USMLE step1 完全攻略マニュアル
STEP1の概要(pass or fail 改定後)
USMLEの勉強を始めてから、3年半が経ちました。
STEP1の受験からは2年が経っていることになります。
もっと記憶が鮮明なうちに勉強記録を書き記しておけば良かったと後悔はつきませんが、なんとか記憶の断片を繋ぎ合わせて、私のstep1合格記を綴っていこうと思います。
USMLE(United States Medical Liscence Examination)はアメリカで医師免許を取得するための試験になります。
米国の医師国家試験ですね。
我々IMG(International Medical Graduates)、つまり米国外の医学部を卒業した学生は、step1、step2CK、step2CS(現在はOETにて代行)の3つのstepを全てパスすることで、ECFMG certificateを手にすることができます。
ECFMGは米国籍を持たないIMGが米国で実臨床に携わる際に、その臨床知識と能力を公的に評価、担保する機関です。
ECFMGを授与されて初めて、米国residencyへのマッチングに参加することができます。
USMLE step1は、この長い長いECFMG certificate取得までの道のりの、文字通り第1ステップになります。
従来、このstep1で取得したスコアがマッチングの行方を左右する重要なスクリーニングファクターとして機能していました。
語学という点で、ネイティブに比べ圧倒的に不利な立場にあるIMGは、公平なテストであるUSMLEのスコアで少しでも彼らと差をつけることがマッチング成功の鍵を握っていたのです。
しかもstep1は合格してしまうと受け直しが聞きません。つまりどんなに低いスコアであっても、最低スコア以上の点数を取れば合格、そのスコアが以降永久に記録に残ることになります。
なので一発で、しかも可能な限り高得点で、この試験を突破する必要がありました。
しかし2022年1月をもって、これまでマッチングに挑戦する多くのIMGの精神をすり減らしてきたこの試験の規定が大幅に変更され、スコア制からpass or fail、つまり日本の国家試験と同じシステムになりました。
なので、これからstep1を受験する医学生にとっては、もはや高得点を目指して周到な準備を重ねるインセンティブは無くなります。
時間をかけても良いから、可能な限り高得点をとる従来の戦略から、実習や医師国家試験など、他にやるべきこととのバランスをとりながら、いかに省エネで、つまり最短で効率よくポイントを抑え、最低合格点以上のスコアを取るかという戦い方に変えていくべきでしょう。
受験を決めたきっかけと当初のスペック
USMLEの勉強自体は4年のCBT受験を終えてから取り掛かりました。
CBTでは90%以上のスコアを取ることを目標に勉強していましたが、本番では惨敗し、最終的なスコアは85%ほどだったと思います。
なので学部低学年の頃から系統講義の試験では学年上位の成績をキープし続け、CBTでは余裕で90%を突破してそのままUSMLEの勉強を始めたような他の方たちと比較すると、私の成績は決して華々しいものではありません。
ただそんな自分の体験記から一つ言えることは、CBTのスコアとUSMLEの勉強はそれほど相関性がないということです。
さらにいうと、英語力もさほど影響しないと思っています。
もちろん英語が得意なことに越したことはないのですが、ある程度しっかり英文を読めるのであれば、あとは何千問とQBを解き続けることで、自然に英文の読解スピードは上がっていきます。
そもそもUSMLEに興味を持つような学生は、英語に元からそれほど抵抗がない、もしくは英語が好きな方が多いと思うので、英語力に関してはそれほど心配しなくても大丈夫です。
どちらかというと、USMLEの勉強を開始する前に、ベースとしてもっている日本語での医学知識の方がはるかに重要です。
ただこちらも、それほど突出した知識量を最初から持ち合わせている必要などないと思います。
普通にCBTを受験し、合格できるレベルの臨床知識をもっていれば、そのままUSMLEの勉強に移行できるはずです。
最近では学部1,2年生の頃から臨床留学を目指し、USMLEの勉強を開始されている方もいると聞きますが、素晴らしいことだと思います。
医学知識のベースを日本語で固めてからの方が、勉強自体はスムーズだとは思うのですが、基礎医学の段階から英語で教科書を読み込んで、医学単語の暗記をしてきたような人であれば、CBTを終えた後は短期間で合格スコアまでもっていけると思います
試験日までの勉強スケジュールとQbankの使い方
STEP1の勉強時間としては、最終的に合計で約1年半を投資しました。
試験がpass or fail に移行してから本番を迎えたことを考えると、果たしてこれだけの時間を割く必要があったのかというと微妙なところです。
合格するだけであればもっと省エネに、時短でこの試験を突破することは可能でしょう。
私の場合、前述の通りCBTの受験後すぐに勉強に取りかかり、5年から6年に上がる春にstep1を受験しました。
具体的なスケジュールとしては、
最初の1年間はUSMLE Rxを使用し、後半の半年間でUworldを使用しました。
Rxは初学者にとってはUSMLE、及びFirst aidの使い方に慣れるといった意味で有効です。
いくつかプランがありますが、問題演習ができれば十分なので、Qmaxで問題ないと思います。
暗記はfirst aidで、医学知識の理解については病見えなりイヤーノートなり、結局は日本語でのインプットが重要になってくるので、Rx付属の映像講義やフラッシュカードの必要性はあまり感じませんでした。
Rxは設問毎にfirst aidの該当ページが記載されているため、Qbankを解く度にfirst aidに立ち返るという習慣が身につきます。
この一問一問、FAに立ち返っては知識を入れて、暗記していくという作業が最初の土台づくりにおいては重要となってくるので、Rxはほぼ全ての問題をチューターモードで解きました。
この作業をUworldの演習と合わせて数千回と繰り返した先にfirst aidの習得と合格が待ってます。
勉強を始めた当初は1時間に2問解くのが精一杯でした。亀のようなペースでノロノロと解いていましたが、Rxは最終的には1日20問をノルマにして解いていきました。
最初はとにかく医学単語の暗記と、first aidを読み込む癖をつけることが大切だと思い、あまり焦らず自分のペースで進めていきました。
Rxは解答が長いわりに要点がまとまっていないことも多く、解答はさっと目を通す程度にして、この時期はとにかくfirst aidをしっかり読み込み、Qbankの該当箇所の暗記に注力しました。
Rx1周目はポリクリでローテートする科に合わせて、同じ科(循内を回っている時は循環器の分野だけを設定するなど)の範囲を解きました。
2周目に入ってからは分野をミックスにして、間違えたところや1周目でフラッグをつけた問題を中心に復習しました。
2周目を大方とき終えた段階でUworldに移行しましたが、これは後から振り返ると遅すぎたと思います。
UworldがUSMLE対策のゴールドスタンダードなことに揺るぎはないので、Rxでの演習期間をもう少し減らして、Uworldの演習時間を伸ばすべきでした。(Uworldの契約期間を半年で挑む人の方が少数派だと思います)
Rxの解答に記載されているfirst aidの該当ページを見ずとも、first aidのどのページに何が書かれているのかを大体わかるようになってきたら、その時がUworldに移行する最適のタイミングだと思います。(Uworldにはfirst aidの該当ページがないため、自分でfirst aidを検索することができないと勉強できない)
Uworldに移行してからも基本的には1日20問、余裕のある時で40問のペースで1周目は解き進めました。
Rxを解いていた際は、正解した問題はその選択肢のみ、間違えた場合でも、正解の選択肢と自分が選んだ間違えた選択肢のみ解答を読んでいましたが、Uworldに移行してからは問題の正誤に関わらず全ての選択肢に目を通すと良いと思います。
5択であれば1つの選択肢から得られる知識は20%ですが、選択肢を全て読み込むことで、その5倍の知識を得ることができます。少なくとも理論上は。
Uworldの解説はよく作り込まれています。
複雑な臨床推論を要する問題であっても、正解までのプロセスがクリアに証明されていて、間違えの選択肢ではなぜそれが不正解なのかが分かりやすくまとめられています。
この解答をしっかりと読み込み、内容を暗記することで自ずと力がつきます。
