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家系調査の方法・家系図の作り方 (独学)

私は、ライフワークとして、我が家の家系を追っています (ラーメンではないですよ)。

小学生のときの課題で先祖の身分 (士農工商) と家系を調べたことが、事のきっかけでした。まだ存命中だった祖父に家系のことを教えてもらい、私の先祖が会津藩士であり、私の高祖父の名前は○○、五代の祖父の名前は○○、石高は○○、佐渡に墓があった、鎧兜は今はないが刀なら今もある、といろいろなこと知りました。祖父母の住まいは団地 (賃貸) でしたし、自分の家系に対するイメージが想像をはるかに超えていました。

祖父は私が17歳のときに亡くなってしまいましたが、小学生のときに聞いたこと (口伝) は後に Excel にまとめ、現在は戸籍や古文書を手掛かりにして家系を調べています。ここでは私なりの家系の調べ方や、調べて分かったことをこちらに書いていきます。家系調査に役立つスキル・知識と参考書についても記載しようと思います。


調査手法1:親族への聞き取り (ヒアリング)

私が小学生の頃は、まだ父方母方両方の祖父母が健在でしたので、祖父母全員から家族や先祖の話を聞くことができました。

  • 父方の祖父 (大正8年生まれ)
    【自身と兄弟】
    子どものころのこと、卒業した学校、仕事
    8人の兄弟の名前、生まれてすぐに亡くなり戸籍に載っていない兄弟がいたこと
    【両親】
    両親の名前、母の旧姓
    父が漁師だったこと
    母は庄屋の娘で、女学校卒、字がうまかったこと
    【祖父から見て父方】
    祖父・曾祖父の名前
    祖父・曾祖父が会津藩士、家紋入りの兜・鎧があったこと、○○隊に所属していたこと
    今も日本刀を保有していること
    佐渡に墓があったこと
    【祖父から見て母方】
    祖父母の名前、祖母の旧姓

  • 父方の祖母 (大正12年生まれ)
    【自身と兄弟】
    4人の兄弟の名前、戦後の生活のこと
    【両親】
    両親の名前、母の旧姓
    母の実家が、現在国宝になっているらしいこと
    【祖母から見て母方】
    祖父の名前

  • 母方の祖父 (大正14年生まれ)
    【自身と兄弟】
    6人の兄弟の名前
    【両親】
    両親の名前、母の旧姓
    父が慶應3年生まれであること
    【祖父から見て父方】
    祖父母の名前、祖父の旧姓 (手続きの誤りにより婿養子になったこと)
    祖父は農民、戦うときは槍を使用したこと

  • 母方の祖母 (昭和3年生まれ)
    【自身と兄弟】
    生まれたところ、4人の兄弟の名前
    【両親】
    両親の名前、母の旧姓、両親の生まれたところ

本当に、本当に、いろいろなことを教えてくれました。もう感謝しかないです。また、小学生だった自分や、大きくなってから Excel にまとめた過去の自分をほめてあげたい。ただ後の調査で、誤りのある部分や誇張がみられる箇所も発見しています。さすがに口伝なので仕方ないですね。

さらに最近、父に家系に関して調べたことを伝えたところ、父より追加情報が聞けました。

  • 追加情報
    【私の祖父のこと】
    曾祖母から○○と呼ばれていた
    兄弟を養っていた
    飛び級進学をした
    総理大臣から表彰されたことがあった
    ○○長選に出馬し、数百票差で敗退、革新系だった
    【私の曽祖父のこと】
    漁に出た際、漁の競合国により殺された (そのため祖父はその国を恨んでいた)
    【私の曾祖母のこと】
    孫の運動会などで、度々東京に遊びにきていた
    【刀のこと】
    父自身が処分した (警察へ渡した)

ヒアリングは大事です。過去の記憶は時とともに失われてしまいますので、早めにヒアリングするのが吉です。

調査手法2:戸籍調査

戸籍 (おもに原戸籍・除籍) から、行政記録として先祖を辿ることができます。ヒアリングで得られる情報は口伝ですので、記憶違いや誤りもあります。それと比べて戸籍で調査した事柄は信頼性が高いです。

戸籍を取得するには、
・自分自身の戸籍を取得する
 ⇒ 父母の戸籍や、変更前の本籍地が書いてある
・父母の戸籍や、元の本籍の戸籍を取得する
 ⇒ 祖父母の戸籍や、父母の変更前の本籍地が書いてある
・祖父母の戸籍や、元の本籍の戸籍を取得する
 ・・・

