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【読書記録】哀しい予感 | 吉本ばなな🍌

初めての京都一人旅で出会った一冊。
表紙のイラストが目を惹いた。

« そう長続きするとは思えないほど幸福な物語みたいな何か… »

今が幸せすぎて、何か哀しいことが起きたら嫌だな…と考えることが時々ある。そんな自分の気持ちと重なった作品。

ばななさんの言葉はなんて繊細なんだろう。彼女は感情描写の際,意識的にひらがなを多用されているなと気づいた。

悲しい時に読むと、その熱を持った文章が自分の感情をうまく言い当てすぎて傷を抉られる(向き合わせてくれる)ことが多いのだけど、今回は少し俯瞰して読んだ感じがあった。哲生が魅力的だった👦🏻

以下、引用。

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別に誰をうらんでいるわけでもなく、そこにこだわっているわけでもないけれど、その、母と2人で暮らした時代は永遠に誰とも分かち合えない何かになって、僕の中にずっとあった。

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先は見えなかった。今はただ、甘かった。それでいいと思った。いかりは上がり、帆をふくらせたばかりなのだから、しばらくはただ美しい波や海を見て幸福でいよう。それは許されることだ。

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ふいに胸の内側がざわざわする感じ。何かが、わかりそうな気配。そして何かを見つけることができそうな予感… 自分の何もかもをくつがえすような出来事がやってくるような、少し恐ろしくて奇妙にわくわくして、どこかもの哀しい気持ち


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