正解の選択肢しか目を通していない場合は、1問あたり、本来取りうる情報量の20%しか取れておらず、他80%を捨てているようなものです。
1問1問、100%絞り出すようにUworldを解いていくべきです。
他の多くの受験者が語るように、この問題集を正しく使い、攻略することが、合格までの絶対かつ唯一の道です。
最初の4ヶ月間ほどはRxと同じくチューターモードで解き進め、後半2ヶ月間は1セット40問をテストモードで一気に解くスタイルに変更しました。
この40問を本番と同じ時間で解いていくことによって、体に試験の時間感覚を刷り込ませていきます。
(ちなみにUworldの正答率が50%ほどあればstep1はpassできると言われています)
直前期にはこのフルセット一気に解くサイクルを、1日に2サイクル回し、1日合計80問解くようにしました。
勉強を始めた当初は1日に2問で根を上げていたのが、最終的には80問回せるようになった時には、幾分成長を感じたものです。
勉強を開始してから半年後からは、Rxと並行してSketchyも勉強サイクルの中に組み込みました。
Sketchyについてはこちらから
ビジュアル暗記の力を駆使して作られたカトゥーンテイストの教材を使って勉強ができる優れものです。
step1では鬼門である微生物学、薬理学の知識の穴を埋めるために使用しました。
正直この2分野に関してはCBTレベルの知識では歯が立ちません、、
私はどうしてもfirst aidのページだけでは全く薬理機序や各細菌やウイルスの特徴が頭に入ってこなかったため、
Sketchy microとSketchy pharmaを使用して、これらの分野の知識を補いました。
米国の学生の間では非常にポピュラーな教材で、使用頻度で言えばRxなんかよりもさらに上位にランクインされているのですが、国内での知名度は今一つなのは何故なのでしょうか。
日本の基礎医学の教育とstep1のギャップを埋めてくれる素晴らしい教材で、かつ実際に使いやすく、勉強していて面白い教材なので非常におすすめです。
勉強法【総論】
多くの方が語るように、First aidの内容を全て頭に詰め込む。
これがstep1突破の唯一無二の勉強方法です。
ただあからさまに読んでいてもこの分厚いテキストの内容は全く頭には残らないので、意識すべき点を3つ紹介します。
これはUSMLEだけでなく、あらゆる資格試験の勉強でもそのまま当てはめることができる方法論です。
それは
1. Question bank first
2. Active recall
3. Space repetition
4. study routine
1.に関してはそのまま、常にアウトプットファーストの勉強を心がけましょうということです。
実際に問題を解く中で、正解していればなぜ正解していたのか、不正解ならなぜ不正解だったのか、そしてどの知識が、その1問を解く上で自分に欠けていたのかを確認し、その穴を丁寧に補填していくようにして知識を積み上げていきます。
勉強のインプットとは本来こうして行うべきであり、Uworld あるいは RxとFAの往復を無限に繰り返す中で、積み上がった知識は強固なものになっていきます。
2.に関しては、思い出し、想起による復習に時間をかけましょうということです。これは解説を眺めるのでもなく、一度勉強した範囲のテキストを眺めるのでもなく、人に説明できるように新しく入れた知識を頭から引っ張り出して再構成するような作業です。
これを強制的に行うようにしてくれるのがAnkiをはじめとした暗記ソフトであり、古典的なものであれば参考書の赤シートになります。
詰まるところある一定量の知識が積み上がった時に試験に臨む状態が作れるわけであり、そしてそのためには貯めた知識を失わずに維持しておく必要があります。
これがこのまま3.につながっていくわけですが、強制的な思い出し、2.の項目を時間を空けて、繰り返す必要があります。
人は忘れる生き物です。どんなに重要な知識だとわかっていても、数日すればやはり一度入れて放置していた情報は断片的になり、必要な時にすぐに取り出せる使える知識として頭に定着することはありません。
だからこそ、繰り返すのです。
復習をして、同じ場所になん度も立ち返り、想起してください。
3回目忘れたのなら、4回繰り返してください。
そしてあまり、自分の脳に期待しないことです。
とんでもない試験を受けようとしているのです。
生半可な準備では太刀打ちできません。
いい意味で、手強い相手に向き合っているのだと諦め半分で勉強を継続していきましょう。
そして最後に4.ですが、これが一番大切です。
なぜならstep1合格のために必要なのはFAに書かれていることを全て頭に叩き込み、使える知識にすることであり、これはすでに述べた1~3のメソッドを実践することに他なりません。
そしてそのために必要な知識の総量は決まっており、勉強にかけられる時間もまた決まっています。
そうであるならば、必ずある一定期間を投下する必要があり、これは持久力がものをいうマラソンです。
一瞬のスプリントで突破できる試験ではありません。
一度勉強を始めたら、試験日が来るその日まで、同じサイクルを無心で、脳死で、なん度も繰り返さなければなりません。
そしてそれを自動化するのがこの試験を攻略する鍵になります。
具体的には、1日の解くQbankの問題数を設定し、それを絶対に譲らないことです。
疲れて眠い日もあると思います。実習が長引く日もあると思います。
なんとなく気が乗らない、そんな日だってたくさんあるはずです。
それでも、1日に20問解くと決めたなら完遂してください。
40問解かなければならないなら、それを全て解き切るまで、その日は終われません。
繰り返しますが、合格に必要な知識の絶対量は決まっており、それはQbankの問題数に換算することができます。
そして勉強を始めたその日から、自分で設定した受験日までの日数で割れば、自ずと1日に何問のペースで解き進めていけば良いのかがわかります。
これを譲らないこと。
決めたルーティンを守り抜くこと。
これがstep1突破のために最も大切なことだと私は信じています。
勉強法【各論】
ここからは各教科ごとの各論になります。
あくまで1個人の体験に基づくものなので、参考程度までに。
生化学
微生物学と双璧を成して多くの受験者を苦しめる科目でしょう。
というのも、step1の勉強を始めるのは多くの場合、早くて医学生高学年になってからというケースが多いはずです。
あるいは卒後初期研修、または後期研修以降になって勉強を開始される方もいると思います。
そうなると医学部低学年の頃に学んだ生化学の内容など記憶の忘却の彼方です。
勉強法は他の科目同様にQbankとFAの往復で問題ないのですが、個人的には生化学に関しては日本語でのインプットをお勧めします。
FAの複雑な脂質代謝や解糖系のチャートや図を、基礎知識のないまま頭にぶち込むのはなかなかの苦行です。
以下、私が生化学用に使用した教材です。
解剖学の教科書として有名な『人体の正常構造と機能』の分子生物学versionです。
上記の教科書を読んだことのある方なら、デザインや構成も近く馴染みやすいと思います。
この本をベースに、Qbankの問題を解きながらFAを参照するのと同時に、該当箇所に立ち返り、日本語でインプットするようにしました。
総論でも紹介したSketchyのBiochemistryです。
Microに比べると語呂合わせに少々やっつけ感がありますが、それでもvisual memorizationに最適な教材であることに変わりないです。
Lippincottシリーズの生化学も使用しました。
図やチャートでごり押すFAに比べて、機序から丁寧に説明してあるので、readingに問題がない場合は、特に初期段階で丁寧にこの本を使ってインプットをすることで、後々のFAでの暗記労力が下がります。
解剖学
ここは暗記が一番しんどいパートです。
解剖に関しては、とにかく部位の名称を英語で覚えない限り戦えません。
特定の科目という形で出題されることは少ないですが、clinical vignetteを読んでいくと結局最終的には1つの解剖部位を選択する問題だった、という形式には頻繁に遭遇します。
近道はなく、新規単語に出会うたびにコツコツ暗記していくしかないのですが、最初の段階でまとまってボキャを増やすならこの一冊。
ふざけたタイトルとは裏腹に中身は優秀です。
ストーリー形式になっていて暗記がしやすいように工夫されています。
こちらもオススメ。
先ほどの一冊よりもさらに基本的な解剖用語が収録されているので、
本当に脳=brain、肺=lung、膵臓=、、?