のように、本籍地と戸主を確認しながら戸籍を辿り取得していきます。戸籍・原戸籍・除籍は、本籍地の役所・役場の窓口でも取得できますし、時間はかかりますが郵送でも取得可能です。私の場合は今のところ21通取得しましたが、これでも取得可能な戸籍の1/3~1/2程度と思われます。全部取得するのは相当骨が折れます。戸籍の保存期間 (150年) には限りがありますので、暇なときに残りもすべて取得したいものです。

下の図の黄色の部分は、戸籍を取得したことにより名前が判明している部分です。母方は調べ切っていません。

高祖父母あたりの代は、江戸末期の生まれの方が多くいました。本籍地も様々でした。

父父父父:嘉永2年生まれ、本籍新潟県
父父父母:安政2年生まれ、本籍青森県
父母父父:弘化4年生まれ、本籍岐阜県
父母父母:天保14年生まれ、本籍神奈川県

高祖父母が戸主の戸籍が取れると、五世の祖父の名前は大体のケースでわかります。五世の祖父は1800年代初頭の生まれと思われます。戸籍だけでも200年程度前の先祖の名前がわかることもある、ということになります。

このように戸籍をたどっていくのてすが、戸主の変更 (死亡・隠居など)、引っ越し、養子縁組、婚姻、離婚の積み重ねにより戸籍は複雑化します。そのため、取得しなければならない原戸籍・除籍の数は相当数になります。私は21通入手したところでいったん取得を止めていますが、戸籍・原戸籍・除籍を取り得るものすべてを取得しようとすると、大変な作業になります。

また、父父父父 と 父父父父父 は同じ名前、さらに 父父父 の兄はその同じ名前に改名していました。同一の名前が3世代によって使用されていました。同名の組み合わせは他にもあり、これは戸籍を読みにくくなる要因になっていて、注意ポイントでした。

調査手法3:文献調査

私の場合、親族へのヒアリングによって先祖の名前と会津藩士であったことが分かっていたので、その情報をベースに、以下により調査しました。

  • インターネット・電子図書館
    インターネットにもすでに20年以上の歴史があり、昔のことを記録したホームページが多々あります。私の場合は、以下の資料を見て、分限長や過去の記録を調べました。
    ・国会図書館や各地のデジタルライブラリー
    ・個人のホームページ (特に古文書記載事項や古本の転写、戊辰戦争の処分対象者や戦没者の名簿など)
    特に
    会津藩士人名辞典 : 役名禄高住所明細 安政5年調
    ・昔の官報
    は有用でした。

  • 書籍購入
    実際に書籍も10冊以上購入しています。ほとんどが地域史ですが、分限帳
    慶応年間会津藩士人名録
    がどうしても欲しくて購入しました。結構高かったです。

明治の初期、改名を迫られたケースがあるのですが、私の先祖もこれに該当するようで、口伝上の名前と戸籍上の名前が一致しませんでした。それでも文献調査により『この人物が先祖、もしくは先祖と親族関係にあったのでは』という方がいます。その方とは口伝上の先祖と名前が似ていて、石高も近い、けれども家紋や信仰がわからず確定できない、という状況で、さらなる調査が必要です。

調査手法4:現地調査

  • 父父父父 関係
    父父父父 をたどると、一番古い戸籍は新潟県佐渡郡にありました。『会津藩士だった』という口伝とは一致していませんが、『佐渡に墓があった』という口伝と整合しています。戊辰戦争後に一時的に佐渡にいたのかもしれません。父父父父 は戸籍上 明治6年1月に失踪しています。再び 父父父父 が戸籍に登場するのは明治30年です。そういうわけで、父父父父 や 父父父父父 が会津のどのあたりに住んでいたのかなどはわからない状況です。ゆかりのあるお寺もわかりません。戊辰戦争の影響で、多くの文献が消失していますので、しかたのないことです。
    それでも私は会津へ行ったことがあります。なんとなく先祖とのつながりが欲しかったのかもしれません。鶴ヶ城 (会津若松城) に行き、展示をみて、なんだか泣けてきました。現地で書籍を買いました。時間的都合で図書館などでの調べものはしていません。

  • 父母父 関係
    こちらは本籍地が同じ神奈川県であったこともあり、現地に行きました。現地は結構な山奥なのですが、なんと何度も観光などで行ったことのある場所でした。大変おどろきました。本籍地とされていた住所には、同一の苗字の方が今もお住まいでした。父母父と家族がここで生活していたんだと思うと、先祖に触れた感じがしました。

