuxはRマウントなのでR8で撮るのが本筋なんだけど、癖を掴むための試写をフィルムカメラでやり切るほどの度胸はない。
撮影の結果が直ぐに分からないフィルム写真、一枚一枚設定をメモしながら36枚を撮り切るなんて無理。
常識的な試写の手段としてマウントアダプタを介してSIGMA fpで撮ってみる。
写真機と映像機のハイブリッド機であるfp。
エスプリを効かせたデザイン。
画を撮るために必要な最低限の機能。
シネレンズを源流に持つAngenieuxを着けるミラーレスカメラとしてこれ以上のものは無い。
SUMMICRONの解像感とSUMMILUXの白の滲みが同居したような標準域のズームレンズ。ボケは素直でフォーカス部分からのグラデーションはとても滑らかだ。
彩度は低めに出るので(カラーモードを使うとよく分からないけれど何となくそんな感じ)風景写真を撮るのにちょうど良い。
ゴーストやフレアはかなり意地悪しないと出ない。40年前のレンズだけど写りに古さは感じない。
操作性の面では流石に不便はある。
純正以外のフードを使うとテレ端でケラれたり、ピントリングの回転角が大きくて最短から無限遠まで180°以上回さなければならなかったりする。
一方で絞りリングはマウント至近の絶妙な位置にあってクリック感はチープだけど凄く使いやすい。
レンズの見た目がレンコンデザインなのは好き嫌いがあるかもしれない。
それにしてもfpである。
オールドレンズと組み合わせるとfpの良さを再発見する。
ノールックで設定を変えられる機能性もなければホイールの動きは不安定だし、グリップがないからホールド感も悪い。
だからこそゆっくりじっくり撮影することが求められる。
撮り手が試されているような、カメラと対話しながら写真を撮っていくような体験。
こんなカメラがあるなんてね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?