というレベルからのスタートなら、ここから始めても良いかもしれません。
勉強していく中で最も長い付き合いになったのがこの1冊。
By systemの構成になっており、例えば消化器を勉強している時は、このテキストの消化器の部分を勉強していく。というふうに使えます。
イラストと共に、穴あきテキストで各解剖部位を埋めていく構成になっています。
知らない単語に出会う度に、このノートに立ち返ってオリジナルの解剖医学用語集を作っていくように取り組んでいくのが良いかと思います。
残りは日本語でのお勧めの解剖学の教科書をまとめておきます。
大学の解剖の授業、テストに備えて買う方も多いかもしれません。
もちろん生理学の解説も丁寧なので、じっくり日本語ベースで読み込むことで力がつきます。
プロメテウスは各部位に英語表記がのっていてインプットには最適です。
図も綺麗でわかりやすいです。
解剖を暗記ではなく、理解したい時にお勧めなのがこの1冊。
step1では咽頭頸部の解剖が結構問われるのですが、根本から構造を理解するのに役立ちました。
話は逸れますが、step1では発生の知識も問われます。
発生まで遡って身体の仕組み、構造を理解することで、ゆくゆくは解剖の深い知識に繋がります。
特にイラスト解剖学、人体の正常構造と機能は発生と解剖を同時に勉強していくのにぴったりな組み合わせでした。
解剖は日本語でも英語でも暗記一辺倒になりがちな科目ですが、少し工夫をすることで理解して勉強できるようになるはずです。
薬理学
薬理学も日本の医学部で学ぶ範囲と、USMLEで問われる内容との間に知識量のギャップがある科目の一つです。
特に精神科領域ではかなり細かいところまで薬理学の知識を問われました。
日本の国家試験では、例えば抗うつ薬でもSSRI、TCAと覚えておけば戦えますが、USMLEではSSRIの各薬の一般名まで覚えて、その使い分けまで暗記しておく必要があります。
選択肢全てが一般名で問われることもしばしばあるので、そもそも一般名を聞いた時に、それがどの薬剤のことなのか想起できなければ回答できません。
また薬の作用機序も頻繁に問われます。
例えばある利尿薬が、腎臓のどの部分に作用し、分子レベルでは受容体でどのような変化が起きて薬理作用を及ぼすのか、といった類のものです。
解剖と同様にある症例が提示され、それを読み進めていくと、結局そのケースではどの薬剤を選択し、そしてそれがどの受容体に作用し、最終的に何のタンパク質が発現するのかを答えさせるような流れで薬理の知識を聞いてきます。
この薬理作用を分子の動きまで含めて正確に理解するのは非常に手間がかかります。
FAの記載だけを丸暗記するのは、正直私には難しかったです。
そこで他科目と同様の戦略をとり、ここでもまずは日本語でのインプットを重視しました。
みえるシリーズは、病気だけでなく薬も出ています。
病みえでは、マイナーな薬剤に関しては細かいところまで図や解説がついていないことも多いですが、薬みえは取りこぼしが少なく、幅広い薬剤をカバーしています。
vol1~4まで出ているので、私はUSMLE対策として全て購入しました。
特に抗菌薬、抗がん剤、利尿薬、カテコラミン系あたりは、図を用いた解説が非常にわかりやすく、知識量の底上げに大きく寄与してくれました。
あとはお馴染みのSketchy。
後述する微生物学のSketchy microと、このSketchy pharmはskecthyシリーズの中でもトップ2で人気シリーズで、米国の医学生もこの2シリーズだけ使用しているケースが多いようです。
微生物学
ここが基礎医学最大の鬼門です。
ウイルス博士、細菌博士になってやる、そんな心づもりと覚悟で挑みましょう。
薬理学以上に、日本の国家試験で問われる知識とのギャップが大きいです。
微生物学は大抵医学部低学年でサラッと触れて、以降しっかりと学ぶ機会は少ないのではないでしょうか?
微生物そのものの知識も当然ですが、抗菌薬も相当深いレベルの知識を聞いてきます。
STEP 2CKのように場面に応じて適切な抗菌薬を選択させるような臨床よりの聞き方ではなく、どちらかというと薬そのものの知識、作用機序や分子細胞学の知識が問われます。
ここは前述の薬理学各論で記載したのと同様ですね。
ただstep1の段階で抗菌薬の基礎知識を固めておくと、step2以降の暗記負荷が減り、あとが楽です。
一方で微生物学のいわゆる基礎医学的な知識はstep2以降は全く必要ないのですが、step1では頻出トピックです。
このウイルスは1本鎖RNAなのか、2本鎖RNAなのか?
この細菌の培養に用いる培地は?
さらには細菌が起こす反応の分子レベルでの機序まで問われるので、もう医学部での知識レベルでは全く歯が立ちません。
FAのmicrobiologyのページを眺めているだけでは全く必要な知識が頭に入ってこなかったので、ここでもSketchyの力を借りました。
Sketchyシリーズは一回のサブスクでmicroの他に前述したbiochemitryやpharmの動画を視聴することができますが、
このmicrobiologyのためだけに購入を検討しても良いくらい、microのクオリティは素晴らしいです。
例えばこのイラスト。
この1枚の絵の中に、黄色ブドウ球菌について覚えておくべき事項が全て詰まっています。
全くイメージがわかないと思いますが、このように各微生物に対して、スライドと動画が1:1対応になっています。
スライドを見ながら、動画を視聴し、視聴後に数問のmultiple choiceに答える形式になっています。
アウトプットありきで動画を視聴できるので記憶に残りやすいですし、
スライドを画像保存しておけば直前期に総復習も可能です。
また個人的にはナレーターの声が何とも言えない特徴的な声質で、
暗記の一助になりました。
ちなみにいくつかYoutubeにはフリー動画が落ちているので、
参考までにここに貼り付けておきます。
行動科学
各論最後の項目です。
行動科学というこの耳慣れない教科が、step1では頻出です。
イメージとしては、国家試験でいうところの必修、公衆衛生に近いでしょうか?