  • 母父父 関係
    小学校3年生のころ、九州にある母父の実家 (本家) に行ったことがありました。祖父母との旅行でした。その場所は大変な山奥で、私の頭の中に記憶としてだけしか残っていなかったのですが、戸籍を調査して現地住所が判明、Googleマップで確認したところ、今もまったく変わらない建物・風景で、記憶の中のイメージどおりでした。感動しました。祖父母との思い出が蘇りました

現地調査では、深いノスタルジーと祖先への感謝の念につつまれます。お金はかかりますが、自分の足で現地に行くのが一番ですね。

家系図作成

あとは調べたことをアウトプットするだけです。Excel、Googleスプレッドシート、Googleスライド、MindMup、などを使い、いろいろな目的で、いろいろな形式でアプトプットしました。なかでも気に入っているツールが、スマホアプリの『すいすい家系図』で、入力しきった後の表示がヌルヌルで、見ていて快感でした。家系図は個人情報にあふれているので、直接お見せできないのが残念です。

役立つスキル・知識

今も調査途中ですが、家系調査において役に立つスキル・知識をご紹介します。調べていくうちに、スキル・知識が積み重なっていきます。

  • 文語体の読解
    戦前の戸籍は
    『明治三十年八月十九日當町大字材木町柴町○○●●ニ嫁ス』
    『原籍ニ依リ母ノ氏名ヲ知ルコト能ハザルニ付其記載ヲ省略ス』
    のように文語で記載されています。
    ※[當]は[当]の旧字体、[嫁ス]は[かす]と読みます
     [略]の字は[田]と[各]が上下に連なる異字体でした
     ○○の部分は身分を記した部分です
     戸籍に書かれている身分は消されているため、身分は確認できません
     ●●の部分は人名です

  • くずし字・変体仮名
    くずし字は文中によく登場します。変体仮名は人名にも使われました。

知 ※言偏のくずしは中国語簡体字表記と同じ
家 ※[分]がくずし字
ゑ ※[す]は[春]に由来する変体仮名
  • 旧字体・異字体
    臺(一)・貳(二)・ 參(三)・拾(十)・廿(二十)、當(当)、仝(同)、轉(転) など多数。読み解くには想像力も必要ですね。

断 ※[仝]:[同]の古字、[同断]は前のものと同じ、という意味
相川役場 ※[町]:[田]と[丁]が縦に連なる
孫 ※[養]:[羊?]と[艮]が横に連なる
  • 戸籍の知識と歴史
    戸籍は法改正によって書式が何度も変更されてきました。
    ・明治5年式 (壬申戸籍)
    ・明治19年式
    ・明治31年式
    ・大正4年式
    ・昭和23年式
    ・平成6年式
    それぞれの書式によって、記載内容や範囲が異なります。現在では戸籍はコンピュータ化され、横書きになりました。

  • 日本史・地域史 (とくに近代史)
    結局のところ、家系調査をしていくと歴史を調べていくことになります。私の場合は、
    ・戊辰戦争自体のこと
    ・戊辰戦争敗戦後の会津藩士の動向 (東京、高田、斗南、余市)
    ・私の同じ苗字で、中世以降に会津に渡った方の歴史
    などを追っていきました。文献調査の結果によっては、もっと遡る必要がでてきます。

参考書

家系調査の参考書として使用したものを列挙します。
以下3点は家系調査・戸籍調査を取り扱った書籍です。

以下3点は、家系調査・戸籍調査のために使用した、くずし字・変体仮名の参考書です。

くずし字・変体仮名については、古文書解読検定の勉強を始めましたので、現時点ではもう少し本を買い足しています。

そのほか家系を調べるための地域史・資料については10点購入しています。


いかがでしたでしょうか。私なりの家系の調べ方や、調べて分かったことを記載しました。併せて、家系調査に役立つスキル・知識と参考書についても記載してみました。これから家系を探求される方の参考になれば幸いです。

なお、父方は会津藩士の家系 (父は東京生まれ) ですが、母は山口生まれ (長州)、母方の祖父は鹿児島生まれ (薩摩) です。いまでも戊辰戦争は何かと火種になりがちな話ですが、私は 父:会津系 × 母:長州 (× 母父:薩摩) のハーフです。

家系調査・家系図作成に関しては、以下の記事もどうぞ。

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