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物欲の昇華とGR。すべては運動会のために。

RICOH GRⅢxの発売が発表された。
コンデジをひとつ買い足そうとしていたところにこの発表。火に油というか渡りに船というか、物欲の種火にガソリンを注ぐような、そんな精神状態だった。

今回は物欲の発生から昇華に至るまでの心の内を忘れる前に残しておこうと思う。


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運動会では望遠ズームレンズが活躍するけれど、それだけで撮り切れないのが運動会。
子どもの運動会に参加したことがある人は分かると思うけど、撮影のチャンスは競技の最中だけではない。競技が始まる前や終わった後、トラックの外でキャッキャと騒ぐ姿もまたフォトジェニックなものだ。
そんな近距離にいる子どもを撮るのに望遠ズームレンズは使えないし、そう頻繁にレンズ交換もしていられない。

シャッターチャンスは一瞬だ。

競技中の子どもを撮るには望遠ズームレンズ、近くにいる子どもを撮るには広角に強いコンデジ、この二刀流が必要だと僕は経験から学んだ。

もちろんミラーレス機を2台用意することも考えられた。
E-M1に12-60のレンズ、G9に50-200のレンズ。この2台で24mmから400mmまでの焦点距離をカバーできる。でも肩に2台のレンズ交換式カメラを提げて歩き回るのは流石に疲れるし、見た目的にちょっとやり過ぎ感が出てしまうのでこの案は採用されなかった (それっぽい腕章をつけたら完全に業者の人だ)。
子どもが主役のイベントで家族が恥ずかしがるような行動は慎まなければならない。近くにいる子どもはなるべくさり気なく撮りたい。

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超望遠(35mm換算でテレ端400mm)のズームレンズを装着したG9が長剣だとして、さて、短剣をどうするか。それが問題だ。

同じPanasonicならTX2やLX9。最近流行りのSONYならRX100m7あたりが候補だった。
でも今現在サブで使っているXZ10と機能が重複すると、運動会後にどちらかの使用頻度が極端に下がることは必至だ。祭りの後で必要以上にうら悲しい気分になるのは避けたかった。
 それならば単焦点のコンデジはどうだということでGRが候補に浮上した。

実は単焦点コンデジの機種はGR以外にもDP1のMerrilだったりQuattroだったりが対抗馬として候補にあがっていた。
直前まで悩んでFoveonセンサーの誘惑を振り切ったのは我ながら英断だったと思う。子どもの晴れ舞台にダークサイドに堕ちたカメラを持ち込むなんて狂気の沙汰だ。SIGMAには次期fpでフルサイズFoveonセンサーの実装を期待したい。

GRも初代からⅢまで選択肢があるけれど、昔GR Digital Ⅲを使っていた時にセンサーにゴミが付着して痛い目にあったことがあるので、最終的にはダトリムーバブル機能があるGRⅢが候補として残った。実物を触って操作感や画の作り方などを確認しながら、いよいよ購入しようとしていたその時に、件の発表があったというわけだ。


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RICHO GRⅢx。

GRの名を冠する焦点距離40mmのダークホース。
みんな次のGRはGR Ⅳだと思っていた。AFと手ブレ補正が強化され,防塵防滴仕様になった4000万画素クラスのスナップシューター至高の存在。でも違った。RICOHはGRistたちの甘っちょろい幻想を破壊した。「GRは28mm」という固定観念に左フックを食らわせた。「え、そっち?」という声があちらこちらから聞こえてきた。でもそれでいい。GRは常にロックなんだ。

40mmという焦点距離はなんとも絶妙だ。
僕はM-ROKKORの40mmでその焦点距離の虜になってしまったんだけど、35mmよりも近くて50 mmよりも少し遠いという付かず離れずの焦点距離が心地よい。
今のご時世では人出が多い街中を目的もなく歩くことは避けたい。行動範囲が限定され、家族と過ごす時間が大幅に増えた。家の中の風景をいつも以上に集中して観察することによって得られる新しい発見や、改めて見つめ直した家族の表情を切りとるには、28mmよりもう少し被写体を大きく写せる画角が必要だったのかもしれない。

とはいえこの40mmのGRを「GR Ⅳ」としてGRの直系に位置付けなかったのはⅣを28mmとすることの布石のように思える。
Ⅳを発売する頃には目的もなしに街中を歩けるようになっていて欲しいとの願いのようだ。



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40mmについて長く語ったけれど、結果としてGRⅢ(28mm)を買ったという話。

40mm単焦点のコンデジは確かに魅力的だった。ただ、僕がコンデジを買い足すのは運動会における近距離撮影のためだ。友だちや先生や園庭の遊具とか、なるべく多くの情報を1枚の写真に残したい。そう考えると28mmの広角レンズに軍配が上がった。

10月1日にGRⅢxが発売される。レビューや作例を目にすることが多くなるだろう。そして僕は異端のGRが写し出す画に魅せられるんだろう。それでいい、例えGRを所有していたとしてもGRは永遠に僕たちの憧れなのだから。


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RICOH GRⅢを手に入れて対運動会二刀流の形が整った。雷神丸と風神丸を携えて一生に一度のイベントに挑む。

ありったけの物欲を注ぎ込んだこのカメラが最高の1枚を写し出すことを願っている。


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