それに加え、医療倫理、精神学、発達科学、心理学、薬物、神経科学が組み合わさったような科目です。
FAとUworldで十分対策は可能ですが、下記の本を1周ざっと目を通しておくことをおすすめします。
統計学や精神科領域はある程度暗記で点数が稼げるのですが、
厄介なのが適切なアクションを聞いてくる問題です。
実際の問題では、あるケースが提示され、次に取るべき行動として正しいのは次のうちどれか?
といったいかにも国語的な問題が出題されるのですが、英語で聞かれると微妙なニュアンスを汲み取るのが難しく、結局最後まで点数が安定しませんでした。
何となく、断定してせず、極論に走っていない、どちらとも取れるような曖昧な選択肢が正解となることが多い印象でした。
BRSを1周して、あとはある程度問題を解いて場数を踏めば、それ以上は深追い不要かと思います。
BRS自体は、統計学や薬物、精神科の知識をFAとはまた違った角度でインプットできるので、非常に有用だと感じました。
step2以降の対策にもつながります。
ANKIについて
最近では日本の医学部生の間でもだいぶ浸透してきた暗記ソフトですね。
Anki.
そのままです。
Ankiの使い方、またそもそも使用するかどうかは受験者の中でもかなり意見が割れるところです。
私1個人の意見としては、早い段階から勉強に取り入れることを推奨します。
結局、強制的なactive recallとspace repetitionだけが結果につながります。
私はもう少し早く導入しておけばよかったと後悔しました。
使い方としては、すでに他のユーザーが作成してくれたpre made deckと、
自分で1からカードを作成するかの2通りの方法があります。
pre made deck は`Zanki`や`Anking`が有名ですね。
これも意見が割れますが、私は自分で1からカードを作成しました。
UworldやRxを解きながら、間違えた問題についてカードを作成します。
その際、なぜ間違えたのかを明確にすることが重要です。
この思考過程の中で、1回目にその問題を解いた時に、何の知識が足りなかったのかを明確に言語化せざるを得なくなります。
そしてその欠けていた知識をカードにして、Ankiデッキにぶち込むのです。
この自分に欠けていた知識の総集めがカードデッキとして蓄積されていき、それをAIのアルゴリズムで適切に調整された周期でカードをめくることで(ここはAnkiソフトが勝手に計算して作ってくれます)
知識量が増していきます。
Ankiの使い方に関しては、この項目だけで1記事以上かけてしまうほど奥が深く、使用方法も多岐に渡るので今回は割愛しますが、
オンライン上にはすでにたくさんのサイトや動画が落ちており、それらを参照して自分なりに最適なAnkiの使い方をマスターしてみてください。
Ankiのサイト。
まずはここからankiwebでアカウントを作成します。
一度Anki webに登録することで、クラウド上にデータを保存でき、各デバイス、web、アプリ間で同期が可能になります。
空き時間にスマホアプリで暗記をしたり、家にいるときはPCで大きい画面で暗記したりと、この同期機能は何かと便利です。
Youtube上にはわかりやすくAnkiのセットアップについて解説してくれている動画がたくさんあります。
医学生限定のアプリというわけではないのですが、解説動画をあげている多くが医学生で、やはり元々はアメリカの医学生の間で爆発的に広まったサービスなのかもしれません。
言語設定は日本語にすることもできますが、USMLE対策用にAnkiを使用する際にはやはり英語設定のまま。カードを作る時も英語で作成することをすすめます。
使い方に関する情報も英語のリソースが圧倒的に多く、英語の設定画面に慣れていた方が良いです。
また最後に最も大切なことですが、Ankiの復習カードは溜めたら最後、どんどん復習すべきカードが増えていって追いつかなくなります。
一旦Ankiを開始すると、テストを受けるその日までひたすら期限付きの復習サイクルに追いかけられることになります。
並行してQBも解いていくのは本当に大変で、実習が忙しい日や、プライベートでどうしても予定がある日が続くとどうしてもカードが溜まっていってしまいます。
精神的に結構きついですが、それでもきちんとアルゴリズム通りに復習していけば効果は確実に見えてくるので、諦めずにくらいついていきましょう。
模試について
USMLEの模試については、代表的なのは下記3種類です。
①NBME
②UWSA(Uworld付属模試)
③free120
順番に解説していきます。
まずSTEP1に限った話では、最も重視すべき模試は①のNBME模試です。
模試は単発で売っているので、まずこのサイトからアカウントを作成してから購入します。
1回あたり60USDで購入できます。高いですね。
STEP2に比べSTEP1の模試はよくNBMEのスコアに相関すると言われていました。
step1がpass/failに移行してからはその限りではないですが、問題のクオリティ自体が高いので、本番前に節目ごとに受けていくと良いと思います。
模試自体は5ブロック構成となっており、1ブロックあたり50問、合計250問のテストです。
本番が1ブロック40問✖️7、1ブロックあたり1時間なので、本番よりも合計問題数は少ないです。
1ブロックあたり75分で問いていきます。
必ず制限時間付きで解くようにしましょう。
時間のプレッシャーをかけて、本番の時間感覚を磨く良い機会です。
1ブロックごとにタイマーをストップしないと、次のブロックが勝手に始まり、タイマーが進んでいってしまうので注意です。
参考までに私はRx終了後(勉強を初めて約1年後)に1回目(score : 21X~?)
Uworldを2周終えたタイミングで2回目(score : 22X~?)
Uworldを2周終えたタイミングで3回目(99% passing rate within a week)
3回目を受験したタイミングでpass/failに移行し、NBMEでもスコアが廃止され、受験時点での合格率を提示する形に変更となりました。
結論ですが、NBMEを受験し、passing rateが99%になった瞬間が本番受験のGoサインとみて良いと思います。
続いて②のUWSAですが、これはUworldを購読すると自動でついてくる模試で、UWSA1と2で2回分ついてきます。
1回の模試あたり40問✖️4ブロックなので、合計8ブロック、320問になります。
おすすめの使い方は直前期の2連続模試です。
1日で、本場と同じタイムスケジュールで8ブロック一気に解きます。
本番は1日で60分しか休憩時間がありません。
この60分の休憩時間もどう使うかシミュレーションしながら、2連続模試を行います。
(本番のタイムスケジュールに関しては後述)
step1は7ブロックなので、正確には本番より1ブロック多いです。
かなりしんどいですが、私の場合は8ブロック一気に駆け抜けた経験をしたことで本番は少し楽に感じました。
模試自体のクオリティ、難易度はUworldそのもので、Uworldの問題をそのまま解いていく感じです。
Uworldの他の問題同様、全ての問題に解説がつくので、受験後はしっかり復習することをおすすめします。
私は本番1週間前に受験し、スコアはUWSA1と2
それぞれ23X~くらいだったと思います。
③free 120
これはecfmgの公式サンプル問題で、問題の質、難易度ともに本番に最も近いと言われています。
40問✖️4ブロック構成で、受験後は各ブロックの正答率が%提示されます。
印象としては、UworldとNBMEの問題の雰囲気が合わさったような問題構成で、受験を終えた後でも、やはり一番本番に近かった印象を覚えました。
私は本番3日前に受験しましたが、受験1ヶ月前や1週間前など、直前期の最終確認という位置付けで受けると良いと思います。
全く同じ問題が数問、本番でも出るとか出ないとか噂がありますが、定かではありません。
ただ、雰囲気が本番に近いのは確かです。
First aidについて
この項目では、step1受験におけるfirst aid(FA)の立ち位置、重要性、そしてその効力を最大限引き出す使い方について、私の見解を述べたいと思います。
まずstep1の勉強はFAに始まり、FAで完結します。
多くの勉強法記事や受験体験記が語るように、これが事実です。
FAが大切だ。
FAの内容を丸暗記しろ、それで合格できる。
きっとどの記事を読んでもみなさん同じようなことを語っているかと思います。
FAの使用法に関してはその多くは真実もあり、同時にやや誇張された表現も散見されます。
なぜFAがstep1受験においてこれほど重要視されるのか、そして最も効率的にFAを使い切るには、どうすれば良いのか。
まずFAが重要視される理由ですが、
この本に書かれている内容だけで戦えるから。
それがシンプルな理由です。
本番ではFAに書かれていない範囲からも多くの問題が出題されます。
さらに言えば、UworldやRXを解いていく過程でも、FAに載っていない疾患や病態整理、基礎医学の事項に多く出会うと思います。
だからこそ、問題演習の過程ではそういったFAから逸脱した範囲の知識をどんどんFAに書き込んでいく必要があるのです。
やがて受験期が近づく頃には、自分の勉強の軌跡が全て詰め込まれた自分だけのFAが完成しているはずです。
step1という試験は、その完成したFAをしっかりと全て理解し、覚えていれば戦えるようにできています。
前述した通り、それでも本番では見たことも聞いたこともない問題に出逢います。
それもかなり頻繁に。
なんだ、じゃあFAだけじゃ試験範囲をカバーできないじゃないかと、
そう思われるかもしれませんが、これは半分正解で半分不正解です。
確かに試験範囲をカバーするという観点で言うと、FAだけでは完全にはカバーできていません。
ですが、step1の勉強において最も大切なことは全試験範囲をカバーすることでしょうか?
