怪物・夏
5月が終わろうとして暑さが日に日に増してくるこの頃。
最近では暑熱順化というワードも叫ばれ、熱中症という"掴みどころのない天敵"を相手にしなければいけないシーズンがやってくる。
私は昔でこそ夏が好きだったものだ。
小さい頃は、夏になれば格安で楽しめるしらこばと水上公園が近くにあった。
同級生とチャリを必死になって漕いで向かっては、プールに思わず飛び込んだこともあった。
「そこ飛び込まないでくださいねー」
と大学生のアルバイトスタッフに注意された記憶もまた、懐かしい。
また、私自身の誕生日も8月13日と夏の盛りにも程がある、そんな時期に生まれた。
こういった因果もあって、夏は比較的好きだったはずなのだが、それももう昔の話。
今は殺傷能力を手にしてしまった暑さはもちろん、誕生日がお盆のシーズンゆえに、周りに誕生日のことを大して話すわけでもないから価値が薄い。
かと思えば、ハタチをすぎてしまえばただ、「老害行き」と書かれた各駅停車に乗っては毎年の誕生日という停車駅にて、新たに1名の"年齢"という乗客だけが乗り込むという世界線。
この列車に乗った乗客は最後まで降りることもなく、得体のない終着駅にゆっくりと進んでいく。
なんと価値がなくなってしまったことだろう。
気がつけば、夏が本当に煩わしい季節になってしまった。
喜べることがあるとしたら、爽やかな夏曲に触れることくらいだろうか。
殿堂入り級のTUBEやサザンはもちろんのこと、ゆずの『夏色』だったり、森山直太朗の『夏の終わり』、最近ならばMrs.Green Apple『青と夏』や緑黄色社会『サマータイムシンデレラ』などなど……
音楽で少しでも容赦ない夏を緩和したり、せめてでも楽しもうとしたりする姿勢を示そうと今年もすることだろう。
その準備を始めるときは、もう間近に迫っているのかもしれない。
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