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組織における社内SEの行き着く先・・・昔と今の変化について

「この俺がさ・・・社員に規律を守れとか、会社の言うことちゃんと聞けとか・・・社員にそんなこと言わなくちゃいけない立場になっちゃったよ」

IT企業時代、一緒に仕事をしていた先輩の言葉だ。

その先輩は、IT企業→社内SE→総務・・・そんなキャリアを歩んでいた。


■社内SEの行き着く先

IT企業時代、たくさんの先輩がいて、たくさんの先輩が旅立って行った。

※つまり会社に見切りをつけて自ら辞めて行った。

そんな先輩方の転職先は、4割はIT業界、3割は社内SE、3割はその他・・・

自ら辞めて行った先輩の多くは極めて優秀だった。

頭の回転が早く、レベルの高い仕事をこなす。自分の考えもある程度持っていて、説得力もある。当時全く仕事のできなかった私からすれば、みんながみんな、雲の上の存在だった。

ただ、頭が良すぎて、会社や上司の粗も相当目についたのだろう。

上司受けの良くない人は結構いた(上司受けが良いのも仕事のひとつと言われればそれまでだが・・・)。

また会社のつまらないルールや規律を守らず、よく上司から叱られる・・・そんなやんちゃな先輩もいた。

そんな先輩方が転職し、エンドユーザーの社内SEとしての道を歩み始める姿は、とても羨ましかった。

しかし、そんな先輩方の後日談が、私の耳に入るようになる。

ある社内SEとなった先輩は、会社が傾き、真っ先に規模縮小されたのがIT部門でもろにその煽りを受けた。つまり、お金を稼ぐ部門に強制異動させられたり、社内SEと他の業務、兼務となり、激務となってしまった。

またある社内SEの先輩は、IT部門は総務の配下にあり、社内SEとしての仕事をして数年の後、望まぬ出世を果たし、総務課長となりました・・・と。

冒頭の先輩の言葉は、昔やんちゃなことをしていた自分が、いつの間にか総務課長という立場となり、いつの間にやら、”社員に規律を守らせる側になってしまった”・・・という何とも切ないお話だ。

そう、社内SEの辿るルートとは、多くが、規模縮小の煽りを受けて自分の望まぬ職種に就くか、出世して最終的に総務として間接部門を取り仕切る、IT関連の仕事とは程遠い業務に就くか、大きく分けるとこの2つしか道がないと思っていた。

それでも自分は1度は社内SEという道を歩んでみたいと思っていたのだが・・・

そして2021年現在、社内SEの行き着く先に関して、私の考えも大きく変わってきた。


■社内SEとして生き残れるかもしれない

社内SEとなり、それなりに自分のポジションを確保できたと感じていたが、このポジションは常に危険に脅かされているものだと思い続けていた。

そんなある日、当時の直属の上司にこんなことを言った。

「IT部門は、会社がヤバくなったら真っ先に切り捨てられる部門なんです。もしくは最後は総務としてしか生き残る道はない・・・年齢を重ねれば、IT部門でいつか働けなくなる時が来るんです。OBの先輩達の姿を見て、私はそう確信しています。だから私は、いつもその覚悟でこの仕事をやっています。」

自分の思いを、そのまんま正直に話した。

その上司はいい人で、いつも私の話しや思いをきちんと聞いてくれる人だった。そして私の話しを聞いたその上司は、私に言った。

「そうですかね~?私はそうは思いません。昔のことは私は分からないけど、今の時代、このIT部門は会社にとって絶対に必要な部署なんです。会社がどんなにまずい状況に陥ったとしても、この部署がなくなるなんてことはあり得ない。それにあなたが頑張っていれば、会社はその姿をちゃんと見ています。頑張ってさえいれば、あなたはこれからも、IT部門で活躍し続けられるはずです。」

社内SEの行き着く先は規模縮小か、総務の仕事・・・そう思って働いていた私にとって、その上司の言葉は、嬉しかった。

その言葉を聞いてから、IT部門、社内SEは会社にとって絶対に必要なのだ・・・今はそう思い直して、日々仕事をこなしてる。

・・・とは言え、世の中、変化し続けている。

その時、その時で正しい答えは変わっていくだろう。

5年後、社内SEのポジションが安泰かというと、きっとそんなことはない。

でも社内SEは、最後の最後は規模縮小か総務の仕事・・・少なくともその2つの選択肢しかないと思っていた私の考えを、その上司は取っ払ってくれた。

これからも社内SEとして日々努力しよう・・・その積み重ねの結果が、もしかすると20年後も社内SEとして働いていられるかもしれないのだから・・・


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