違いますよね、試験にpassすることです。
体感ですが、60%から2/3くらいはしっかりとFAの範囲から出題されます。
そして正解の選択肢に自信がなくても、その他の間違え選択肢はFAの知識だけで削れるような問題が多いです。
消去法で解けるのであれば、これも結局はFAだけで戦っているのと同じです。
誤答選択肢も含めて、見たこともない問題にも遭遇するかもしれませんが、
これはおそらく他の受験者も同じく解けないレベルの問題であり、そこを外しても合否には影響しません。
Passすること、それだけが目標ですからね。
まとめると、FAの知識だけで半分以上の問題はしっかりとカバーでき、正解の選択肢に自信が持てなくても、誤答選択肢をFAの知識で自信を持って切ることができれば、大方の問題は解けるはずです。
これがFAが聖書である所以です。
つまりFAから逸脱した範囲まで無理に覚える必要はないと言うことになります。
特に直前期は焦って足りない知識を補おうと色々なものに手を出したくなりますが、直前期こそ、最後までFAだけを信じて突き進むべきでしょう。
続いてFAの効果的な使い方ですが、これはすでに述べたとおり、QBを解く時には必ずFAを手元におき、面倒でも1問1問解くたびにFAの該当ページに立ち返ること、これに尽きます。
Rxはこのサイクルを習慣化させるのに最適な問題集です。
解答ページにはFAの該当ページが記載されており、すぐにFAを参照することが可能です。
Rxをしっかりとやり込めば、FAの内容を隅々まで暗記するレベルには至らずとも、
例えばこの疾患はこのページにあったな、とか
この内容はあそこのページの左下の、あの部分に書かれていたな、
といった具合に、FAの中でどこに何があるのかを把握できる状態になります。
FAという大きなクローゼットの中に、どんな引き出しが入っていて、そして各引き出しの中には何が入っているのか、その輪郭が掴めるようになっていきます。
この段階では、各引き出しの中にあるものの詳細な使い方やそれぞれの名前までを細かく覚えておく必要はありません。
それでもある道具が欲しかったら、何段目の引き出しの、あの角にあれが入っていたはずだと、すぐに想起でき、それを引っ張ってこれるくらいまでの状態を作っておく必要があります。
ここまで来れば、これがRxからUworldへと移行するタイミングになります。
Rxとは違い、UworldにはFAの該当ページは記載されていません。
だから問題を解きながら、自分自身でFAを検索し、該当ページに辿り着けるようになっていなければなりません。
問題を解く
↓
FAの該当ページを検索する
↓
新規事項があれば、その1問から抽出された新しい知識を該当ページに書き込む
↓
該当ページの周辺知識にもさらっと目を通して復習する
このサイクルを問題数だけ繰り返すことで、FAが完全に自分だけのものとなり、完成します。
FAは購入時点では、完成していません。
何千回もこのサイクルを繰り返すことで、自分だけのFAが完成します。
step1の勉強とは、FAを完成させるプロセスであり、完成すれば、自ずと試験に合格できるレベルに達します。
医学英語について
勉強各論の最後に、医学英語の勉強法についても軽く触れておこうと思います。
私のstep1勉強開始時点でのステータスですが、
・非帰国子女
・英語は割と好き
・受験済みの語学試験はTOEICのみ
あまりパッとしませんが、英語は元から好きだったので、英語を勉強することそのものに抵抗がなかったのが唯一の救いかもしれません。
むしろ、『英語で医学を勉強する』
単純にそれがカッコよくてstep1の勉強を始めました。
英語は大学入学以降もそこそこ触れてはいましたが、あまり本腰を入れて勉強したことはありませんでした。
なので step1の受験を決めてから、同時並行で英語学習そのものにも注力することにしました。
step1の勉強を開始してまもない頃は、一応TOEICのハイスコアを目標に一般英語の学習も継続していました。
stepの勉強ではとにかく長時間英語を読み続ける忍耐力が必要です。
なので土台となる英語力そのものにあまり自信がない場合は、まずは英語の勉強から始めてみてみるのも良いかもしれません。
ゆくゆくは、米国留学に向けてstep2ck, step3を勉強しながら、英語力を伸ばし続けるために語学学習を継続していく必要があります。
このstepの勉強と語学学習を同時並行で進めていくスタイルも、このころに身についた習慣でした。
さて、ある程度の英語力が備わっていることを前提に、肝心の医学英語の勉強ですが、これは単純に語彙力の問題です。
Rxを解き始めた頃は、問題文に書かれている医学英語がほとんどわからず、一問解くのに30分以上かけていました。
新規単語に出会う度に辞書で意味を調べ、覚えては忘れを繰り返しながら問題を解き進めていくわけですから、時間がかかって当然です。
ですがこのプロセスこそが医学英語習得のために最も重要なことだったと、ある程度勉強を進めていくうちに気がつきました。
最初のうちは、ある程度の医学英語の語彙力を身につけるために複数冊単語帳を買ってまとめて暗記するのも、良いかもしれません。
ただ医学英語の量は膨大ですので、通常の英単語学習のように単語帳を何冊も買って、語彙力を強化してから、そのあとで問題演習に入ると言うのは非効率的です。
ほぼ語彙力がない状態でも、すぐに問題集の演習に手をつけ始め、解きながら辞書で調べ、調べながら進み続ける、というスタンスで問題ないかと思います。
そして自分だけの医学英語の単語帳を作ることもしませんでした。
何度も何度も同じ単語に出会い、その度に辞書を引いていれば必ず、合格に必要な単語数はきっちり覚えることができます。
本番で出会う単語全てを覚えて試験に臨むのは、おそらく不可能です。
日本語でも細かい医学特有の表現や言い回し(形容詞や副詞)、稀にしか見かけない解剖単語などは最後まで覚えきれず試験に挑みましたが、それでも前後の文脈でわからない単語の意味を推測しながら問題を解いていくことは可能です。
医学単語は、何度忘れてもめげず、自分の脳にはあまり期待せず、「また忘れてたなあ」くらいのノリでさらっと流して辞書を索き続けましょう。
これが医学英語習得の基本的なスタンスですが、それでもやっぱり初学者のうちで基本的な英単語を覚えておきたい、と言う場合は以下の単語帳がおすすめです。
ストーリー形式で基本的な医学単語を覚えていくことができます。
特に医学単語暗記のコツである、
”接頭語”と”接尾語”に関する基本的なルールをよく押さえた単語帳なので、
ここをしっかり勉強しておくことでその後に暗記負荷がグッと減ります。
キクタンメディカルシリーズ。
特にこの2つ目と、解剖の勉強編でも紹介した1つ目がおすすめです。
実習・国試との兼ね合い
stepの勉強は持久力が試されるマラソンのような日々です。
学生中に受験することを決めたなら、時間の使い方という観点で、
実習や国試との兼ね合いは悩ましいポイントだと思います。
まず実習との兼ね合いですが、私の場合は完全にUSMLEの勉強にリソース(時間という意味でも気力という意味でも)を全振りしました。
近年、医学部での実習の在り方が見直され、卒前の臨床経験を多く積み、より実践的かつ参加型の実習が行えるように改革が進んでいます。
真面目に実習に取り組み、学生の時からきちんとした臨床教育を享受するのも確かに大切だと思います。
しかし、それでも実習で得られる経験や知識って、結局個人の裁量が大きく、さらに各大学間でもその質にばらつきがありますよね。
卒業し、研修医として働き始めたらいやでも臨床の現場に放り出されて、
体で学んでいくことになります。
端的な話、学生のうちに積める臨床経験なんてものはたかがしれているのです。
実習を終えてから国試の勉強期間中は患者と関わることもないので、結局臨床研修開始時点でほぼリセットされてしまうのが現実です。
それならば、研修医中にしっかりと臨床にのめり込むためにも、学生中に資格試験のための勉強は終わらせておくべきだと思いました。
臨床学年中に可能な限り勉強のために時間を捻出できる方法はいくつかあります。
選択可能な期間には、なるべくdutyが少なく、拘束時間も短い診療科をローテする。
実習中に結構ありがちな、学生としてはいてもいなくても良い微妙な時間は、強気な態度で帰る姿勢を出していく。
カンファや見学主体の時は、すかさずAnkiでカードをめくる。
隙間時間はたくさん落ちています。
実習に対するこうした姿勢はあまり褒められたものじゃないかもしれませんし、真面目な学生こそなるべく実習中に手を抜くことに罪悪感を感じるかもしれませんが、
stepを学生中にpassするためには、ある程度犠牲を払う必要があります。
それでも、今振り返っても、研修医中に仕事をサボるようり100倍マシだと思います。
私は、時間があれば図書館に篭り、1問でも多くUworldを解くように心がけていました。
少しでも時間があれば、アプリを開いてAnkiのカードをめくりました。
少しづつ落ちている隙間時間を拾い集めて、小さな努力を積み重ねたことが、合格につながりました。
実際、中途半端にstepの勉強に手をつけて、結局学生中に受験まで漕ぎ着けることができず、研修が始まってからは忙しすぎて以降手をつけられないまま。。なんて話はたくさんあります。
stepの受験を決めたなら、ある程度はらを括り、絶対に学生中に取り切る覚悟を決めましょう。
直前期の過ごし方
ここでいう直前期は、およそ試験本番の1ヶ月前を想定しています。
米国の医学生は2年次にstep1を、3~4年次の臨床学年でstep2を受験することになっており、日本の医学生よりもタイトなスケジュールの隙間を縫って試験勉強の時間を確保しています。
そんな彼らですら、試験直前期にはdedicated periodという1日中勉強にさける期間をおよそ2〜3週間確保すると言われています。
もし学生中にstepをpassしたいなら、こうした直前期にある程度まとまった勉強時間を確保できるよう受験日をスケジューリングし、本番に知識量に総量をピークに持っていけるように準備できると理想的です。
具体的には最短で5年次の夏休み、5~6年の春休み、ギリギリ後半に引っ張ったとして6年の夏休み、あるいはマッチングが終わり、国試勉強が本格化する秋の直前が狙い目です。
そして試験直前期間に何をするべきかですが、やることは大きく4つです。
2つ目は前述したUworldの模試を2連続で受けること。
これは本当に、絶対にやっておくべきです。
本番通りの時間で、休憩時間をどう使うかまで本番さながらにシミュレーションして解きましょう。
もう1つはFAの通読です。
直前期に入る段階で、これまで数千回とページをめくり、幾度となくマーカーやボールペンの書き込みを加え続けたFAは、この時期になるともうあなたの立派な相棒です。
どこに何が書いてあるか、どのページを参照すれば探している該当の知識にたどり着けるのか、もう手に取るようにわかるはずです。
直前期に入り、いよいよ細かいところまで詰めていく時です。
ページを舐め回すように隅々まで読んで、周辺知識と同時にFAの中身を頭に叩き込みましょう。
ただFAは結構ページ数があるので、1週間やそこらでは読みきれないと思います。
Uworldの問題を解きながら、可能なら2ヶ月ほど前から1日10ページなどページ数を決めて読み始めていくといいと思います。
ただUworldでの演習が最優先事項なことに変わりはないので、まずはUworldを終えることを優先しましょう。
そして3つ目ですが、Uworldの2周目、3周目を試験前日まで解き続けることです。
1周終わらずに本番に突っ込むのはもはやスケジューリングの時点で計画が破綻しているので、必ず1周はしましょう。
そして2周目は間違えた問題、あるいはFlagをつけた問題を解いていくと思うのですが、ここでUworldの使い方について注意点です。
Uworldは2周目以降、間違えた問題だけでセットを作って演習することができるのですが、これ実は間違えた回数など細かいところまでは設定できないようになっています。
つまり、2回間違えた問題も、3回間違えた問題も全てミックスされて、間違えた問題としてプールされているということになります。
この場合、1回間違えた問題だけを2周目で解き、間違えた問題だけをきっちり2周解いてから、2周目で間違えた問題だけで3周目を解くことができません。
2周目で2回目も間違えた問題は、2周目を解き切らないうちに3度目として登場してしまい、場合によっては同じ問題をなん度も解くことになりストレスです。
それでも構わない場合は問題ないのですが、気になる場合はUworldの1周目で間違えた問題、あるいは正答したが自信がない問題は丁寧にFlagをつけておくと良いと思います。
こうすることで、2周目で1回間違えた問題と自信がない問題だけに絞って問題セットを作成でき、確実に2周まわすことができます。
試験本番まで時間がある場合は、さらに間違えた問題を時間が許す限り解き続けましょう。
最後に4つ目ですが、直前期にはAnkiにかける時間を増やすと良いと思います。
ここまできっちり、毎日のankiのノルマを達成できている方は本当に素晴らしい限りなのですが、私はUworldを優先するあまり直前期は自分で作ったカードが溜まりまくっていました。
ですがこの時点で残っているカードたちは、これまでの勉強の過程で、自分が間違えた問題からエッセンスを抽出した、最後に詰めるべき自分の弱点であり、曖昧な部分の集大成です。
直前期、何をやるか迷った場合は模試を解いて、あとはAnkiと心中するのも手かと思います。
試験本番
直前期を乗り越えて、次は試験本番の戦略についてお話したいと思います。
試験本番の戦略とはとどのつまり休憩時間の取り方です。
7ブロックの試験を1日で解かねばならないにも関わらず、与えられる休憩時間はチュートリアルの時間を含めて1時間と、雀の涙程度しかありません。
Uworld2連続模試を経験していれば、1ブロック1時間の試験を1日の中でなんブロックも連続で解いていくことがどれだけの苦痛を伴うか、想像に難くないと思います。
2連続模試でシミュレーションした休憩時間の取り方が自分にハマったと感じたなら、本番もそのままの流れで突入して問題ないはずです。
後半バテてしまったり、休憩の取り方に問題があると感じたなら、その反省を元に本番の戦略を少し修正してみるのもアリでしょう。
参考までに私が取った戦略ですが、なるべく1ブロックごとに休憩を挟み、試験部屋から退出するようにしました。
stepの試験会場は試験部屋と休憩スペースが分かれており、お手洗いや飲食の度に毎回入退出を繰り返さなければならず、さらに入室の際には毎回パスポートとボディチェックを済ませなければならず、ここで1分ほど使うことになります。
この時間のロスが気になり、2〜3ブロック一気に解いて、その間部屋を一切でない作戦で乗り切る方もいるようです。
私の場合、勉強の合間に軽く体を動かしたり、一度にたくさんの食事をとるよりも細かい食事を何回か挟んだほう集中力の持ちが良かったため、毎ブロック退出するようにしました。
食事は一度にたくさんとると血糖値の乱高下で次のブロックでのパフォーマンスに影響が出ます。
本番は1日の中で摂取可能なチョコレートの上限ギリギリを大量に持ち込み、それ以外はエナジードリンクやプロテインバー、スナックなどの栄養食品だけで勝負しました。
お腹に溜まるものは個人的におすすめしないです。
大量の糖分とカフェインを摂りつつ、多少空腹なくらいが集中力を高く保てます。
また休憩時間を増やすテクニックの1つですが、毎ブロックを60分ギリギリまで使わないという方法があります。
各ブロックで時間が余った場合、そこでブロックを終了させれば残りの時間をそのまま1日全体の休憩時間に加算させることができます。
これまでUworldなどの演習を通して、自分が問題を解くのが速いほうだと感じるなら、1ブロックあたり50~55分ほどで解き終えることも可能だと思います。
もちろん残り時間を問題の見直しに使っても良いのですが、難しい問題に頭を悩ませて時間を使い切ってしまうより、余った時間は休憩時間に充てて、後半の集中力維持に賭けるのもまた手です。
4ブロックを過ぎたあたりからどうしても集中力が低下し、パフォーマンスが落ちてきます。
後半戦では、各ブロック間で多めの休憩時間を確保することで乗り切ることができました。
最終的に加算した時間も含めて全ての休憩時間を使い切りましたが、それでも終わったあとはもう何も考えられないくらい頭が疲弊しました。
試験本番はもちろん緊張しますが、ブロックが進むにつれて、緊張から疲労との戦いに変わってきます。
この緊張と疲弊の移り変わりを上手く利用して、前半では良い緊張感を保ちつつそれを集中力に変えて、後半では上手く残りのエネルギーをマネジメントして集中力を維持させることで、本番でも高いパフォーマンスを発揮できると思います。
使用教材まとめ
Q bank
医学英単語
英語の教科書
日本語の教科書
映像講座
Q&A
いつ頃から勉強を始めるのが良いですか?
ベストなタイミングはCBT終えてすぐに勉強開始することだと思います。
大学の実習って隙間時間がたくさん落ちていて、みんな大抵有効活用できずにダラダラと過ごして終わってしまいがちです。
国試勉強が本格化する前、かつCBTで臨床の知識がついた後に試験勉強を本格的に開始すると良いと思います。
ですがもちろん低学年のうちから勉強を開始しておくのは悪いことでもなく、むしろ余裕を持って合格できると思います。
その場合は大学の授業をベースに、基礎医学の段階から英語で医学を勉強する習慣をつけることと、医学英語の語彙力強化をコツコツ行うことをおすすめします。
CBTの点数低くても受かりますか?
私自身、CBTは90%にも乗っておらず、あまり振るわないスコアでした。
それでもコツコツ諦めずに継続したことで合格することができました。
元々ある医学知識が多いほど有利なのは間違いありませんが、CBTのスコアでUSMLEの合否の可能性が変わるわけではないと思います。
むしろUSMLEの勉強をしていく中で、他の優秀な学年の同期をあっという間に追い抜かすことができるはずです。
もし興味があるけど、本当に自分にも合格できるのか自信がないという方は、まず初めて見ることからスタートしてみてほしいです。
その後、本気で受験したいと思うなら、そう思う頃には始める前に感じていた不安などとっくに消え去っているはずです。
医学英語勉強したことないけど大丈夫ですか?
これに関しては全く問題ありません。
多くのUSMLE受験者が、最初はRxの問題を1問解くのに30分もかけて必死に勉強するところからスタートしています。
何千問と繰り返し問題を解き、First aidを読み込み、なん度もなん度も医学英語の意味を調べては忘れを繰り返すうちに、語彙力も増え、読むスピードも格段に速くなっていきます。
モチベーションの維持はどうしたら良いですか?
1日のノルマを決めてそれを守り抜くことが何より大切です。
決めた量を絶対に解き切ること、そしてそれを毎日継続することです。
少しづつ自分の勉強してきたことが解いた問題数として可視化され、知識が積み上がっていくのを実感できるはずです。
それが何よりの原動力となり、自信に繋がります。
そうは言ってもたまにはやる気が出ず、だれてしまうのが人間です。
ですがそれで良いと思います。
最初から最後までやる気マックスで勉強し続けられる人は一握りです。
だからたまにはだらけても、何もしなくても良いんです。
それでも絶対に足を止めないこと。
やめることさえしなければ、必ず最後には目的とするところまで辿り着けるはずです。
合格までにどれくらいの期間必要ですか?
これは一概には言えませんが、CBT後なら最短で半年から10ヶ月、平均的には1年ほどでしょうか。
1年ほどスパンを持って取り組めば、プライベートやその他のことに時間を使いつつも合格できると思います。
Uworldだけじゃ合格できないですか?
USMLE受験において最も重要な問題数はUworldであり、これは揺るぎません。
なので最低限、Uworldを仕上げれば合格は可能なはずです。
ただUworldにはFirst aidの参照箇所が明記されていないこと、問題の難易度が高いことなど、初学者にとってはとっつきにくい点があるので、まずはRxから開始してリズムを掴むのがベターかと思います。
これから勉強開始する人に向けてアドバイスありますか?
この記事を読んでいる方は多少なりともUSMLEの勉強に興味があるかたがほとんどかと思います。
まずはFirst aidを手に取ってみて、中身をパラパラとめくってみてください。
そしてさらにUSMLEについて知りたいと思ったなら、もっともっと色々な情報に触れてみてください。
そして勉強してみようと思ったなら、まずは気軽にRxを解いていってほしいです。
色々な方の話を聞いて情報を集めた体感ですが、USMLEに興味がある人が100人いたら、実際に勉強を開始するのは10人ほど。
そしてその中でも勉強を継続して受験するのは1人くらいの割合です。
だから勉強を始めただけでも、100人中の10人にはなれているのです。
勉強を始めたからといって、必ずしも受験して合格しなければならないというわけでもありません。
USMLEの勉強をするだけで得られることはたくさんありますし、英語で医学を勉強するのってなんかカッコ良いじゃないですか。
だから、まずは気軽に勉強を始めてみてください。
勉強を終えてもっとこうしておけばよかったという後悔は?
気軽に勉強を始めてみてと言ったものの、受験する覚悟を決めてからは話が別です。
USMLEの合格の可能性と、それにかかる時間というのは簡単に可視化できます。
まず模試のスコア、そして解くべき総問題数です。
模試のスコアが一定レベルまで達すれば、それがGoサインな訳ですから、そこを目指して勉強していくことになります。
そして解くべき問題の数というのは問題集を見ればわかります。
あとは1日あたり何問解くのかという具体的な数にまで落とし込むことで、大体どれくらいの時間がかかるのか概算できます。
つまり、受験日のおおよその見当がつくわけです。
そうすればまた1日の問題数に戻り、逆にその受験日に間に合わせるためには「何問解かなければならないのか」が明確になります。
これを強烈に意識するかしないかで、勉強の質が変わります。
1日、1週間単位でその定量的な目標に届いていなければ、明らかにゴールから遠ざかっているのがわかるからです。
USMLEは長い長いマラソンです。
毎日毎日、重たいものを背負った感覚が受験日まで続きます。
ですがこれを早い段階で意識して、あえて自分に負荷をかけることで受験勉強に対して本気になれます。
私は、この事実を自覚するのが遅かったと思います。
もっと早い段階で覚悟を決めて、現実を見て行動していくべきでした。
なのでこれから本格的に勉強する方、あるいは今すでに勉強に取り組まれている方には、ぜひ一度自分に問いかけてほしいです。
具体的な数として、目標を細分化して、それを本気で達成し続けるよう努力できているか?という点です。
これができていれば、きっと合格できます。
受験してみてよかったと思いますか?
多大な時間、労力、お金を投下してきました。
本当にもう逃げ出したくなる時もありましたし、ゴールを見失ったり、そもそもなぜ勉強しているのかわからなくなる時もありました。
それでも今学生時代に戻ったとしても、同じ選択をして、きっと勉強することを選ぶと思います。
多くの人にとって、資格や受験の勉強って、強制的なものであったり、周りがやるから自分もやるといったスタンスで勉強することケースが大半だと思います。
だからUSMLEの勉強は自分にとっては特別な意味がありました。
誰かに言われたからではなく、自分の意思で、自分のために勉強することを決めて、それをやり通したからです。
けして楽な試験ではありません。
根気と忍耐と、正しい努力が要求されます。
ですがそれを全て自分の意思でやり遂げたことで、それは自分にとって大きな自信になりました。
どれだけ困難に思えることでも、見ないほど遠い先にゴールがあっても、自分を律して努力と改善を続けることで、きっと成し遂げられるということを自分自身に証明してあげることができたからです。
だから、心の底から、この挑戦を決めてよかったと思います。
USMLEを勉強するメリット
目に見える客観的なメリットと、主観的な、勉強した本人が実感できるメリットがあります。
まずはアメリカのレジデンシーに向けて、ECFMGを取得するための一歩目を踏み出したことになります。
本気で渡米を目指す場合、step1を取得することで、渡米が少し現実味を帯びてきます。
そしてstep1の取得は紛れもなく、誰が見てもわかる客観的な努力の証です。
米国の医学生が受ける試験を同じように日本にいながら、受験し、合格するというのは簡単なことではないからです。
また勉強していく中で感じられるメリットとしては、言うまでもないですが英語力、特にリーディングスキルが飛躍的にアップすることです。
論文や英語の教科書も、原著のままほぼストレスなく読めるようになります。
これは医師として働いていく上で大きな財産になります。
医師は業務の中で情報を集め、判断するのが仕事です。
そして最新の知見は全て英語で発信されています。
英語での情報収集が容易になるというのは大きなメリットでしょう。
またUSMLEの問題は、全て臨床の症例ベースで作られているという特徴があり、結果的に基礎医学の知識を問われていたとしても、なぜその知識が臨床上で大切なのかということが理解しやすい構造になっています。
日本の医学教育では概して基礎医学と臨床医学が分断されており、低学年の頃にわけもわからずひたすら解剖や細菌を暗記し、臨床を勉強するころにはそうした知識もほとんど抜け落ちた状態で、新たに臨床医学の知識をインプットしていくことになります。
一方でUSMLEの勉強を行うことで、基礎医学と臨床医学の有機的な繋がりが見えてきます。
ある疾患に対して、なぜAという薬よりもBという薬が適しているのか、それを単純暗記ではなく、薬理学的機序と病態整理の知識を前提にして、だからBが適しているのだと理解することができます。
こうした知識が積み上がっていく感覚は、非常に知的好奇心を刺激され、有意義な勉強時間でした。
医学生であるうちに、どっぷりと深く医学を勉強できたことが、USMLEを勉強したからこそ得られたメリットだと感じています。
STEP1の先にあるもの
ここまで長文駄文にお付き合いいただきありがとうございます。
私がstep1の受験を通して感じたこと、得られたノウハウを、可能な限り全て詰め込んだつもりです。
勉強方法などは、信頼できるサイトや書籍から学ぶことももちろん良いと思うのですが、1個人の体験ベースで語られたことから、自分のケースに投影できることも多いのではないかと思います。
私の1個人の体験が、一人でもUSMLE取得を目指す方の力になれれば、これほど幸せなことはありません。
最後にstep1を超えた、その先に話をして筆を置こうかと思います。
step1の取得した人のその先は、大きく2つに別れます。
1つ目は、step1取得すること自体が目的だった場合。
この場合は学生期間にstep1を取得して、そのまま初期研修を開始し、その後はUSMLEの勉強に戻ることは少ない印象です。
すでに述べたように、この試験1つpassするだけでも多大な労力を要しますし、それは相応の時間とエネルギーを投資するに値する大きな挑戦だと思います。
なので、ここを終着点とする、それもまた1つ正解かと思います。
もう1つのケースはECFMGを取得し、渡米を目指すケースです。
こちらの道を選択した場合、step1取得はゴールではなく、ただのスタートに過ぎません。
step2 ck、その先にecfmgと、長い長いマラソンがさらに続くことになります。
そして私はまさに今この道の過程にいるのですが、各stepを取得することと、本気で渡米を実現させるのには、その間にさらに大きな壁があることを実感しています。
ですが、全てはstep1の勉強を開始することから始まったのも事実です。
そしてstep1の成功体験があったからこそ、その先にステップにすすんっでいくことができました。
米国留学、マッチングまでのプロセスは、それを目指すと決めた当初の環境や、本人のスペックで決まるものではない。
それを目指して進んでいく過程で、一つ一つ目の前の壁を乗り越え、自分自身が強化、進化することで成し遂げられる自己実現の過程なのかもしれない。
これが今の時点で、道半ばの身で語れることの全て。
先の道はあまりに長くて、辿り着ける確証もない。
だから、もっと強くならないといけない。進化し続けなければならない。
挑戦することと、その過程の成長を楽しむこと。
この先に何があるのか、自分の目でどうしても見てみたい。
そう思う自分がいる限りは、もう少し遠くまで行ける気がするのです。
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